「何がいい?」
楽屋を出て廊下の端の自販機の前に来ると、ユチョンが聞いた。
「いらない」
「じゃあ、ミネラルウォーターで」
ユチョンは人の返事を無視して、ズボンのポケットから小銭を取り出し、投入口に入れ、ボタンを押す。
「いや、何もいらないよ」
「いいから」
ゴトンと音がすると、取り出し口にミネラルウォーターのペットボトルが転がった。
ユチョンはそれを取り出すと僕に手渡す。
「いらないったら」
「いいから、受け取れよ。話の内容を誰にも悟られたくないんだろう。自販機の前でただ立ち話していたら注意を引くだろう。ほら」
突き出すように差し出され、こくんと頷くと受け取った。
僕の話したいことが分かっていて、気を遣ってくれたんだ。
何でこんなに細かいことにも気が利くのに、あんな投げ遣りとも言える告白なんてしたんだろう。
ユチョンは自分の分もミネラルウォーターを買うと、自販機の横に置いてある椅子を指差し、手振りで座るように促した。
「話ってこの前のことだろう?」
「うん」
「ジュンスはどうしたらいいか分からないんだよね」
「うん」
「そのままでいいよ」
「えっ?」
「別に何も変わらなくていい。今まで通りで」
「でも、だったら・・・」
「何で告白したかって?」
僕は手のひらでペットボトルを弄びながら、こくんと頷いた。
「君が好きだからだ」
二度目の告白は、突然訪れた。
続く・・・