写経屋の覚書-なのは「ずっと救世軍の布教活動について見てみたけど、彼らはベセルの死亡時に弔慰金も募集してるんだよ」

憲機第913号 救世軍大尉「バレウコ」の「ベツセル」死亡吊慰金募金に関する件

一.五月二日救世軍大尉「バレウコ」は救世軍教員に対して曰く我英国人「ベツセル」は死去したり同人は韓国に対し与へたる勤労尠からされは我等は各道軍営に通知して夫々義捐金を募集すへし其金員は多少を論せす義務的ママ助なれは個人の随意たるへしと発議せしに少尉林文相は十円、少尉趙重吉は三円を即座に出金したり
又林文相は英文に諺文を添へ各道に通知書を発送する筈なりと
                   明治四十二年五月三日

写経屋の覚書-フェイト「『ベセルの死(1)』でも出てきたよね」

写経屋の覚書-はやて「なぁ、大尉『バレウコ』って、憲機第361号で出てきた大尉『パンウコウ』のことちゃうかなぁ。収録されてる『統監府文書』って韓国の国史編纂委員会が編集したもんやさかい、カタカナとか漢字の読み間違いとかあってもおかしくないやろ?」

写経屋の覚書-なのは「うーん…その可能性は考慮していいとは思うんだけど、報告文書の原本を直接確認しないと何とも言えないんだよね…『統監府文書』には原本の写真は載ってないし…それは措くとして、ベセル死亡の翌日にはこんなこともあったの」

警秘第1123号の1 救世軍の行動

 去二日救世軍営に於て来集信者約二百名に対し伝(ママ)を行ひ大佐「ホツカード」は大要左の如き演説を為せり
 新約(ママ)書に曰く「一牧人あり羊を途中に失ひたるに此羊は喰ふに食なく宿するに家なく東西に彷徨し殆んと餓死に瀕せんとするに方り偶々飼主に発見せられ帰家するを得たりと」韓国民の境遇は恰も此羊に似たるの感あり果して然らは一人も残りなく速に我飼主たる天主堂に来つて神の救護を得て一日も早く安楽と栄光との徳を享くることに心を寄すへし云々
次て曹長「ミルトン」登壇演説せり其大意左の如し
 救世軍と大韓国民とは一心同体と為りて的確なる団体を作成せんことを望む
 又英人「ベセル」氏は韓国の為め功労尠からさる人物にて厚誼の親友なりしか悲哉氏は永眠せられたり然れとも吾救世軍には天主耶蘇氏あり敢て之を憂ふるなかれ云々
右及報告候也
                   隆煕三年五月四日
                       警視総監 若林 賁蔵
               統監代理 副統監 子爵 曾禰 荒助 殿

写経屋の覚書-フェイト「救世軍に入ったら『官憲の拘束を受けない』とか『給料がもらえる』って、韓国人のほしがる餌で釣る方法は、とても効果がありそうなんだけど、問題にならなかったのかな?」

写経屋の覚書-なのは「どうやらね、キリスト教他派の信徒で救世軍に入る人も出てきて、こんな交渉があったみたいなの」

憲機第1085号 米国宣教師「クラーク」救世軍加入教徒制止協約件

一.米国耶蘇宣教師郭牧師(原名クラーク)は近時耶蘇教徒中救世軍に加入する者あるを以て救世軍「ホツカード」大佐と交渉を重ね彼我の弊害を防ぐ為め相互教徒の出入を為さしめさることを協約したりと
以上                 明治四十二年五月二十五日

写経屋の覚書-はやて「あんな布教方法やっとったら、そらどっかで他派とトラブル起きるで」

写経屋の覚書-なのは「そうだよね。で、これからはずっと韓国人の願望に迎合して煽るかたちの布教について報告ばっかりなの」

高秘収第2949号の1 救世軍将校「ミルトン」忠南林川に於ける布教演説件

 救世軍将校「ミルトン」は本月十三日忠清南道林川郡邑に於て布教演説を為したり人民就中信徒は排日演説あるへきを想像し先を争ふて集合せるに単純の宗教演説に過きさるのみならす天帝に献上すへき名目の下に一人金五銭を徴収せられたるより各自不平を鳴らして解散せり
右及通報候也
                   隆煕三年五月二十五日
                       内部警務局長 松井 茂
               外務部長 鍋島 桂次郎 殿

