さて、間があいてしまいましたが、トヨタとテスラの提携について、テスラ側の思惑についてまとめてみましょう。



それでは・・・


日本の技術を考えよう!

①EV量産の技術、部品、環境を手に入れたい


テスラは既にEVを製品として世の中に出しています。それがこのテスラ・ロードスターです。

←テスラ・ロードスター

しかし、量産といってもその規模は週十数台程度だという。

http://wiredvision.jp/blog/kanellos/201002/201002101958.html


一方、2012年に登場させるセダンタイプのEVモデルSの生産計画は年2万台という挑戦的なもの。

http://wiredvision.jp/blog/kanellos/201002/201002012046.html

←モデルS


この差を一気に埋めたいというモチベーションが、トヨタとの提携を後押ししたのではないでしょうか。

トヨタ生産方式・TPSはすぐにでも取り入れたいでしょうね。

日本の自動車がアメリカで売れまくったとき、GMはトヨタ生産方式を学び取り入れました。NUMMIはその象徴でもあります。

そのNUMMIで今度はアメリカで生まれたばかりの小さなEVメーカーがトヨタ方式を学びながらEVを生産する、何か時代は変わったと感慨にふけるのには十分なインパクトですよね。


ちなみに、この記事 でも書いたように、ロードスターの質感は驚くほど低いです。

とても1千万もする車には見えなかった・・・特にバッテリー情報などのインターフェース画面。

この辺の品質を引き上げるのも狙っているのでしょう。



②トヨタのプラットフォームを利用したい


自動車の車体って、ざっくり言うと車台(プラットフォーム)と上屋(ボディ)に分かれます。

ボディはすぐにイメージがつくでしょう。プラットフォームとは、エンジンやらトランスミッションやらが載って、タイヤなどがつく下側の部分、シャシーと呼ばれるものです。

ミニ四駆をやっていた方はイメージつきやすいですよね?ボディとプラットフォーム(シャシー)がパカッと分かれたはずです。


そして、自動車の開発ではこのシャシーの開発にめちゃめちゃお金がかかります。シャシーは自動車の性能(カーブで曲がる時ふにゃふにゃにならないか?とか、衝突したときに前部でしっかりと衝撃を吸収するか?とか)を大きく左右します。だから、自動車会社は同じプラットフォームを利用して、ボディはいろいろとデザインを変えて車作りをするのです。


このプラットフォームをめぐっての提携も既に生まれています。つい先日のルノー・日産連合とメルセデスを擁するダイムラーの提携もこのプラットフォームを巡るものだといわれます。

テスラも、トヨタがこれまでに多額の開発費をつぎ込んで開発したプラットフォームを利用したい、と考えている部分もあるのではないでしょうか。

そうするこで付随する部品も共通化できますしね。

←日産のEV専用プラットフォーム


ここまで話が進むのかはわかりませんが、テスラも色々とトヨタからうまみを引き出したいでしょうから、今後に注目です。

今のところ実益としては、トヨタが「NUMMIの閉鎖によるバッシングをそらせる」というところがメインですからね。


↑左:シュワちゃん=カリフォルニア知事。この3ショットはインパクトある・・・。

このブログ、よくテスラロードスターで検索して訪問していただくことが多いのですが、
その製造元であるテスラモータに関してビッグニュースがありました。それがコレ。


トヨタ自動車とテスラモーターズがEVで資本提携!


携帯のニュースで見てビックリしました。今までそんな空気微塵も感じませんでしたからね。
この提携の詳細はこの記事 でも見てもらうこととして・・・この提携の中心は次のあたりにあると思います。


トヨタ&テスラ提携の思惑


【トヨタ自動車】
①中・長距離EVを商品として持っておきたい
②EV用大容量バッテリの制御技術を手に入れたい
③NUMMI閉鎖の批判をかわしたい

【テスラモーターズ】
①EV量産の技術・部品・環境を手に入れたい
②トヨタのプラットフォームを利用したい


それでは・・・


日本の技術を考えよう!

まずはトヨタ自動車側から。

①中・長距離EV

トヨタはプリウスのおかげで一躍ハイブリッドで有名ですが、いわゆる”次世代環境車”と言われる分野は全方位から開発を行っていて、EVやFCV(燃料電池)も開発中です。ハイブリッドもエンジンとっぱらえばEVですしね。

ただ、EVは走行距離の制約から、まずは近距離用(満タンで100km以下程度)からしか普及するだろう、という姿勢を貫いていました。例えば、東京モーターショーで発表されたコレ↓とか。

iQベースの小型車、バッテリ容量も少なく、近距離用の街乗りEVですね。

一方、三菱自動車のi-MiEVや日産自動車のLEAFなど、積極的に市場投入されているEVは走行距離160km程度のものです。このような性能のEVが市場に積極投入され、量産効果で価格も下げられて普及すると、EVの性能はコレ、という認識ができあがってしまう訳です。

