小説「ハイスクール・ボブ」 16-14 | なんとなく断髪・襟足好きのためのようなブログ

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ハイスクール・ボブ
~ある全寮制高校のカット事情~

 

16 夏仕様
(14)

 6月12日 月曜日
 1年2組の教室内に始業のチャイムが鳴り響いている。
 まもなく1年2組の教室で朝のショートホームルームが始まる。
 昨日の6月11日がカット指定日の最終日だった。
 今日は1時限目の授業の前に10分間の朝のショートホームルームがある。
 1年2組の教室内には、夏制服の女子生徒39人が着席している。
 どの女子生徒もカットしたてのスクールボブ姿だ。
 理奈は、教室内の自分の席に座って正面を向くと、理奈の前の席や斜め前の席の女子生徒の後ろ姿が視界に入ってくる。
 特に、今回のカットから夏仕様ということで、どの女子生徒も襟足は3ミリのバリカンで綺麗に刈り上げられていて、地肌が透けて見えている。
 また、どの生徒も後ろから見ていると、頭の上側の段がなく、サイドから水平にまっすぐ後ろに向かってパツンと切り揃えられた重めのボブの黒髪と、少し地肌が透けて見える襟足の刈り上げと、カットした直後であまり日焼けしていないうなじや首筋、真っ白なセーラー服の襟、これらのコントラストが、先週のカット前と比べてより一層美しくに見えている。
 もちろん理奈も金曜日にカットしたばかりなので、後ろの席の女子生徒からは同じように見られているのだろう。
 チャイムが鳴り終わり、しばらくすると副担任の柳 涼子が教室に入ってきた。
学級委員「起立」、「礼」、「着席」
 生徒が全員着席すると、柳は生徒たちに連絡事項を伝えている。
柳「おはようございます。三原先生は急な用事があるので今朝のショートホームルームは代わりに私がします。」
柳「みなさん、昨日までのカット指定日の期限内にカットを済ませたでしょうか。」
柳「ボサボサのボサ子さんはいませんよね?」
 副担任の柳は体育担当で少しキツめな感じの教師だ。
柳「まだカットに行けていない人がいたら手を挙げてください。」
 理奈は、教室内を見渡したが、誰も手を挙げる生徒はいなかった。
 柳は、教壇からクラスの女子生徒全員を見渡すが、教壇から見たところは全員カット済みのようだ。
柳「みなさん、そのまま前を向いたまま座っていてください。」
 柳は、生徒の席の列の間を抜け、教室の一番後ろから生徒の後ろ姿を確認した。
 襟足を見れば、カット済みがどうか一目でわかるからだ。
 柳は、教室の一番後ろからクラスの女子生徒全員の後ろ姿を見渡した。
 全員襟足が綺麗に刈り上げられていて、カットして1週間以内の状態だ。
 今回は、1年2組で定期のカットを済ませていない生徒はいなかった。
 柳は、生徒の席の列の間を抜け、教壇に戻った。

 柳「はい、みなさん、きっちりとカットに行ってますね。全員大丈夫です。」
 柳「なお、1年生の次回のカット指定日は、7月10日の月曜日から7月16日の日曜日までです。」
 7月10日から7月16日といえば夏休みになる直前だ。
 理奈たち1年生は1学期の間に4回もカットすることになる。

 理奈にとっては、1学期だけですでに1年分のカットに行ってるんだなと思った。
柳「次の連絡事項ですが・・・」
 柳は、三原の代理として、連絡事項を次々と生徒に伝えている。
柳「では、今日の始業のホームルームをこれで終わります。」
学級委員「起立」、「礼」、「着席」
 柳が教室を出ると、すぐに1時限目の教科の教師が入って来た。
 そして1時限目の授業が始まった。
 理奈たち1年生の女子生徒たちは、夏仕様のスクールボブでリフレッシュして、新たな気持ちで授業に臨んでいるのだった。

 

16 夏仕様 おわり