「今回は金九の判決、これで量刑が決まるんやね」
「うん。でもその前に、前回、仁川港裁判所判事李在正は尋問結果を9月12日付で外部大臣李完用に報告、13日付で法部大臣韓圭■(咼の上にト)に報告したって言ったけど、実はそれよりちょっと前に萩原領事代理に知らせて意見を聞いているの」 仁府第一五〇号
以書翰致啓上候陳者我商土田譲亮殺害者金昌洙の審問今般結了に付法部の指令を待ち処断可相成趣を以て口供書御送付の上本官の意見有無御問合相成承知致候審問の結果該犯人は貴国法律大明律人命謀殺人の条とも謀殺人造意者斬の文に照らし御処断相成可然と存候間右の趣本官の意見として法部に御報告相成度此段照会得貴意候敬具
明治二十九年九月十二日
領事代理 萩原守一
仁川港監理李在正 貴下
「正式な報告前にそんなことしていいの?っていうか、金九は誰を殺したか(三)で紹介された金九尋問記録の韓国解題にある「敵方圧力に押された旧韓国末法院の記録であることだ」が事実ってことになっちゃうよ?」
「んー、李がこの書簡を受け取ったのが外部大臣・法部大臣宛の報告書を作成する前だったかどうかは微妙なんだけど、それらの報告書には『照律裁処』するとしか書いてないし、法部大臣の上奏を見れば、萩原の意見が圧力になったとは考えにくいんだよねぇ」
建陽元年十月二十三日 起案
建陽元年十月二十八日 施行
主任楊孝健
上奏案件
左開案를謄呈
오미何如
올지茲에 裁決
심을仰홈
案 第七号
漢城裁判所強盗罪人張明叔과強盗罪人厳敬弼과強盗罪人韓万乭과仁川裁判所強盗罪人金昌洙와平安南道慈山郡殺獄正犯罪人金世種과江原道裁判所砥平郡砲軍朴定植과漢城裁判所々管江華府強盗罪人朱銀到李介仏呂尚福崔聖根과江原道裁判所匪徒李徳一合十一名을左開照律処弁
옵기로本年法律第三号刑律名例第九条에依
와謹
奏
建陽元年十月二十二日奉
旨
議政府賛政法部大臣臣韓
(中略)
一 仁川港裁判所에셔審理한強盗罪人金昌洙가自称左統領이라 |
(後略)
「法律第2号第7条第7項を適用して絞首刑、だね。これがどうして圧力があったと考えにくい証拠になるの?」
「慌てないで、まずここに出てくる法律第2号第7条第7項と第3号第9条を見てみるね。先に出てくる法律第3号は刑律名例、1896年4月4日付施行なんだけど、第9条はこんな文なの」
「人命に関係する事件と強盗事件にかかる判決執行は法部でやってしまって、毎月末にまとめて上奏できる、ってことだね」
「要するに法部で刑を科して事後報告でええよってことやな。『先斬後奏』みたいやね」
「次に、法律第2号は4月1日付施行の賊盗処断例、第7条第7項はこれだよ」第七 一人或二人以上이昼夜를不分 |
「上奏文中にもあるように、拳や足、棍棒、武器で他者を威嚇、殺傷して財物を奪った者は、主犯・従犯に関係なく絞首刑なんだね」
「800両と刀を奪ってへんかったら笞刑100と終身刑やったのになぁ」
「この上奏文の金九判決の直後には、大明律を適用した絞首刑と大典会通に照らした絞首刑があるよね?」
「金世種の強盗殺人と朴定植の人に向けて空砲撃ったやつやな」
「この時の韓国司法は大明律や大典会通と新しい法律を併用していたことになるの。その中で萩原領事代理が大明律の適用が妥当と意見を述べたにも拘らず、法部大臣は賊盗処断例を適用した。つまり実際に萩原意見の影響はなかったってことなの」
「逆に言えば、日本側が圧力をかけようとしても意見を述べるくらいしかできなかっただろうってことだね」
「ま、獄長も言っているように露館播遷中だし圧力なんてかけようがないんだけどねw ともかく金昌洙は絞首刑に決定したってことなの」
