すべての人間がこの地上に生まれてくるにあたって身につけるもの、それが「怖れ」です。
怖れを生じさせるものは、この物質次元における「分離」という幻想です。
高次の世界において、魂は大いなる一体性の中にあります。そこには分離はなく、一は全であるという体験です。
私たちの魂は、その領域から、多様性を体験するために「分離」という幻想世界へと降りてきたのです。
ひとたび分離という幻想に捕らわれると、それまでの一体感は見失われます。そのとたん、私たちは「所有」という概念を生み出します。
分離の中での私という自我が芽生えると同時に、自分の身の回りにあるものに対して、これは私のものであるという原始的な概念が生じます。この時点ではまだ分離のなんたるかはよく理解できていません。しばらくすると目の前に別の誰かが現れて、これまで自分のものだと思っていたものを取り上げて持って行ってしまうという体験をするようになります。それは遊んでいたおもちゃだったり、食べ物だったり...。つまり喪失の体験です。こうして失う怖れが生じます。そしてこのような喪失の体験を重ねるうちに、「分離」と「所有」という概念が強化され、同時に「怖れ」も大きくなっていきます。
やがてそれは、ものだけでなく、対人関係にまで及んでいきます。そうなればなるほど、それは強烈な体験として心に刻まれるようになります。
こうして私たちは、この分離の幻想が、あたかも現実であると思い込むようになるのです。
この幻想を打ち破り、無限の豊かさへと自らを繋げる為に、私たちに与えられているレッスン、それがコミットメント（コミットすること）です。
コミットメントとは、ある状況に対して自らを100%与えるという行為です。
キリストはこの事を次のように教えられました。
「あなたがたも聞いているとおり、『目には目を、歯には歯を』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。
あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせなさい。
だれかが、１マイル行くように強いるなら、一緒に２マイル行きなさい。
求める者には与えなさい。あなたから借りようとする者に、背を向けてはならない。」
「あなたがたも聞いているとおり、『隣人を愛し、敵を憎め』と命じられている。しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。あなたがたの天の父の子となるためである。父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。」（キリストの言葉・マタイ5:38-45）
『目には目を、歯には歯を』というのは、有名なハムラビ法典からの引用です。これは因果応報を表しています。しかし、キリストはそれを超える愛を教えようとされました。
それがコミットメント、つまり、自分を100%与える愛のことです。
これは分離という状況に対して橋をかける行為であり、また分離そのものを埋めてしまう行為です。
あなたの頬を叩く人は、確かにあなたから何かを奪おうとしているのかもしれません。
あなたの上着を持ち去る人は、確かにあなたからそれを奪ったのかもしれません。
あなたに何かを強いている人は、それによってあなたから何かを奪おうとしたのかもしれません。
しかし「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈る」という行為は、自分にとっての敵を消失させることです。
被害者と加害者はセットです。被害者をやめれば加害者もいなくなるのと同じです。
「父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」というのは、そこに一切の分離がないということを意味しているのです。
コミットメントすることは、相手に一歩近づこうとする行為です。
コミットメントすることは、相手の心に橋をかけようとする行為です。
コミットメントすることは、相手を理解しようとする行為です。
コミットメントすることは、相手をそのままで100%受容しようとする行為です。
このとき、分離という幻想は消え、怖れは消失し、真の自由を得ることができます。
そしてすべては一つであり、すべては愛であり、失ったものなど何一つないということに気づきます。
そうなのです、自分のために相手はその役を演じてくれていたに過ぎないのです。
その境地に達した時、相手の取る行動は次のようになります。
態度を変えてあなたと和解するか、あなたから離れていくか。
どちらにしても、コミットメントのもたらす恩恵は平和です。
あなたはこの地上にパラダイスを創造することになります。
１２月１３日 アウェイクニング オブ スターシード
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