バスルームを出ると、歌が聞こえた。
それは自分の声で、今度のアルバムのタイトル曲だ。
部屋に戻ると自分の曲を流す。
でも今日はそんな余裕は無かった。
ユチョンのことばかり考えて、何一ついつも通りのことをしなかったはずだ。
それでも習慣とは恐ろしいもので、無意識のうちに音楽を流していたのだろうか。
訝しげに音のする方へ顔を向けた僕はびくっと体を震わせた。
バスルームから出た廊下から見えるのは、備え付けの大型テレビと大きな鏡を張った鏡台。
その鏡に何かが写りこんでいる。
固まったようにその場を動けない僕を嘲笑うかのように、その影がゆっくりと鏡に向かって振り向いた。
その瞬間、僕は言葉を失った。
そこには居てはいけないはずの人が微笑んでいた。
僕から見えるように、相手からも僕が見えているのか、動けない僕に向かってその人は歩いてくる。
からからに乾いた唇を舌で湿らせると、やっと僕はその影に向かって言葉を発した。
「何で・・・」
その影が壁の向うから、ベッドの角を曲がって直に僕の目の前に現れた。
幻ではない。
僕がよく知っているユチョンがそこに居た。
「手紙・・・」
「えっ?」
「読んだだろう?」
「あっ・・・」
「見てたよ、ジュンス」
ユチョンがゆっくりと僕に近付き、子供を褒めるように柔らかく頭を撫でた。
「凄く良かった。頑張ったね、ジュンス」
「あっ、ありがとう」
戸惑う僕の意表を突くように、ユチョンが突然ちゅっと僕の唇を奪った。
驚いて両手で唇を覆った僕に、ユチョンはにっこりと微笑んだ。
「ご褒美」
「ばっ、馬鹿・・・」
「馬鹿でいい。ジュンス、恋をすると馬鹿になるんだよ。さあ、おいで。おしゃべりは終わりだ」
「あっ、なん・・・やめっ」
ユチョンは僕をひょいっと抱き上げると、ベッドへと進み放り投げた。
「花を摘みに来たよ」
音楽が止んだ。
ユチョンはベッドサイドテーブルに置かれたリモコンを押し、僕の上へと体を躍らせた。
To be continued.....
━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
のほほほほ:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
ユチョンったら、しっかり「花」繋がりで攻めてきましたわね( ´艸`)
さあ、ジュンス、大人しく摘まれてしまいなさーいヽ(゜▽、゜)ノ←見ててあげるから