私たち家族にはスローガン?

理念があった。



「家族はいつも一緒」



当たり前だけど、当たり前じゃ無い。



私はいつも言っていた。



忙しい夫を置いて

息子と2人で出かけることはしばしばあった。



夫は、土日も仕事の予定が入っていることも多かったし、それ以外にも推し活に励んでいて、ドーム公演は札幌が取れやすい。と、謎のジンクスで、全国飛び回って推し活をしていた。



夫は「聞いたことで答えられないことはない」程博識だったのだが、芸能に関してはてんで無知だった。



「関ジャニ♾️」を「カンジャニムゲンダイ」と読んだのには笑い転げた。



今ではアイドルにも詳しくなった。



そんな夫は、今では複数のファンクラブに入っていて、年明けてからも会報が届いていた。



ガールズバンド

NEWS



私が把握しているのは、この3つ。



会費を払わなければ自動で退会する仕組み。

嵐は、入り直さなきゃな。



他にも「修行僧」と呼ばれる

航空会社のステータスを維持する為だけの、無駄な飛行機移動もやっていた。



リュックひとつ持って、

沖縄に飛び、その後千歳空港に行き、帰ってくる。という、謎修行。



もちろん、空港から外に出ることはないからお日様を見ることもない。



そして、ただいまー!

とニコニコで帰ってきた夫のリュックからは、

毛蟹と海ぶどうがでてきて、これまた爆笑した。



夫は休日も忙しい。



何かしていないと勿体無い感じがするのだという。1人でたくさん冒険するのが好きみたい。



私は、旅行の時に夫を誘うのだけれど

一緒に行けたのは7割くらいかな。



私はいつも夫にこういう。



「家族はいつも一緒 の理念のもと 家族はいつも一緒なのです。」



何言ってるかわからないけど、

よく言っていたな。



でも、私は今の今まで

この言葉とそれに関わる一切を忘れていた。



夜中、ふと思い出して、

そのことにまつわるエピソードが思い出される。



なんでこんな大切なことを忘れているんだろう。

忘れられたんだろう。



思い出に勝手に蓋をしていた、もしかすると今も?蓋をしていることがあるのかも知れない。



息子と2人で過ごす家は

ただ広すぎて、ずっと家族で過ごしてきた家には思えないことがある。



だけど、夫が使っていたバスタオルは、今もずっと同じ場所に掛けてあって、不思議なことに、あんなにハチャメチャな息子も、バスタオルが足りない時でも、「おとうさんのバスタオル」は使わずにそのままだ。



やっぱり、ただただ、淋しいんだよな。