「3月の土田殺害に、4月に施行した賊盗名例を適用するんはどうなんやろ?という気はするんけどね。萩原が大明律の適用を主張したのはそのせいなんかもしれへんよ」
「そのへんどうなんだろうね。どちらを適用するにしても死刑なんだけどねw じゃ最後は殺害した日本人土田譲亮についての供述内容の変遷をまとめに入ろうか」
「えーっと、6月の逮捕直後は日本人殺害自体を否認、8月の取調べでは日本人殺害は認め、動機は国母の復仇と主張、後年の自伝では国母の復旧のため三浦梧楼一味の日本人を処断したら日本軍人だったと主張、って感じだね」
「要するに、ただの殺人を最初は隠して次に仕方なく認めて、後年箔をつけて美化して所謂『武勇伝』にしよったってこと
「仁川での取調べでも、単独犯行か複数犯行か、李化甫に預けた金額といった供述内容が変わったりしてるしねぇ…」
「バカやヤンキーが歳を取ってから、『若いころは悪いこともしたもんだ』『こう見えても昔はいっぱしのワルでな』とか言っていきがったり、自分を大きく見せようとするのとあんまりかわらないかもね」
「そうやんなぁ。そやけどよぉ考えたらかっこ悪い話やね。『義挙』やいうんやったら、否認なんかせんと最初っから胸張って堂々と殺害したって主張したらええやん」
「にゃはは。『白凡逸志』だと「わたしは「ソウルに行くまでは、わたしがあの日本人を殺した動機を話すまい」と心にきめていたのだった」なんて書いているけど、自分のやったことがただの犯罪行為に過ぎないって自覚してて隠そうとしてたからだって考えるほうが妥当じゃないかな?」
「しかも、ただの薬の行商人を陸軍中尉だとか言うのは、殺人を国母殺害に対する仇討ちの『義挙』として正当化しようとしてるわけだよね…もっとも、土田が軍人であっても三浦梧楼の一味であっても殺害の正当化にならないとは思うんだけど…」
「そうやんな。復仇っちゅう行動じたい近代国家では否定される行動なんやし、もし閔妃殺害実行犯を殺したかてそれはただの殺人や」
「ねぇ、ここまで見てきた鴟河浦事件についての報告や取調べなどの史料って、『白凡金九全集3』(白凡金九先生全集編纂委員会 1999)に収録されてるって言ってたよね?つまり、誰でも見られる状態になっているんだね。なのに、今まで誰も『白凡逸志』と突き合わせて、その矛盾について考えたり、疑問に思わなかったのかな?」
「まさか史料が読めへんってことはあらへんやんなぁ。収集編纂刊行しとる以上はちゃんと中身を理解把握できとるはずやろし」
「だから作者は、ほんとはみんな土田はただの薬行商人で、金九の行動はただの殺人ってわかってるんだけど、『物語』に合わせてお題目を唱えて続けてるんじゃないか、って思ってしまったんだって」
「それじゃ、その『白凡金九全集』の解題ではどう書かれてるんだろ?」
「えーっとね、鴟河浦事件の項については都珍淳って人が書いてるんだけど、こんな感じなの」 치하포사건에 관해서는 그간 전적으로 『백봄일지』에 의존하였는데, 여기에는 여러 가지 착오가 적지 않다.왜냐하면 백봄은 옥중이 있었기 때문에 치하포 사건의 처리에 관한정보 흭득에 결정적인 한계가 있었고, 더욱이 『백봄일지』는 사건 발생 30년이나 지난 이후의 기록이기 때문이다. 치하포사건에 관한 당대의 자료는 크게 일본자료와 국내자료로 나눌 수 있는데, 일본자료는 인천영사관 자료가 대표석이며, 국내자료는 규장각에 소장되어 있는 한말 자료가 대표적이다. 치하포 사건을 정확하게 복원하기 위해서는 이러한 자료들을 시기별로 배열하면서 쟁점을 추적하는 것이 효율적이다.