写経屋の覚書-はやて「でもここやと、期待通りの排日演説をせえへんだけやなくて、寄附金まで徴収されて文句言うとるでw」

写経屋の覚書-フェイト「ミルトンって、『救世軍(3)』に出てきた『憲機第688号』でも『勧誘に就て「ミルトン」の述へし処は政治的の意味なく且目下の治安上有害の言語を用ひす只耶蘇教の神聖なると文明的宗教なるを説き勧誘』してたし、『高秘収第1929号の1』でも給料や軍服支給で韓国人を釣った黄敬化が支給を要求したのを拒絶したり、『警秘第1123号の1』でもベセルの死亡について当り障りのない演説をしたりしてるし、餌で釣る方法にはあまり積極的じゃないみたいだね」

写経屋の覚書-なのは「『高秘発第101号』でも、『応募者には辞令を交付し銃剣靴等を給与し又英米両国の寄附金を以て相当の俸給をも支給』する計画を立てているように書かれてるけど、これは風説だしね。たしかにそういう方法には消極的なのかもしれないね」

憲機第1249号 救世軍募集に関する報告(六月二日全羅南道法聖浦派遣所長報告)

 近来当地方韓人間に伝説を聞くに韓国は独立国なるも其独立の機関たる軍隊の設備なく専ら日本軍隊に依り治安を維持する状態なるを以て斯くては独立の国体に対し実に志士の遺憾とする処なり今回英国人の仁心にて国民の壮丁を募集し軍隊を組織し治安維持に任する為め英国軍人我韓国に来り討伐をなすなとの風説甚しく智慮浅薄にして世事に迂き韓人は時節柄疑惑を来し居るより其風説の出所を内偵したるに別紙の如き救世軍募集掲示帖付しあるより流伝せしものと思料す
 ○別紙
   広告
 大英国救世軍に於ては我国京城に来到せられ已に歓迎せらるゝ事は一般に御承知の事と推察致居候就ては今般光州地方にも救世営を設立せらるゝ様頒布せられ候間本人等も此中の者に候間御希望の人は総て募集致し候間御希望の各位は本所に来られ御問議せられんことを千万望候
       救世主降生一千九百九年五月十七日 霊光郡陳良面庄子洞
                         救世営 発起人 鄭落天
                         茂長に東梧山  金勝圭
                         光州      李相厦
以上                 明治四十二年六月十五日

写経屋の覚書-はやて「救世軍やから韓国を救う軍隊に違いないって思い込みは前にも出てきたけど、『英国人の仁心にて国民の壮丁を募集し軍隊を組織し治安維持に任する為め英国軍人我韓国に来り討伐をなすなとの風説』ってイギリス人様が助けに来てくれたと思とんのかいな。『高秘収第1929号の1』でも『救世軍に加入せは米国政府より軍服並に二十五円内外の月給を受け軍人たる取扱を受くるの身分となるへし且他日日米平和を破るの暁には米国に応援し日本に当らんとの謬説』を流しとるし、ほんま都合よく他者に依存する気なんやなぁ」

写経屋の覚書-なのは「一般的には『事大根性』なんて言われる傾向なんだよねぇ…

憲機第1138号 救世軍大佐の演説

 西部夜珠峴救世軍営にて六月二十七日福音会を開催し同日午後二時より演説会を開きたるか大佐英人「ホツカード」演説中大要左の如き一節ありしと
 予は近時韓国の情形に就き仔細を探求するに韓国の同胞は如何にしても吾救世軍に入教せさるへからさる事を確認せり我軍に入教せさるの人は幾日あらすして身を依托すへき処なく道路上に彷徨するの悲運に遭ひ依て以て未来の事遂に形容すへからさるに陥りるへく故に同胞諸君は速に吾軍営に入教では一身の安全を得るのみならす外国人の圧制をも免かれ而して国権をも回復して遠からさる間に独立国民として立つ事を得へきに付切に諸君か急速吾軍に入らんことを希望す云々
以上                 明治四十二年六月三十日

