10月に入り、ようやく秋らしくなってきた済州島。
運動の秋ということで、今年の目標は「オルム登山」をたくさんすることです。
 
前にも書いたかと思いますが、「オルム(오름)」というのは済州の言葉で「側火山(寄生火山)」を意味する言葉です。
済州島は火山活動によって生まれた火山島で、中央に「漢拏山(ハルラサン)」という大きな火山がそびえたっています。
でも、火山活動の時にマグマが噴出したのは漢拏山だけではなく、済州島各地でできた亀裂から噴出しました。
それらの火口が規模の小さい山となっており、それを済州島では「オルム」と呼んでいるんですね。
まあ、僕も専門家ではないのでこの説明で100%正確かどうかわかりませんが(すみません)。
 
済州島には368個のオルムがあるようです。
有名なオルムもあれば、「これがオルムかよ」というような小さいオルムや私有地になっていて入れないオルムもあります。
これまでもいくつかのオルムに登ったことがありますが、今年は西帰浦に引っ越してきたということで、今まで行ったことのない西帰浦市周辺のオルムに登ることが目標です。
 
ということで、2023年秋季オルム登山第1弾は「ハノンオルム(하논오름)」です。
西帰浦市内にあるオルムで、済州島の幹線道路(?)である「一周道路(일주도로)」の脇にあります。
一般的には「ハノン噴火口(하논분화구)」の名前で知られているようです。
 
↓「一周道路」から「ハノン噴火口」への入口

 
特に駐車場もなかったので、道路わきに車を停めました。
上の写真の場所から少し入ると、下のような看板がありました。
 
 
この看板によると、ハノンオルムの高さは143メートル(低!)。
…というか、車を停めた地点から噴火口を見下ろせるので、登山の必要すらありませんでした(むしろ下りていく)。
噴火口の直径は1150メートルで、「朝鮮半島最大のマール型噴火口」だそうです。
 
で、その噴火口というのがこれ。
 
 
…ただの田んぼですがな。
みかん畑に囲まれた田んぼの部分が噴火口のようです。
このオルムは標高は低いですが、面積は相当広いみたいです。
 
噴火口に下りると水路がありました。
 
 
済州島は火山島なので川がほとんどありません(地盤が火山岩なので水がすぐ地下に流れ落ちてしまう)。
そのためか済州島ではほとんど米が生産されておらず、当然田んぼもほとんどありません。
なので、このような水路や田んぼのある風景は非常に珍しいのです。
 
水路脇にはこんな看板が。
 
 
この水路は地下からの湧き水で、西帰浦港付近にある滝「天池淵瀑布(チョンジヨンポッポ/천지연폭포)」まで流れているようです。
湧き水には「モルマンス(몰망수)」という名前がつけられいて、これがハノン噴火口の農業用水となっているそう。
 
↓水はとても透明できれいでした
 
案内書でもらったパンフレットによると、ここはもともと大きな湖(火口湖)だったと推定されており、その水を利用して500年前から稲作が始まったようです。
ここを中心にハノン村が形成されており、多い時には100人ぐらい暮らしていたと言われています。
しかし、「四・三事件」という動乱が済州島内で起きた時、政府から疎開命令が出されて村人たちは他の地域へ移住しました。
1960年代以降は稲作の再開とともにみかん栽培も始まり、今の姿になったとのこと。
 
 
そんな悲しい過去を抱えているハノン噴火口ですが、今は田んぼのある風景と地学的な価値が再評価されています。
また済州島各地に設置されている散策コース「オルレコース(올레코스)」の7ー1コースの通過地点となっており、トレッキングをする人も多いようです。
今回はお米の収穫後だったのでやや残念でしたが、次回は稲穂のきれいな季節に再訪したいと思います。