男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)
(1985年・松竹)
監督/山田洋次
脚本/山田洋次、朝間義隆
出演/渥美清、倍賞千恵子、樋口可南子、平田満ほか
長崎の五島列島を旅していた寅次郎は、ひとり暮らしの老婆ハマと知り合い、ハマの家でもてなしを受ける。しかしその夜、ハマは急死する。
葬儀の日、寅次郎の元にハマの孫娘、若菜が挨拶にやってきて…
(おじさんに紛れて)映画館で!
樋口可南子の可愛いこと!平田満の滑稽なこと!
そしてなにより渥美さんのかっこいいこと!!!
前半のテンポがとにかく早い。でも、1シーン1シーンの積み重ねが丁寧で無駄な説明がなくても伝わる。
今回は恋破れ…じゃなくて、恋のアドバイザーになるパターン。
(とは言っても寅さんはものすごく辛い。だから失恋、でもある。実際、失恋なんだけど)
とにかく寅さんのアドバイスは全部的確。
じゃあ普段から自分で実践しろよ!って、
まあ、女性の前でできちゃったら寅さんじゃないんだけど(笑)
そんな寅さんにアドバイスを求めるのが平田満演じる民夫。
この民夫と寅さんの掛け合いはすばらしい。テンポもそうだし、2人のセンスがいい。
あと秀逸なのがさくらと若菜の会話。
若菜「男の人ってそういう顔することあるでしょう」
さくら「そうね、気持ちの中はとっても優しいんだけど、顔に出せないのね。わかるわ、その気持ち」
あと、さくらさんの「女ってね、男の人が思うのとは、全然別な受け取り方をするものよ」は名言。
この台詞を書いてる監督に惚れてまう。
この全く説明していないようでいて、実は物語そのものを説明できてしまっている台詞ってどっから湧いてくるんだろう。
あと物語に、“メリハリ”が凄くあって、飽きない。
それは山田監督の計算だろうけど。
あ、「夢」は姥捨て山の話なので、『楢山節孝』を見てから見るのがオススメ(笑)
ジェネラル・ルージュの凱旋
(2009年・東宝)
監督/中村義洋
脚本/斉藤ひろし、中村義洋(原作/海堂尊)
出演/竹内結子、阿部寛、堺雅人ほか
めずらしく商業映画!学校のスタジオ(5.1ch)で見ました。
全然期待してなかったし、楽しむための映画だったから、思う存分楽しめた。
でも実は楽しめるって凄いことなんだよね。
ハラハラするし、堺雅人のミステリアスな撮り方もスタンダードでとてもよいと思った。
感情移入しなくても見られる話、進んで行く話で、それがしかも面白いって凄いな。
感情移入しない訳じゃないのか…最後はやっぱり速水に移入してたな。
主軸は竹内結子演じる田口が主人公だけど、このジェネラル・ルージュに関しては、速水が主人公でもあるから、どう扱っていいのか私だったら分らなくなっちゃいそう。そのあたり上手かったな。
主題歌のEXILEはちょっとよくわかんない(笑)
録音は『のんちゃんのり弁』と同じく横溝正俊さん。
音響効果は岡瀬昌彦さん。『ジョゼと虎と魚たち』や『誰もしらない』『下妻物語』などなど手がけてらっしゃる方。最近だと『八日目の蝉』、『のぼうの城』など。
機会があって、この作品で岡瀬さんが特に力をいれていた“音”を聞くことが出来て凄く楽しかった。
とにかく岡瀬さんのつけた音はリアルで、
たとえば会議で携帯がなるシーンは観客が思わず自分の携帯を確認してしまうくらいリアル!