鴟河浦事件についてはその間全面的に『白凡逸志』に依拠したが, ここにはさまざまな錯誤が少なくない。何故ならば白凡は獄中にあったから、鴟河浦事件の処理に関する情報を得るのに決定的な限界があったし、なおかつ『白凡逸志』は事件発生から30年も後の記録だからだ。
鴟河浦事件に関する当代の資料は大きく日本資料と国内資料で分かち合うことができるが、日本資料は仁川領事館資料が代表的であり、国内資料は奎章閣に所蔵されている韓末資料が代表的だ。
鴟河浦事件を正確に修復するためにはこのような資料たちを時期別で配しながら争点を追跡するのが効率的だ。
이 자료는 또한 살해된 쓰찌다의 신분에 대해서도 비교적 자세하게 언급되어 있다. 『백봄일지』에서는 쓰찌다를 “육군 중위”로, 당시 조선 정부측 자료에는 일본 공사의 조희를 인용하면서 “長崎県 平民(商人)”이라 언급한 것이 고작이다. 아마도 이것은 일본측이 상인(양민)이 강도에 의해 살해된 것으로 사건을 마무리지으려는 의도에서 쓰찌다의 신분을 소상히 공표하지 않은 데서 비롯된 것으로 보인다. 자료8은 쓰찌다를 다음과 같이 언급하고 있다.
この資料はまた殺害された土田の身分に対しても比較的詳しく言及している。『白凡逸志』では土田を「陸軍中尉」で、当時朝鮮政府側資料には日本公使の照会を引用しながら「長崎県 平民(商人)」と言及したのが精一杯だ。たぶんこれは日本側が商人(良民)が強盗によって殺害されたことで事件を結末をつけようとする意図で土田の身分を詳らかに公表しないことで始めたように見える。資料8は土田について次のように言及している。
「どうも信じ込んどるっぽいなぁ。「たぶんこれは日本側が商人(良民)が強盗によって殺害されたことで事件を結末をつけようとする意図で土田の身分を詳らかに公表しないことで始めたように見える」なんて土田が軍人っちゅう金九の主張に辻褄合わせようとしとるようにしか見えへん」
「そうだよねぇ。「『白凡逸志』に依拠したが, ここにはさまざまな錯誤が少なくない」とか日本・韓国の史料を時間順に並べて見ながら追跡するのが効率的とか言ってるけど、結局『白凡逸志』を疑うほうには行ってなさそうだし」
「そうだね。史料と『白凡逸志』を突き合わせて史料批判するんじゃなくて、史料をお題目である『白凡逸志』に合うように解釈しようとしてるんだよ」
「本人が記憶を美化してもおたり、プロパガンダや情報戦込みでホラ吹いたり大げさに言うたりするんはあり言うたらありやけど、こっちがそれにおつきあいしたる義理はあらへんよねぇ」
「故意じゃなくても、記憶が美化されるうちに、自分でついたウソや願望などをほんとだと信じ込んでしまう人もいるらしいけどね」
「にゃはは。記憶を美化するのは誰にでもあることだし仕方ないと思うけど、はやてちゃんの言うようにこちらが乗ってあげる理由はないんだよねぇ。じゃ、鴟河浦事件関係の史料はこれでお終いにするね」
鴟河浦事件に関する報告(1)
鴟河浦事件に関する報告(2)
鴟河浦事件に関する報告(3)
鴟河浦事件に関する報告(4)
金九は何を供述したか(1)
金九は何を供述したか(2)
金九は何を供述したか(3)
金九は何を供述したか(4)
金九は何を供述したか(5)










