胸の鼓動がうるさい。
自分で胸に抱き留めておいて、どうしたらいいのか分からない。
ただ咲也から拒絶されることを恐れて、声すら発することが出来ない。
駅のトイレで無理矢理咲也をいかせたのに、だ。あんなことをしておいて、今更な気もするが本当に緊張するんだから仕方ない。
「もう、騙したな」
咲也がくすくすと笑う。
怒ってないことにほっとして、強く抱き締めた。
「騙してないよ。本当に胸が痛いんだ。咲也をあまりに好きすぎて」
「僕も好きだよ」
「咲也」
「なに?」
「好きだ」
「うん、僕も」
「好きなんだ」
「うん、僕も」
「好きすぎて辛い」
咲也がゆっくりと顔を上げた。
「何で?」
「独占欲だよ」
「独占してるじゃん」
「もっとしたい」
じっと瞳を見つめると、咲也はやおら立ち上がった。
続く・・・