「どこに居る・・・」
煙るような雨が降る。
こんな日は切なくなる。
疼く心を癒そうと、煙草に火を点けた。
「俺の意思だけではどうにもならない」
俺は個人ではなく、組織の人間。
俺に群がる利権の犬どもを見捨てることが出来なかった。
黒い影を落とす道。
ぬかるんで足をとられそうでも、踏み出す以外に道はない。
「自分の道を歩きたい」
そう願った俺に刃が突き立てられた。
痛み。
深く抉られるような哀しみ。
奇跡的に目覚めた俺は、俺の道を歩き出した。
「thank you」
今までのすべてが嫌だったわけじゃない。
刃が刺さらなかったら、飢えに気付かなかったかも知れない。
だから、感謝するよ。
「俺にはお前だけが真実だ」
本当に大切なものを取り戻すために進む道をつけてくれた。
俺はこの道を歩く。
世界を再び取り戻すために。
お前を愛するために。
ユノ。
遅くなったけど、お誕生日おめでとう。
この世で大切なことはひとつ。
誰かを信じて愛するということ。