写経屋の覚書-フェイト「ここでもやっぱり『我軍に入教せさるの人は幾日あらすして身を依托すへき処なく道路上に彷徨するの悲運に遭ひ依て以て未来の事遂に形容すへからさるに陥りるへく』って煽ってるね」

憲機第1409号 救世軍の状況(七月七日附忠清南道沔川分遣所長内報)

 近来当(ママ)内に於ける救世軍信者募集の状況左の如し
一.救世軍勧誘者柳基泰は当分遣所に於て視察中の排日派の両班にて沔川郡馬山面栗寺里居住の者なり(ママ)つて救世軍に加盟し勧誘者となりて本営根拠地を沔川郡昇仙面機地市(沔川東北方約三里)に同分営を同郡泛川面泛川市(沔川東南方約三里)に設置し専ら入営者希望に従事し而して彼等の駐屯地には常に救世軍の赤旗及韓国旗を樹立し一、六市日毎に多数の韓人群集するを好機とし演説を為し加入者を誘導し居るものにして其の大要は現今韓国の情勢を見るに古来の習慣を維持し現状を固定するは韓国に取りて極めて不利益の位置にあり依て之を開発せんとするは独り救世軍あるのみ今や韓人にして此際醒覚するにあらすんは日本人より益々圧迫を受くるにあり今之れを防遏せんとするには即ち救世軍の力を借りて日本の圧迫を排除し以て国権回復に努めさるへからす我救世軍に加盟し事務員或は書記となるものには俸給を無資産者には資金を与へて各自希望の業務に就かしめ以て韓人を救済するの目的にあり云々
二.応募者の其内容を内偵するに彼らの多くは家政不如意又は遊惰なる輩にして救世軍に加入せは後日其俸給及資金を得んと欲するの野心に依り生したるものにて単に救世なる文字を解釈するに止り宗教上何等念頭更に無きものゝ如し
三.救世軍加入者には夫々資格等級に依り最初は月給八円以上弐十円以下の俸給を支給すると同時に被服及帽子を与へ日本軍隊と同一の働きをなす者にて各国と戦争の際は仲裁を為すものなりと頻りに吹聴し勧誘に努めつゝあり単々其れのみならす救世軍に加入する者は日本官吏に制裁を受くることなく若し犯罪者ある時は救世軍に於て相当の処分を為すものなりと云ひ居れり
四.世事に通せさる韓人等は彼等の言を迷信し志願書を提出し加入するもの続々あり当管内に於ける加入者既に五百人以上に達せり
五.沔川郡菲芳面小合徳天主公教会仏国人宣教師「クランブー」(慶元善)所在地附近に救世軍信者を勧誘せり依て両者間宗教上衝突を来したる模様にて「クランブー」は自分関係の信者を会堂に集め救世軍に就て大に警告する処ありたりと
六.明治四十二年七月四日該会堂に龍山中学校宣教師仏国人(池神父)及牙山工聖地学校宣教師仏国人合し居たるを認む依て彼等の会合如何を内査するに池は病気保養の為め田舎に静養の為め来りたるものにて成一論は池を訪問旁々牙山より来遊し共に会合したる次第なりと云ふも目下の状況上救世軍に対する防禦の為めか或は宗教上秘密の会合ならんと思料せらる
以上                 明治四十二年七月十二日

写経屋の覚書-なのは「この報告なんて、ある意味、救世軍の行動と韓国人の反応についての総まとめになってるよね』

写経屋の覚書-フェイト「救世軍の目的は日本の排除と国権回復というお題目、救世軍に入ったら官憲に拘束を受けない、給料軍服等が支給されるっていう韓国人に迎合した餌の提示だね」

写経屋の覚書-はやて「米英が軍を組織して救いに来てくれたという勝手な思い込み、給料が出るという風説に飛びついて、真実じゃないとわかったらすぐ離れていく『新奇と誇大を好む韓人思想』の発露と宗教面の無理解」

