「えっ、そんなに入れるんだ」
ドバっと砂糖を入れた蓮君の手元に見入る。
「そりぁ、スイーツなんだからさ」
そう言ってくすっと笑いながら、生地を混ぜる。
綺麗な手。
伸びやかなダンスを踊る時と同じように、リズミカルに生地が混ざっていく。
「こうやってよく混ぜてから焼くんだよ」
「へえ」
スイーツなんて作ったことのない俺には、その工程も新鮮だ。
息を飲んで手元を見守っていると、蓮君の笑いが止まらなくなる。
「あはははははは、そんなに見なくてもちゃんとスカイの分もあるから」
「あっ、うん」
へへっと笑って頭を掻くと、蓮君が生地を人差し指でひとすくいして、ペロッと舐めた。
「うん、甘い」
「生のままでもいいの」
「うん、ほら」
また指で生地をすくうと、今度は俺に差し出した。
ごくんと唾を飲んで、そっと指先を口に含む。
甘さが舌に広がっていく。
「甘い」
「でしょ」
「うん」
「焼いたら、ここまで甘さは感じないんだけどね」
「もっと甘いのが欲しい」
蓮君の手をそっと握って微笑む。
「恋のレシピは俺専用だよ」
蓮君は照れたように笑って頷いた。
Fin.
今日のBGM
恋のレシピは明るくね♪