はぁ、、、、
日が沈む頃 目覚め オレは溜息ばかり吐いている。
このまま いつまでもここで寝ている訳にはいかない。
長く眠るには 準備がいる。
旅立とう。
早くこの地を離れるんだ。
オレはベットから起き上がり、支度をする。
と、テーブルに置いてあったリモコンが床に落ち、TVにスイッチが入った。
一気に賑やかになる部屋。
画面には、昼間の映像が流れている。
便利になったもんだ。
もう二度と太陽の光を目にすることはないと思ってたのにな。
TVをつければ 明るい昼間の事を知ることができる。
しばらく その映像を見ていた。
美しと思う、太陽の光を。
陽を浴びて輝くものは みな美しい。
オレの世界にはないものだ。
オレの世界は夜。
月と闇だ。
番組が変わり、オレは少し多めの金をテーブルに置く。
その時 TVのニュースキャスターの女の言葉が耳に入った。
首に2つの傷痕のある死体が見つかったと。
それも 3体も。
オレは TVをジッと見ながら 舌打ちをした。
きっと ジェジュンだ。
何て不用意な事を!
こんな、、わざわざ危険に身を晒すようなことを・・・
オレを挑発してるのか?
一刻も早く この地を離れなければ。
その時、ドアをノックする音が聞こえた。
「ジュンス!ジュンス!まだいるんだろ?」 ユチョンの声だった。
チっ、、、 再び舌打つ。
「ジュンス!」
今、騒がれるのは まずい。
ドアを開け、ユチョンを部屋に入れた。
「よかった、、、まだ いた・・」
「何の用だ?もう オレの前に顔を見せるなと言っただろ・・」
「俺・・・俺、ジュンスに会いたくて・・・」
走って来たのか、ユチョンが息を弾ませながら 泣きそうな顔で訴えてくる。
ヤメロ。
そんな顔をするな・・・
背を向けると、背中から抱きついて来た。
「・・・お前は、、女 専門じゃなかったのか?オレが言ったことを忘れたのか?」
「俺、俺、、、、わからないんだ。でも、あのまま ジュンスに会えないと思ったら苦しくて・・・
もう 行くのか?
俺も・・・・・連れて行ってくれないか?
ジュンスと一緒に・・・俺も・・」
「はっ・・・・何を言ってる。お前は何もわかってない・・・」
「ジュンス、、、もう少し ジュンスといたいんだ」
ギュウっとオレの体を抱きしめてくる。
ミッキーに似た顔と声で、オレのそばにいたいと・・・
背中が熱い、、、、
温かいユチョンの体。
ドクドクと大きな音をさせる ユチョンの心臓。
お願いだ、オレの心を乱すな。
お前は オレのミッキーじゃないんだ・・・
腕を振りほどき、その目を見る。
必死な顔でオレの顔を覗き込み、腕を力強く掴んでくる。
心が揺れる。
ミッキーに似た顔ですがるな。
ミッキーに似た顔で悲しそうな顔をしないでくれ・・・
くそっ、、、、
今 ここで時間をとる訳にはいかない。
こんな小さな町では 異邦者は 限られてる。
今、この場でユチョンを手にかけて、この地を去ればいい。
それが一番いい。
そう、心に決める。
だってそうだろ?連れて行ける訳がない。
コイツは ミッキーじゃない、、、オレの獲物。糧だ。
お前は オレに食われるためにやってきたんだろ?
ユチョンの首を引き寄せ、ユチョンの唇に唇を重ねる。
突然のことに驚いたのか、一瞬 ビクッと体を強張らせたが、
その唇を割り、舌を絡ませると チカラが抜けて行った。
「んっ、、、っ、、、、ぁ、、、ふぅん、、、、」
キスの合間に ユチョンの甘い声が オレの耳を刺激した。
遠い昔の記憶が蘇る。
オレの下で喘ぐ ミッキーの姿を。
ダメだ!思い出すな!
唇を離して すぐにユチョンの首にキバを剥く。
おやすみのキスはくれてやった。
後は永遠の眠りをプレゼントするだけだ。
「あ、、、じゅん、、す・・・ジュンス・・・」
蕩けたような声がオレの名前を呼ぶ。
ユチョンの手がオレの服をしっかりと掴む。
オレは・・・・手にかけることができなかった。
キバを肌に当てたまま・・・動けなかった。
チュッと滑らかな肌に口づける。
「んっ、、、」
小さな声を漏らすユチョン。
オレは・・・・どうしたらいいんだ。
体を離し、ユチョンを見る。
その時、廊下の向こうに気配を感じた。
誰かが来る。
ユチョンの体を抱きしめ 口を手で塞ぎ、神経を研ぎ澄ませる。
「お客さん、警察ですが 少しお話を聞かせてもらいたいのですが・・」

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