当然価格をうんと下げれば、街乗り用としてのEVも売れると思いますが、EV車を専用設計するにはコストが高くつきます。(自動車は高度な安全性能が求められるため、量販できない限り価格は高くならざるを得ないのです。特にEVはバッテリの安全性がとっても重要ですから。)

また、街中での急速充電器も今後それこそ急速に普及してきていますし、今後も加速していくでしょう。そうなるとEVで街中だけではなく、街から街への移動もハードルが下がってきます。

各国政府の補助金など、EVの普及への追い風は確実に吹いています。この流れの中で、トヨタは中距離以上の走行距離を持つEVを即商品として手に入れたかったのでしょう。


②バッテリ制御技術

次に、バッテリの制御技術について。テスラロードスターはノートPC用の汎用18650規格(単三乾電池みたいな形)のリチウムイオンバッテリを6831個搭載しています。総容量は約50kWhにもなり、i-MiEVの約3倍にもなります。こんなにたくさんの電池を積むと、難しくなるのが充電技術です。


よく単三電池の充電器とかで、「古い電池と新しい電池を混ぜないでください」といった記載を見掛けませんか?あれは、電池の個体差があると、各電池の電圧などが微妙に異なり、抵抗差により発熱などの原因になるからです。特にEVに搭載されるリチウムイオン電池は、エネルギー密度が高く、電流を流しすぎたり、空になるまで使ったりすると、簡単に膨張や破裂といった事故につながります。テスラは6831個のバッテリを個々に監視して安全にEVを走らせることのできる高いバッテリ制御技術を持っているということになります。トヨタがそれを手に入れたかった可能性もあります。


(ちなみに、トヨタが今後のハイブリッドやEVに搭載するリチウムイオンバッテリはパナソニックと組んで開発しています。ただ、三菱(供給元はGSユアサ)や日産がバッテリの安全性をつかさどる正極材により安全なマンガン系を選んだ一方、トヨタ陣営はエネルギー密度のより高いコバルト系の材料を選んだために安全性が確保できず、開発に遅れをきたしている、といった噂があります。)


③NUMMI閉鎖の批判

最後に、すぐにでも提携の効果が発揮できそうなのが、「NUMMI閉鎖による批判をかわす」というところです。

NUMMIはトヨタとGMが共同で車の生産を行っていた、ちょっと特殊な事情の工場です。しかし、GMの破綻によりNUMMIからGMは手を引き、1社では工場を維持できなくなったトヨタも、やむなく工場を閉鎖、従業員を解雇という結果となりました。

当然、この決断にが批判の声が上がります。特に工場のあったカリフォルニア州では。またそんな折、アメリカでのトヨタの一連のリコール問題により、世論の風はトヨタに対して非常に冷たいものにもなりました。

今回の提携はこれらの批判をかわす手の一つでもあります。なぜなら、テスラの次期EV「モデルS」はこのNUMMIで生産されるからです。既にNUMMIの元の従業員から1000人を再雇用することが決まっているようです。

↓モデルS


以上、今回の提携にまつわるトヨタ側の思惑、理解して頂けたでしょうか?

長くなりましたので、テスラ側の思惑はまた明日アップします。


ご意見、ご感想はコメントにてお願いします!

本日こちらのイベントに行ってきました。


日本の技術を考えよう!


アメブロの広告で存在を知った、「宙博(そらはく)2009

宙を「そら」と読むところが、なかなか玄人好みで、気になって行って来ました。


ところが、この人、人、人!!

日本の技術を考えよう! 日本の技術を考えよう!


入場するのに列ができていて、40分ほど待ちました。

今日はファミリーデーということで、子供連れが非常に多く、子供達も目を輝かせて展示を回っていました。

航空宇宙を勉強した者として、子供たちの宇宙への憧れが健在なのを見て嬉しかったです。

「宇宙飛行士検定試験」という、宇宙に関するペーパーテストがあったので、上級の問題を解いたのですが、

宇宙技術から宇宙物理・天文まで幅広い知識が問われるもので、かなり難しかったです(汗


宇宙と共に掲げられたもう一つのテーマが「環境」です。

天井からはたくさんのアルミバルーンが吊り下げられていたのですが、これは二酸化炭素をイメージしていたのかも知れません。


そのなかでも一番のお目当てがコレ、


日本の技術を考えよう!

