前回、日本で売られている韓国商品のネーミングについて書きました。
↓前回の記事
日本語の中に微妙に取り入れられている韓国語について書いたのですが、今回もそんな韓国語について書いてみたいと思います。
ある日、母がスーパーで買ってきたこの海苔巻き。
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「韓国風キンパ巻」となっています。
「キンパ」というのは韓国語の「김밥」でしょう。
「キンパ(김밥)」の「キン(김)」は〈海苔〉、「パ(밥)」は〈ご飯〉という意味で、要するに〈海苔巻きご飯〉のことです。
なので僕の感覚としては「韓国風海苔巻き」が一番しっくりくるのですが、この商品はあえて「キンパ」という韓国語を使っています。
まあ、それは戦略的なことだと思うのでいいんです。
それはいいのですが、「キンパ」というのが「海苔巻き」なので、「キンパ巻」は「海苔巻き巻」という意味になってしまいます。
「巻き」が一個余計に多いという奇妙な状況です。
「キンパ」という言葉がそれほど日本に定着していないため、「巻」をくっつけて意味を補充したんでしょうか。
非常に気持ち悪いですね。
時々、韓国語のことを「ハングル語」と言っている人がいますが、あれもちょっと似たような気持ち悪さがあります。
「ハングル(한글)」というのは「韓国の文字」という意味なので、「ハングル語」(韓国の文字語?)という言葉は原則的に存在しません。
韓国語のことをハングルと呼ぶのはまだ分かりますが、「ハングル語」はやっぱり気持ち悪い。
厳密に言うと「ハングル」と「韓国語」もイコールではありませんしね。
日本では「ハングル」が「韓国語」の意味として使われることがありますが、それは在日コリアンに朝鮮籍の人と韓国籍の人がおり、その言葉を「朝鮮語」とするか「韓国語」とするかという論争があるため、折衷案として「ハングル」を出してきたのだと聞いたことがあります。
NHKの韓国語を教える番組が「ハングル講座」なのもそのためだと。
日本語に入っている韓国語にもいろいろ事情があるようです。
それはさておき上の「キンパ巻」、原材料名に「酢飯」と表示されています。
僕の理解では韓国風海苔巻き(キンパ)に酢は入りません。
酢が入っていたら、それは日本風の巻きずしです。
ということで一見普通っぽいこの商品ですが、わりと様々な矛盾を抱えています(笑)。