写経屋の覚書-なのは「風説流言の類が大好きで、自分たちから流布させてるのに振り回されるっていうのはいつものお約束だよね。今回はここまでにするね」

救世軍(1)
救世軍(2)
救世軍(3)
救世軍(4)
写経屋の覚書-はやて「前回の最後で、4月中旬に救世軍の活動に転機が訪れるって言うたやん。どんな転機なん?」

写経屋の覚書-なのは「そうなんだよ。まずは4月22日付『憲機第832号』と21日付『憲機第835号』を見てね」

憲機第832号 救世軍の将来活動に関する件

               救世軍大佐「ホツカード」
 右は教徒に対し近頃其布教上に関し大要左の如き談話をなせり
一.韓人は勢力を持し利欲主義なるを以て我教徒たる者に対しては濫りに官憲の拘束を受けさる如く保護を与へ且つ熱心信教する者には相当の地位に進め報酬を与ふ奨励する事
二.婦女の教徒を募集し多数の幹部を養生して募集に力めしむる事
三.妓生淫売婦に関する法規を閲し之れか廃業をなさしめ救世軍に収容して之れを救ふ事
四.軍営の代償は大に布教に影響す依て宏(ママ)なる軍営を建築する事之れか為め目下其敷地撰定中なり
五.軍司令官「アース」大将に韓国の状況を解き四ケ年間は布教に要する一切の費用は同教本部より補助を受くる可
以上                 明治四十二年四月二十二日


憲機第835号 救世軍の近状

 救世軍は一時教勢不振の状態に陥り其軍営に参集する教徒の数僅か二十数名に過きさりしこと間々ありし由なるか大佐「ホツカード」以下の幹部等之れか復活策に関し熱誠を以て其趣旨を説明し且つ韓国現時局を論し同教軍の力に依るにあらされは国権を恢復し他国の侮を免る事能さるか如く説き又た熱心を以て信教する者に対しては相当の報酬を与ふ可しなりと吹聴し以て其教徒の収容に力めたる結果近来大に活気を呈し其各所の軍営に集会する教徒も百余名を下らさるものゝ如しと
以上                 明治四十二年四月二十一日

写経屋の覚書-フェイト「え?『熱心信教する者には相当の地位に進め報酬を与ふ』『熱心を以て信教する者に対しては相当の報酬を与ふ可しなりと吹聴』って…給料とか報酬が出るって韓国人のデマじゃなかったの?ほんとに出すの?」

写経屋の覚書-はやて「方針を180度転換したんかな?『我教徒たる者に対しては濫りに官憲の拘束を受けさる如く保護を与へ』っちゅうんも重要やな」

写経屋の覚書-なのは「うん。韓国人の願望に寄り添って迎合するように方針を変えたんだよ。『韓人は勢力を持し利欲主義なるを以て』がポイントだね」

写経屋の覚書-フェイト「いつこんな重大な転換を決定したのかな?」

写経屋の覚書-なのは「獄長日記の『大韓帝国期のキリスト教(二)』で見た4月15日付『憲機第785号』から、4月13日の時点ではまだ方針転換してないことが分かるから、4月13日から21日の間に活動方針転換の協議と決定がされたんじゃないかな」

写経屋の覚書-はやて「韓国面に堕ちた、いうわけなんかな…」

写経屋の覚書-なのは「そういうわけで、これ以降は韓国人の期待に沿うような餌を提示していくようになるんだよ」

憲機第873号 救世軍に関する件

 昨二十五日午後七時三十分京城西部夜珠峴救世軍々営に於て布教演説会を開きたり先つ大佐「ホツカード」は韓人李南柱を見習参尉に任する事を宣して後副官「ミルトン」は立ちて過般余は韓人参尉林文相と共に恩津及石城、大邱、馬山等に行き軍営を設立伝道に努めたるか入営者多数なりし又近来右大邱恩津等は地方民入営志願者多数なる通知頻々たるを以て来る日曜日参尉五名位の任命をなし大邱、恩津、馬山等に派遣する予定なり云々と述へたり
 次に閔雨植は目下吾韓国の情勢を見るに我国の権利及財権は皆日本人の手中に入れり現情の儘とせは我国権は其恢復を見る至難の事たるを以て将た来集せられたる同胞は互に誘導して本営に多数の入教者を勧告し一心団結して塗炭に苦しみつゝある人民を救援し因つて以て国権の恢復を期せられん事を希望す云々と演したり同夜該営に加入したる者十四人にして参会者男百九十七人女三十四人なりしと
以上                 明治四十二年四月二十六日


