「話がある」
モヤモヤの原因に向かって、思い切って言った。
「うん、何?」
自分から声を掛けることさえ数日悩んだっていうのに、ユチョンは自分が言ったことを忘れてでもいるかのように、あっけなく答える。
「ここじゃあ・・・」
周りを見回し、言葉を濁した。
楽屋では、メンバーそれぞれが思い思いに過ごしている。
ざわざわとした雰囲気なので、話している内容なんて気付かれることはないだろうけれど、人が居るところでは気を遣う。
でも二人きりでは話し掛ける勇気もなく、皆が居るところで声を掛けてしまうという矛盾。
「いいよ、行こうか」
ユチョンはすっくと立ち上がり、ドアに向かう。
僕はその背中を慌てて追い掛けた。
何だか変な気分だ。
いつも側に居て、何度も見ているその背中が、ひどく大きく見えて、僕は肩を竦めた。
続く・・・