2018年12月、済州島のミカン業界に一つの騒動が起きていた。
↓その記事です
https://s.japanese.joins.com/JArticle/248585?sectcode=400&servcode=400
この記事の元になったニュースは見つからなかったのだが、どうも「あすみ」「みはや」という二種類の日本産ミカンが済州島で無断栽培・販売されており、それを日本側が韓国で品種登録を出願したということらしい。
出願時期は2018年1月15日となっている。
↓みはや
この記事で他にわかることは……
① 2018年末から19年初頭に収穫・出荷予定だった済州産の「あすみ」と「みはや」は出荷停止となった。
② 品種保護登録は通常2年4カ月後に最終的な決定が出る。
③ それまでは「臨時保護権」が発効して該当作物の種子・苗木は販売禁止となる。
④ 「臨時保護権」に既に成っている果実も含まれるのかどうかは微妙。
⑤ 済州島側は果実の出荷も停止するよう指示を出した。
⑥ 理由はおそらく、懲役7年あるいは罰金1億ウォン(約990万円)が販売農家に後になって課される可能性があるため。
韓国の記事ではこんなのもあった。
これはブログの記事で、タイトルが「이제와서 왜...일본 로열티 요구에 제주귤 '비상?(今になってなぜ?…日本ロイヤルティ要求に済州ミカン非常事態)」となっている。
「今になってなぜ?」と言っているが、なぜこの時期に出願されたのかは結構はっきりしていると思う。
2018年と言えば、平昌オリンピックがあった年である。
そこではカーリング日本代表の選手たちが食べているイチゴが話題になった。
そのイチゴは「雪香(ソルヒャン)」というブランドで、実は日本の品種を交配してできたものだった。
……というようなことがけっこう大々的に報道されていたと記憶する。
たぶん、その報道があったおかげで、日本側が韓国で販売されている果物について調査をしたのではないかと思う。
そして、その流れで済州島のミカンに白羽の矢がたったのではないか、と思うのだがどうだろうか。
で、その後どうなったかというと……実は普通に売られている。
それに関する記事もあった。
↓済州島の新聞社「ハルラ日報」の記事(2019年1月23日付)
http://m.ihalla.com/article.php?aid=1548226513619599073
これによると、出荷が再開された理由は、済州道からの質疑に応える形で、韓国の「農林畜産食品部」が「臨時保護権は収穫物に対する権利効力には及ばないという意見」を発表したためだという。
苗や種の転売はダメだけど、もうできちゃった果物は売ってもいいよ、というわけだ。
日本側としては何とも納得しがたい「意見」のように見えるが、韓国の国内的論理では農家保護のための措置ということなのだろう。
この「意見」が後になってまた問題にならなければいいのだが。
この記事は「済州道関係者は『今後みはやとあすみの品種保護決定が確定したら、日本側の法廷代理人とロイヤルティー問題等に対して生産者団体・栽培農家等と協議して積極的に対応していく』と話した」と締めくくられている。
2018年1月に品種登録が出願され、2年4カ月後に最終的な決定が出るということは、2020年5月ごろには何らかの決定がなされていなければならないはずなのだが、それに関する記事は見つからなかった。
代わりに見つかったのは……
2021年1月21日現在、「あすみ」は元気に販売されている様子(「みはや」も売られてます)。
ちなみに、あすみの韓国名は「スラヒャン(수라향)」、みはやは「ホンミヒャン(홍미향)」らしい。
ロイヤルティー問題が結局どうなったのかは、よくわからない。
日本の記事はもちろん、韓国の記事も出てこない。
農家を訪ねて直接取材でもしてみようかしら。
この問題に関しては、僕もいろいろ思うところがあるのだが、それはまた次回。
(つづきます)
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