憲機第879号 救世軍に関する件(全羅北道泰仁分遣所長内報)

一.近来群山より来泰の韓人の風説に依れは目下同地方に於ては救世軍募集員来り救世軍応募加入者には月給二十八円を給し最初は帽子のみを給するも漸次に銃器幷に被服等をも支給し然して救世軍の任務としては日本軍隊憲兵警察間の暴徒と衝突の場合には現場に至り之れか仲裁をなすなりと云ひ頻りに加入者の募集に努めつゝありと
二.一般世事に通せさる韓人の中には諸種の風説をなし募集員の言を信し居る者もありと之か為め憲兵補助員には誤解なき様特に注意を与ひ置たり
以上                 明治四十二年四月二十七日


高秘発第101号 救世軍信徒募集状況追報

一.近来忠清南道論山地方には救世軍教徒等出入して巷説を流布せり
 日本は従来欧米各国の圧迫を受けたる反動として今や韓国を圧迫せんとす此圧迫を免かれんと欲する者は宜しく救世軍に加入すへし救世軍に加入せは日本(ママ)圧迫を免るゝのみならす多額の俸給を受くるに至るへし云々
 矇昧なる韓人は此謬説を妄信し漸次加入者増加の傾向ありしか本月十五日救世軍江景出張所少尉林文相及李奉圭同地に出張し各所に於て大要左の演説をなしたるより下流社会よりの応募者更に増加し既に百名の多きに達し尚続々増加の傾向あり
  吾救世軍の主たる目的は韓国に於ける外国人の圧迫を排除するに在り見よ方今韓国に於ける官吏の権利は事実に於て全く日人官吏の掌握する処となり韓人官吏は単に其名を存する而已にして何事にも干与し能はさる状態なり而も吾救世軍たる韓国人民は日人官吏の為めに審問監禁せらるゝ等のことなく吾軍中に於て相当処分を為すものなり
  救世軍に加入したる者には救世軍の機関銀行に於て資金を貸与し各自の希望する業務に就かしめ出張所には二十名の書記と五十名の兵士を置き何れも一ケ月十五円の俸給を給し人民保護の任に当らしむるを以て日人官吏の保護を受けさるは勿論絶対に其干渉を受けさるものなり云々
一.平安南道江東郡に於ては
 「救世軍司令官「ミルトン」は平壌西門内に支部を設置し李応善なる者をして其事務を執らしめ年齢十四歳より四十歳以下の男子を募集し応募者には辞令を交付し銃剣靴等を給与し又英米両国の寄附金を以て相当の俸給をも支給し以て信徒の勧誘をなさしめんとするの計画あり」との風説を流布する者あり為めに江東郡内に於て此謬説に迷はされ志願書を提出せんとする者少なからさる状況あり
右及報告候也
                   隆煕三年四月二十九日
                       内部警務局長 松井 茂
               副統監 子爵 曾禰 荒助 殿

写経屋の覚書-はやて「『高秘発第101号』やと『救世軍に加入したる者には救世軍の機関銀行に於て資金を貸与し各自の希望する業務に就かしめ出張所には二十名の書記と五十名の兵士を置き何れも一ケ月十五円の俸給を給し人民保護の任に当らしむるを以て日人官吏の保護を受けさるは勿論絶対に其干渉を受けさるものなり』ってはっきり言うとるなぁ」

