私は、都合が悪くなると、良く耳が聴こえなくなるんですが、progressive hearing loss(進行性難聴)が、どう云う仕組みで起こるのか、その分
子レベルでの機構については、ほとんど分かっていません。
一昨日、Nature Geneticsにオンライン出版された二つの論文が、microRNA(miRNA
)が関わる遺伝的進行性難聴について報告しています。
miRNAについては、これまでにも何回か書いています(例えば、これ
とかコレ
)が、実は細かな説明をしていませんでしたね。
ん~ん、面倒だなぁ、と探していたら、ココ
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)が判り易いかも。どこかの会社のサイトのようですね。興味があるひとは、独習して下さい。
要は、miRNAは20ベース前後の短いRNAで、mRNAに相補性があり、多くの場合はmRNAの3'-UTRに結合して、其の発現を制御(多くの場合は抑制)すると云うもの。不思議なことに相補性は100%ではなくミス・マッチが含まれるのだが、逆にseed regionと呼ばれるmiRNAの5'側2-8ベースの配列に限って云えば、mRNAと100%相補的である必要があるそうな。
で、ぇえっと、例によって、abstractsを眺めただけですが(笑)、いや、家なんで、full textにアクセス出来ないんです(と云い訳)、ひとつの論文
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)では、化学的に突然変異を誘発させて、マウスのmiR-96遺伝子(Mirn96)のseed regionに塩基置換が起こったミュータントdiminuendoでは、変異がヘテロな場合には進行性難聴やhair cellの異常が起こり、ホモで変異を持つと蝸牛反応(←って何です?)が無くなるという表現型。
もう一つの論文
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)も、同様な内容で、ヒトmiR-96遺伝子(MIR96)のseed regionに起きた塩基置換(この変異が、もうひとつの論文と同じなのか[→seed region内の違う場所でした]、更にどうやって得られた変異[→ヒトの遺伝的に疾患のある家系から見付かった模様]なのかはabstractからは不明)の所為で、進行性難聴になる、と云うお話。
Seed regionに変異があるので、当然、miR-96の本来のターゲッットとなる遺伝子(mRNA)の発現が変わってくるはずだが、予想通り、様々なmRNAsの発現がミュータント・マウスでは大きく変わっており、発現量が上昇するmRNAsもあれば(←恐らく、本来のターゲッット?miRNAの変異で発現が抑制されないので上昇した)、変異したseed regionに相補性を持つ様になって、発現が抑制されるようになったmRNAsもある。
要は、hair cellで発現しているmiR-96が正常な機能を果たせなくなり、其の制御下にあった遺伝子の発現がぐちゃぐちゃになって、hair celllが異常になってしまうんでしょうかね。と云う意味では当たり前と云えば、当たり前の結果なのかもしれないが、このミュータントマウスdiminuendoは、進行性難聴の良いモデルとなるかもね。
ぇえっとぉ、どうやってマウスの聴力検査をしたんでしょう?
→だから、中身読めよぉ!
えっ?良く聴こえません。どうも、最近、耳が遠くて。そう云えば、miR-96に変異があったかも。
P.S. タイトルは『たねりょういき』です。『しゅりょういき』じゃぁなぃですぅ。
追記・訂正:赤で示しました。2番目の論文は、タイトルにちゃんとhumanと書いてありましたね(汗)。
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