アメリカのベンチャー、テスラモーターズが販売する電気自動車、「テスラ ロードスター」。

1000万を超える価格ながら、航続距離は300km以上、加速性能も0-100km/hが3.9秒という性能を武器に、富裕層向けに販売を伸ばしています。

また米国のグリーンニューディール政策の一環として、米国エネルギー省は低燃費車の生産資金として合計80億ドルの低金利融資を発表しており、テスラモーターズはそのうち4億6500万ドルの融資を受けて工場建設に充てる予定。

(ちなみにフォードは59億ドル、日本の会社ながら日産自動車は16億ドルの融資を受け、電池生産設備投資などに利用される。)
展示されていた車は、中古車販売のガリバーが米国から輸入したもので、来春に実際に販売される予定という。日本ではまだこの1台しか存在せず、大変貴重な1台である。


ぱっと見、車として非常にまとまっているなぁという印象。というのもこの車、ベースとなっているのがイギリスのロータス社のエリーゼという車がベースとなっています。

この車からエンジンを取っ払ってバッテリとモーターを搭載しているのですが、改造のために形状が無理やり変更されているというわけでもなく、純粋にきれいでカッコイイスポーツカーですね。


日本の技術を考えよう!
ロータス・エリーゼ


まずパワーユニットですが、コクピットのすぐ後ろ、バックスペースの1/4ほどがバッテリとなっているそうです。

さらにその後ろ1/2程度が充電などの制御ユニット、そして最後尾の1/4が荷室スペースとなるようです。

よって、ほとんど荷物は積載できないのではないでしょうか。(残念ながらトランクルームは見せてもらえませんでした。)

ちなみに、このバッテリはユニットとしてメルセデスに販売され、スマートのEVに搭載される予定です。

充電はサイドにある充電口から。アメリカ式の240V-3.5Aで、3.5時間でフル充電できるようです。(公式HP)

プラグ形式は、日本で標準化されている形式とは異なり、現在設置されている急速充電器などは利用できないそうです。


日本の技術を考えよう!  日本の技術を考えよう!  

左:コクピット後ろ、右:充電口

ベースとなるエリーゼがミッドシップということで、元々エンジンが積載されていた場所にバッテリ・制御ユニットをを搭載しています。冷却方式は水冷、フロントのラジエータで熱交換しているようです。

よって、ボンネットの隙間からは大型の冷却ファンが2基のぞいています。


日本の技術を考えよう!  日本の技術を考えよう!
左:冷却ファン、右:車体下面


また、車体の底面は全てパネルでおおわれ、空気抵抗を最低限に抑える設計となっています。


さて、コクピット周りですが、エリーゼのものを流用しているとは思うのですが、1000万円台の車とは思えない程プラスチッキー。

ハンドルの触感やウィンカー・ワイパーレバーの操作感も日本のコンパクトカーのそれとあまり変わらないのでは・・・。

メーターパネルの左下にはバッテリの状況を表示する液晶モニタが設置。ただ、画面サイズは小さく、表示内容も最小限、ドライバーからも非常に見づらい位置にありました。

(それと比べると、日産LEAFなどはバッテリ残量や航続距離、走行可能範囲などがドライバーから見やすい場所に集約されており、いい感じです。http://www.nissan-zeroemission.com/JP/LEAF/design.html


日本の技術を考えよう!  日本の技術を考えよう!


またシフトはR-N-Dのみとシンプル。この車にはJVCのオーディオが搭載されていました。


日本の技術を考えよう!

さて、説明員の方に数点質問しました。


Q:日本で車検を通すにあたり、何か変更した点はあるのですか?

A:ウィンカーはアメリカ仕様は赤色でしたが、日本で適合させるために黄色に変更しています。その他はほぼそのままです。


Q:バッテリのへたりはどの程度ですか?

A:テスラ社では16万kmを保証しており、通常の使用ではほぼ気にしなくてよい程度になると思います。


Q:整備などのアフターサービスはどのような体制となるのですか?

A:車体については通常の整備工場などで対応できます。バッテリ・制御ユニットについては、(隣で展示していた)Sim-Drive社に委託する形となると思います。


Q:販売価格はどの程度になるのですか?

A:米国では中古価格でも1200万円程で取引されています。ただし、ある程度価格は抑えたいと思っています。


日本では大変貴重な車ですので、このように間近で見学できる機会に恵まれてありがたい限りです。

(試乗会も企画されていたようですが、諸事情により中止ということした。残念ですが、代わりにじっくりと見学できたのでよかったです。)

ガリバーでは来春販売とのことなので、今後のニュースに注目したいと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


おまけ


日本の技術を考えよう!  日本の技術を考えよう!