写経屋の覚書-フェイト「でも『高秘発第101号』のミルトンの行動や『憲機第879号』だと風説って書いてるよね?」

写経屋の覚書-なのは「そうだね…でも、風説を否定するより、風説に乗っかるかたちで餌を提示するやり方に転換したのは事実だしね。今回はここまでにするね」

救世軍(1)
救世軍(2)
救世軍(3)
写経屋の覚書-フェイト「今回は3月・4月の救世軍の活動についてだよね」

写経屋の覚書-なのは「うん。特に4月はすごく重要なんだけど、多分次回にふれることになるよ。それはともかく布教活動の他にも機関誌の発行を企画したりしてるんだよ」

警秘第外号 救世軍に関する件

一.救世軍本営に於て戦声報と題する機関雑誌を発刊する計画にて其印刷方を大韓毎日申報社に交渉中なるも印刷料高価のため未た相談纏らすと云ふ
一.救世軍曹長「ミルトン」は通訳林文相と共に本日午前八時五十分南大門発列車にて(ママ)田へ向け出発せり其所用は分営設置の為めならむと云ふ又同軍は各地に分営を設置するに付き本国より数名の将校招致すへしとの説あり
一.同軍司令官「ホツカード」は頻りに韓人を地方に派遣し金銭を醵集せしめつゝありとて在京米国宣教師等は救世軍を主宰する「ホツカード」か救世軍の趣旨に扞格し如此非行をなすに於ては彼を韓国以外に駆逐せんと云ひ居れりとの風評あり
右及通報也
                   隆煕三年三月二十七日
                       警視総監 若林 賁蔵
               外務部長 鍋島 桂次郎 殿

写経屋の覚書-はやて「そやけど、ホッカードの行動は救世軍の趣旨に食い違うし、お金集めなんかしとるから、他の宣教師たちが韓国から追放するんちゃう?って噂もあったんやなぁ」

写経屋の覚書-なのは「韓国人信徒のためにイギリス総領事を動かそうとまでしてるしね」

憲機第478号 東部梨峴救世軍の衛生費問題に関する件

 本月十日東部梨峴救世軍営に於て大佐「ホツカード」に対し同営に属する韓人等か衛生費の負担に堪へさるに付之れを免除せらるゝ事に尽力し呉れと申出たる処「ホツカード」は英国領事に協議し其希望に対しては相当運動すへき旨を答へたりと云ふ
                   明治四十二年四月十二日
                     駐韓憲兵隊長 明石 元二郎
    曾禰 副統監

写経屋の覚書-フェイト「政治活動に口を出すってありなのかなぁ…」

写経屋の覚書-なのは「あとね、前回も出てきたように、ホッカードらは普通の活動をしてるのに、韓国人が勝手に期待してる様子がここでも出てくるよ」

憲機第688号 救世軍の状況(忠南太田分遣所長内報)

 三月二十八日より同三十日迄救世軍英人「ミルトン」は韓人通訳一名を連れ大田に於て救世軍加入者を勧誘したり其状況左に
一.大田幷に附近の韓人にて三日間に於ける救世軍加入者総て六十九名
二.勧誘に就て「ミルトン」の述へし処は政治的の意味なく且目下の治安上有害の言語を用ひす只耶蘇教の神聖なると文明的宗教なるを説き勧誘するにありたり
三.加入せし韓人等に付内偵するに本年六月頃に至れは韓国に英兵来るへし其時に及ひ急に耶蘇に加入せんとするも不可能なるか故に今日に於て進んて加入するの得策なりと語るものあり
四.加入韓人の迷信する処は救世軍の名称あるか故に目下韓国の状況上より其文字の如く韓国を救世する一の軍隊組織なるか如く思ひ漸次銃器被服等を救世軍より支給するか如く流言するものあり尚ほ「ミルトン」は三月三十一日大田出発大邱へ向ふ
以上                 明治四十二年四月二日


憲機第689号 救世軍に関する件(三月三十一日附平壌分隊長報)

