「ジュンス、お疲れ様」
すれ違いざまポンッと僕の肩を叩いて、ユチョンがねぎらいの言葉を掛けてくれた。
僕がそれに微笑みで答えると、ユチョンは片手を上げおでこに当てると敬礼の真似事をして歩いて行った。
ユチョンに相応しい人になろう。
自分の醜い感情と向き合って決めた結論は、それだった。
恋心は簡単に消えやしない。
そしてユチョンを諦めることも、そう容易いことではない。
消えない恋心が暴走しないように、無理にユチョンと距離を置くのは得策ではない。
仕事は待ったなしでやってくる。
ならばユチョンの仕事仲間として、親友として恥ずかしくない仕事をしよう。
ユチョンはあれからも僕に普段通り接してくれた。
僕を蔑みも、無視もしなかった。
今まで通り冗談も言い、僕に親友としての位置を確保してくれた。
そして、ふとした時、鋭いほどの視線を投げかけてくる。
それは一瞬で、僕さえも気付かない時があるかもしれないほどの短い時間だけど、ユチョンの思いが消えてないことだけは分かる。
あんなに遠ざけようとしていたユチョンだけど、僕は本当にユチョンの気持ちが去って行くことを恐れていた。
両想い。
そんな奇跡が起きている。
ただその奇跡をどうすればいいのか分からない。
素直に喜べない。
今も世間は怖い。
僕がユチョンを好きなことで、ユチョンが非難されたらと思うと怖い。
そんな考えに小さく震えて立ち竦んだ僕の頭に、後ろからそっと優しく手が置かれ柔らかく撫でられた。
「ジュンス、凄く頑張ってるね」
振り向くとユチョンがにっこりと微笑んで、僕の頭をポンポンと叩いた。
すれ違って行ってしまったと思ったのに、わざわざ戻って来てくれた。
僕が仕事をいつも以上に頑張っているのを見ていてくれた。
それだけで涙腺が緩みそうになって、僕は慌てて目を瞬いた。
「俺、誇らしいよ」
「そんな、ただ僕は何でも、その、今まで以上に頑張ろうと思って」
「さすが、俺のジュンスだ」
「えっ?」
「ごめん、間違えた。俺の大切なジュンスだ」
ユチョンはそう言ってじっと僕を見つめた。
どくんと胸が鳴る。
静まれ、心臓。
「大切って、あの・・・」
「前にも言ったけど、俺にはジュンス以上に大切なものなんてない」
僕を見つめるユチョンの顔がみるみる近付くと、一瞬唇に熱いものが触れた。
突然のことに言葉を失って、両手で唇を覆った僕に、ユチョンはふっと微笑むと言った。
「ごめん、ジュンス。俺、諦めてあげられない」
唇を覆った両手を掴まれると、僕の唇にまた熱いものが触れた。
To be continued.....
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「そんな2人を廊下の影から、鋭い視線で見ている奴が居た」
(@_@)じー←
もっとやれーヽ(゜▽、゜)ノ←見てた奴