左:コクピットまわり、右:表示モニタ
今回はEV時代になると、既存の自動車会社はどうなるのか?という疑問について考察していきたいと思います。

自動車産業は、エンジン技術の向上とともに発展してきた経緯があります。
現在のエンジン技術はとても高度です。

1分間に数千回転というピストン回転にも耐えられる材料技術、構造設計
燃費向上、排ガス抑制のために最適燃焼に近づける燃料噴射制御
エンジンを一定の品質で1日に数百台、数千台と生産する大量生産技術

これらの高い性能を実現するために、自動車会社はその長い歴史のなかで「擦り合わせ」という様々な問題をサプライヤーも含めて人が過去の蓄積されたデータや経験、カンを武器に達成してきた経緯があります。これが他の会社が自動車産業には参入できない高い壁になっています。
ちなみに、中国メーカーは日本メーカーなどからエンジンを供給してもらい開発に参入しているところもあります。

それがエンジンとモーターが主流のEV時代になるとどのように構造が変化するのか?
という問題意識をもって次の本を読みました。

「エンジンのないクルマ」が変える世界/大久保 隆弘
¥1,680
Amazon.co.jp
この本によると、
これまで自動車メーカーはエンジンを内製化してるからこそ、製造業ヒエラルキーの頂点に立ち、強力な取引関係の地位と莫大な売上高を保持してきた。
しかし、EV時代になると優れた電池を手にする自動車メーカーが優位性を持つ。

バッテリ技術にはこれまでの機械工学的「擦り合わせ」は通用せず、電気化学のイノベーションにより発展する。
電池開発の特徴として、
・突如とした進化(イノベーション)
・段階的進化(20,30年で次のステージ)
これは電池開発がセレンディップであり、開発者の経験と熟練、カンによるところが大きいことによる。

ここまで読むと、既存の自動車メーカーは今後苦境を強いられそうに感じます。
しかし、EV時代にも通用するもう一つの自動車開発のコア・コンピタンスがあると述べられています。
それが、

・「走る、曲がる、止まる」という自動車独自の設計、開発、製造技術
・大量に販売するマーケティング機能
です。
マーケティング研究、基盤研究から設計開発、生産、アフターセールスまでのトータルプロセス、また3万点にも及ぶ部品を関連企業とともにインテグレーションする活動。
これにより自動車はグラム単価2円!に満たない、特売の外国産牛肉並みの値段で、最新のハイテク技術を大量の金属・プラスチックで作り上げ、10万キロ以上故障せずに走るものに仕上がっている。

このように、EVの時代では電池技術がカギを握り、電池メーカーの存在感が大きくなる一方で、既存の自動車メーカーが持つ優位性も確固たるものであるという印象を受けました。
特に最後の単価2円という表現は、非常に驚きがあるフレーズでした。

この本、現在のEVを取り巻く状況~今後のEV時代での構造変化について、重要なポイントを網羅して、それぞれキーパーソンの言葉をもとに詳しく、かつわかりやすく述べてあり、電気自動車の産業構造について学びたい人におススメです。

今回はもうひつとつのEVのコア部品であるインバータについて触れませんでした。
電費効率を握るこの部品、最近SiC素材という新たなイノベーションがおきていますので、今後の機会に取り上げてみたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

本日、日経によりフランスの自動車大手プジョーシトロエングループ(PSA)は三菱自動車に資本参加すると伝えられました。
資本規模は2000~3000億円で、議決権の3~5割を握り、三菱自動車は実質PSAの傘下となる見込みです。
これにより世界の自動車販売勢力図は、
1 トヨタ 897
2 米GM 835
3 独VW 623
4 日産・仏ルノー 609
5 米フォード 540
6 仏PSA+三菱自 445 
となり、世界で第6の勢力となる予定です。
この報道を受けて本日の市場では、三菱自動車の出来高は1億1132万株で第2位、株価も前日比16円高(13.45%)の135円と上昇しています。

この電撃的な提携のカギを握ったのが、三菱自動車の量産型電気自動車、i-MiEVです。
i-MiEVは既に来年からPSAにiOn(プジョー)、Cゼロ(シトロエン)としてOEM供給が決まっています。

日本の技術を考えよう!
日本の技術を考えよう!
(上:iOn、下:Cゼロ)

今年7月に開催されたATInternationalの会場で、このi-MiEVに試乗運転することができ、以下の点を感じました。

・加速が非常に滑らか。特に時速20km/h程度から中速域の伸びが、リニアでどこまでも加速していくようなすばらしさ。
・一方でゼロ加速は思ったほどでもなかった。日産のLEAFがV6並みの加速性能を謳っているのに比べると物足りなさ。(バッテリー、モータの耐久性を考えたトルク制限か?)
・ハンドリングはまさに”普通の車”という印象。
・車内がとても静か。それ故にサイドミラー付近から聞こえてくる風きり音が非常に気になる。

サイドミラーの風きり音については、車内の静粛性が通常のICE(内燃機関)車と比べてずば抜けたバリューであるだけに、残念に感じました。
日産のLEAFでは、風きり音も考えたヘッドランプ周りのデザインとなっているようです。

http://journal.mycom.co.jp/news/2009/08/03/013/index.html