「なあ」
「ん?」
「本当にこんなのでいいの?」
砂浜を散歩していて見つけたコンビニでおにぎりを買い込み、浜辺に座り込んでランチと洒落込む。
と言えば聞こえはいいが、ただのコンビニ飯に段取りの悪さが漂う。
俺は咲也が居れば何でもいいが、咲也に申し訳なくてしゅんとしてしまう。
そんな俺の気持ちを知ってか、咲也はおにぎりの包みを破ると勢いよく噛みついた。
「僕は明太マヨが一番好き。泉は?」
「俺は鮭」
「外で食べるおにぎりも好き」
「ウマイよね」
「うん。でも」
「ん?」
「泉と一緒に食べるのが一番好き」
胸キュンなんて漫画の世界の作り事と思っていたが、胸のど真ん中を射抜かれ、砂浜に倒れ込んだ。
「泉!大丈夫!」
「もうだめ」
「どこか痛いの?」
「痛いよ、胸が」
「大変!きゅっ、救急車!」
慌てて立ち上がろうとする咲也の腕を掴んで、砂浜に引き摺り倒した。
「泉!そんなに苦しいんだね!もがくほど苦しいんだ。ああ、どうしよう・・・」
俺が苦しくて引き摺り倒したと信じている咲也にまた胸がキュンっと鳴る。
俺はわざと息も切れ切れに呟いた。
「咲・・也、もっと側に・・・来て」
「こう?」
「もっと」
「こう?」
「もっとだよ」
「あっ!」
心配そうに近付いた咲也を、胸に抱き留めた。
続く・・・