(2009年・東宝)
監督/中村義洋
脚本/斉藤ひろし、中村義洋(原作/海堂尊)
出演/竹内結子、阿部寛、堺雅人ほか
めずらしく商業映画!学校のスタジオ(5.1ch)で見ました。
全然期待してなかったし、楽しむための映画だったから、思う存分楽しめた。
でも実は楽しめるって凄いことなんだよね。
ハラハラするし、堺雅人のミステリアスな撮り方もスタンダードでとてもよいと思った。
感情移入しなくても見られる話、進んで行く話で、それがしかも面白いって凄いな。
感情移入しない訳じゃないのか…最後はやっぱり速水に移入してたな。
主軸は竹内結子演じる田口が主人公だけど、このジェネラル・ルージュに関しては、速水が主人公でもあるから、どう扱っていいのか私だったら分らなくなっちゃいそう。そのあたり上手かったな。
主題歌のEXILEはちょっとよくわかんない(笑)
録音は『のんちゃんのり弁』と同じく横溝正俊さん。
音響効果は岡瀬昌彦さん。『ジョゼと虎と魚たち』や『誰もしらない』『下妻物語』などなど手がけてらっしゃる方。最近だと『八日目の蝉』、『のぼうの城』など。
機会があって、この作品で岡瀬さんが特に力をいれていた“音”を聞くことが出来て凄く楽しかった。
とにかく岡瀬さんのつけた音はリアルで、
たとえば会議で携帯がなるシーンは観客が思わず自分の携帯を確認してしまうくらいリアル!
楢山節孝
(1958年・松竹)
監督/木下恵介
脚本/木下恵介(原作/深沢七郎)
出演/田中絹代、高橋貞二ほか
その村では70歳になった老人は、冬になると姥捨山に連れて行かれる風習があった。おりんは69歳。
嫁に死なれた息子は素晴らしい後妻をもらい、
自分自身で歯を折り、姥捨て山に行く準備を進めるおりんだったが、
そのおりんを背負って姥捨てに行かねばならぬ息子の気持ちが固まらない…
木下監督はお洒落だったと、お世話になった方に聞いたことがあるけど、
映画をみてもそれを感じる。
お洒落というかスマートというか、とってもかっこいい。
話は誰でも知ってる残酷(といってもリアル)なものそのまま。
今村昌平監督Verを見てないので、どう違うのかなど、書けないんだけど
とにかくこの木下恵介Verの印象は、音楽。とてもよかった。
歌舞伎のように始まる導入も凄く印象的。
田中絹代の芝居の柔らかさも見応え。
母の強さと、見せないけれど、見えてくる弱さ
本当は泣きたいほど辛い、その気持ちを
田中絹代は素晴らしい演技で見せてくれた。
ラストシーンは、圧巻。
あのラストシーンを成立させるための、映画といってもいいくらい。
逆でもある。
この2時間の映画なくしては、ラストシーンの意味をなさない。
思わずため息。
録音の大野久男さんは松竹の技師さん。
木下組を多く手がけてて、
『二十四の瞳』や『野菊の如き君なりき』も担当なさってる。
この作品はオールセット撮影だそうなので
効果音などは多分めっちゃくちゃに大変だったと思う。
でもそれを感じさせない。特に山のシーンは秀逸だった。
(1958年・松竹)
監督/木下恵介
脚本/木下恵介(原作/深沢七郎)
出演/田中絹代、高橋貞二ほか
その村では70歳になった老人は、冬になると姥捨山に連れて行かれる風習があった。おりんは69歳。
嫁に死なれた息子は素晴らしい後妻をもらい、
自分自身で歯を折り、姥捨て山に行く準備を進めるおりんだったが、
そのおりんを背負って姥捨てに行かねばならぬ息子の気持ちが固まらない…
木下監督はお洒落だったと、お世話になった方に聞いたことがあるけど、
映画をみてもそれを感じる。
お洒落というかスマートというか、とってもかっこいい。
話は誰でも知ってる残酷(といってもリアル)なものそのまま。
今村昌平監督Verを見てないので、どう違うのかなど、書けないんだけど
とにかくこの木下恵介Verの印象は、音楽。とてもよかった。
歌舞伎のように始まる導入も凄く印象的。
田中絹代の芝居の柔らかさも見応え。
母の強さと、見せないけれど、見えてくる弱さ
本当は泣きたいほど辛い、その気持ちを
田中絹代は素晴らしい演技で見せてくれた。
ラストシーンは、圧巻。
あのラストシーンを成立させるための、映画といってもいいくらい。
逆でもある。
この2時間の映画なくしては、ラストシーンの意味をなさない。
思わずため息。
録音の大野久男さんは松竹の技師さん。
木下組を多く手がけてて、
『二十四の瞳』や『野菊の如き君なりき』も担当なさってる。
この作品はオールセット撮影だそうなので
効果音などは多分めっちゃくちゃに大変だったと思う。
でもそれを感じさせない。特に山のシーンは秀逸だった。