「ふう」
バスタブに張った熱い湯に、ゆっくりと身を浸した。
体を包む温もりに、疲れが消えていく。
ライブの興奮を鎮めるために、湯舟の湯を手で掬い、ばしゃっと顔を洗うと、白い靄がゆらゆらと揺れ、ユチョンがくゆらせる紫煙を思い浮かべた。
吸わない僕の前では、なるべく匂いさえしないように気を使うユチョン。
でも、キスをした時は違った。
体の奥底までその匂いを届けるように、深く深く僕の唇に分け入った舌。
鼻を突き抜けるその匂いに、僕は嫌悪感を感じなかった。
苦手な匂いのはずなのに、ユチョンの熱と相まって、芳しい花の香りのように僕の中に浸透していった。
大輪の花が咲いた。
それは深い森の中で人知れず甘美な芳香を放つ花のようだ。
皆、その存在を知ってはいる。
でも、容易く見ることは叶わない。
そんな一夜限りの幻の花のように、突然僕の心の中に咲き誇った花。
ユチョンへの恋心という名の花に、僕は翻弄されている。
「会いたいの・・・ユチョン・・・」
とても人に聞かせることの出来ない声音で、白い靄の中に浮かび上がるユチョンの面影に向かって甘えて見せた。
湯に浸かっているせいではなく、ぽっと頬が火照る。
馬鹿みたいと思うけど、恋って馬鹿になることだとも思う。
だって、こんなに四六時中ユチョンのことばかり考えている。
「本当に馬鹿だ・・・」
もう一度、ばしゃばしゃと勢いよく顔を洗って、バスタブから立ち上がった。
濡れた体をバスタオルで丁寧に拭い、備え付けのバスローブを羽織る。
バスルームの鏡が湯気で曇り、顔の部分だけが丸く切り取られたように映し出されていた。
ライブでは何かするたびに、可愛いと声が上がる。
でもそれはファンの欲目で、鏡に映った僕はどこからどう見てもいい年の男だ。
恋に胸を焦がすなんて似合わないかも知れない。
でもこの想いは止められない。
切ない想いを抱えたまま、湯気の籠ったバスルームのドアを開けた。
To be continued.....
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ええ、分かってるわ、もも。
一ミリも進んでないってことぐらいー。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
だって、ジュンスの切なさを丁寧に書きたかったんだもん(・ε・)←いつの間にか書いていただけ
さて、明日くらいには終われるかな。←自信なし