一.救世軍司令官大佐「ホヅカード」は参謀二名と共に視察の為め近々京城出発平壌に来るへしとの説あり目下平壌地方に於ける同志願者募集の状況左の如し
  同軍募集員は平壌郡隆興部店洞居住の鄭基煥なるもの依頼を受け募集中にして三月四日頃出京の際九名の志願書を携へ其後三月十四日帰壌し募集しつゝあり応募者は城内及各郡を合し七八十名志願書を提出し居れりと志願者中には月給の事を聞き無給なる由を聞き願書を出さす帰村するものありと要するに救世軍の如きは新奇を好む韓人思想に適し地方至る処諸種の風説を為しつゝあり中には平壌在住の米国宣教師か傭兵を募集す抔称し居れり其の給料は二十円乃至三拾円を支給して元韓兵及憲兵補助員を奉職したるものには金五拾円を施行すとの風説もあり之か為め三登地方補助員にして志願希望の念あるものなきにあらすとの報告ありたるを以て誤解なき如く注意し置きたり
二.救世軍人募集の件に付昼間応募者の書面を受くるは宜しからさる故夜間願書を徴する様京城救世軍本部より平壌募集員に注意し来りたりと
以上                 明治四十二年四月二日


高秘収第1929号の1 江景地方に於ける救世軍活動と排日的行動に関する報告

 忠清南道石城郡牛昆面居住「表載述」なる者は最も熱心なる救世軍信徒にして江景郡江景の重なる耶蘇教徒「高寅相」と謀り同人の宅を以て其事務所とし「救世軍兵士事務所」なるの看板を掲け自ら所長と称して数十名の信徒を集め昼間は操練をなし夜間は賛美歌を合唱し居りしか過日救世軍士官「ミルトン」来江の報あるや遽かに旗提灯を調製する等歓迎の準備をなし本月二日「ミルトン」及其一行韓人九名を村端に出迎ひし者四百余名の多きに達せり是より先き黄敬化なる者附近郡村に勧誘して曰く救世軍に加入せは米国政府より軍服並に二十五円内外の月給を受け軍人たる取扱を受くるの身分となるへし且他日日米平和を破るの暁には米国に応援し日本に当らんとの謬説を流布せし為め壮年者は之を妄信し生家を辞し或は稼業を捨て翕然として之に趨き甚しきは憲兵補助員の如きも此訛伝を聞知し救世軍に加入せんか為め逃亡せる者二名あり此を以て「ミルトン」到着の翌日は早朝より八九百名の壮年者事務所門前に雲集し先を争ふて加入を申込まんとするの狂態を演したり此に於て黄敬化は如斯多数応募者あり速に其手続を了し軍服を給し俸給額を告知せよと迫りたるに「ミルトン」は救世軍に加入したりとて必しも悉く月給を支給するものにあらすと答へたるに黄敬化は自費を投し四方を奔走したる為め如斯多衆の応募者を得たり今日に至り拒絶せらるに於ては自分の損害のみならす応募者に対し面目なしと再三要求したるも「ミルトン」は遂に取合はさりしより(ママ)衆は金を呉れさるに於ては加入するの値なしとて唖然として退去せり而して中には其着服を脱きて販売し滞在中の食糧費の支払に充たる者あり如此状況なるを以て中流以上の人民は漸く之を嫌忌し救世軍は(ママ)民を生するものなりとの説をなすに至れりと
 爾来「ミルトン」は附近の各郡を遊説し本月八日迄に総員四百八十二名の信徒を得たりと云ふ
右及通報也
                   隆煕三年四月十五日
                       内部警務局長 松井 茂
               副統監 子爵 曾禰 荒助 殿

写経屋の覚書-はやて「『救世軍というからには韓国を救う軍隊なんだ』ってえらい短絡的な発想やね。しかも銃器や軍服を支給されて、給料ももらえるって都合のええ思いこみやで。ほんで給料出えへんて知ったら入るのやーめたって現金なもんやw しかも『数十名の信徒を集め昼間は操練をなし』って反日主義の私立学校とかわらへんやん」

写経屋の覚書-フェイト「獄長日記の『大韓帝国期のキリスト教(二)』で見た4月15日付『憲機第785号』とほとんど同じ状況なんだね。『高秘収第1929号の1』だと、黄敬化が給料や軍服をもらえるって宣伝して人を集めて、ミルトンにあっさり拒絶されて、梯子を外されたかたちになってるよね」

写経屋の覚書-なのは「うん。でもね4月中旬に大きな転機が訪れるの。それについては次回にまわして、今回はここまでにするね」

救世軍(1)
救世軍(2)