【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
通常放射線量の7500倍 事故直後の付近民家


東海村臨界被ばく事故で、9月30日午前の事故発生から約1時間後、現場となったジェー・シー・オー東海事業所転換試験棟に最も近い民家付近で、放射線量が通常の約7500倍にもなっていたことが茨城県などの測定で1日までに、明らかになった。
付近民家に警察や村から避難の呼び掛けがあったのは、1時間半以上が経過してからで、連絡、広報体制の不備があらためて問題になりそうだ。

県などの測定結果のまとめによると、発生約1時間後の午前11時36分から同50分まででは、現場西側の各ポイントで測定値が高く、特に南西側約150メートルの民家付近では、1時間当たり840-190マイクロシーベルトを計測した。通常の約7500倍から1700倍の数値だ。

一方で、東海村役場にジェー・シー・オーから「臨界事故の可能性がある」と連絡があったのは、事故から1時間近く過ぎた午前11時34分ごろ。ひたちなか西署が、現場から半径200メートルを立ち入り規制したのはさらに遅れ、午後零時10分だった。
問題の民家近くでは、午後7時過ぎになっても、500-120マイクロシーベルトを計測。転換試験棟から1キロ程度離れている東側の各ポイントでも、同日夜までの5回の測定で、毎回、通常の数十倍の放射線量を計測した。

(共同通信 1999/09/30)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
初の臨界事故、制御不能 2人が原爆並み被ばく


茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー東海事業所で30日午前、放射能が漏れて社員3人が重度の被ばくをした事故は、日本初の臨界事故で、国内原子力施設事故で初めて、30万人以上の住民が避難や屋内退避する事態に発展した。


敷地内などでは同日夜、放射線レベルが推定で通常の2万倍に達し、原子力安全委員会は同日夜になっても、施設内で核反応が止まらず、臨界が続いているとの見解を示した。橋本昌茨城県知事は、1日午前1時18分、陸上自衛隊に災害派遣を要請した。

社員の被ばく量は、少なくとも8シーベルトと原爆被爆に匹敵し、2人が重症。事業所内にいた同社社員11人と、近くの建築現場にいた作業員5人も被ばく、被ばく者は計19人になった。原因は作業上の判断ミスの可能性が大きく、事故対策も手付かずで、日本の原子力事故で最悪となった。

政府は、対策本部を設置、本部長の小渕恵三首相は「厳しい事態と判断される」と内閣を挙げて、万全の対策を取るよう指示。状況次第で退避要請の範囲を拡大する。

同社などによると、核分裂反応の時に出る中性子の値が、工場敷地内で30日夕から午後9時すぎになっても、通常の1万-2万倍の放射線量に当たる1時間当たり3ミリ-4ミリシーベルトを記録。事故直後、周辺の舟石川測定所などで空間線量率が通常の約7-10倍に上昇した。

茨城県は半径10キロ以内の9市町村住民31万3000人に屋内に退避することを呼び掛け、JR常磐線は水戸-日立間で運転を中止。住民約160人が避難した。文部省は半径10キロ圏の学校に、10月1日を休校とするよう要請した。原子力事故で周辺住民の避難などが行われたのは例がないという。

事故があった東海事業所転換試験棟では、ウラン酸化物を硝酸に溶かす作業中。沈殿槽と呼ばれる容器にウラン化合物を移す際、制限値の2.4キロを超える約16キロの放射性物質を入れ臨界に達したらしい。事故原因について同社は通常は配管を通じて移すところを、社員が手作業で行うなど、作業上の判断ミスの可能性が大きい。

茨城県警によると、重度の被ばくをしたのは同社社員の大内久さん(35)=常陸太田市山下町、篠原理人さん(39)=日立市田尻町2丁目、横川豊さん(54)=ひたちなか市足崎=の3人。最も重症の大内さんは、事故発生直後、施設内に倒れており、おう吐の症状があった。
3人は同日午後、ヘリコプターで千葉県の放射線医学総合研究所に運ばれたが、同研究所によると、大内さんと篠原さんは、少なくとも8シーベルトという大量の放射線を浴びている。大内さんは、重い下痢で、意識障害がある重症。篠原さんにも意識障害がある、という。

科技庁は10月1日未明、沈殿槽の周囲を覆っている容器中の水を抜き、連鎖反応の原因となる中性子を拡散しやすくする対策の検討を始めた。
被ばく者の1人は「約16キロのウランを溶解槽に移している時に青い光が出た」と話している。この施設では核燃料サイクル開発機構の高速増殖炉実験炉常陽のための燃料加工の一部を行っており、扱うウランの濃縮度は19%と、通常の原子炉燃料に比べて高かった。
同社から科技庁などへの連絡は事故発生から45分後で、連絡態勢にも問題を残した。

(共同通信 1999/09/30)




【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
米政府ウラン工場放射線環境汚染を認める


【ワシントン16日共同】16日付の米紙ワシントン・ポストは、ケンタッキー州のウラン濃縮工場で問題になっている放射能汚染で、がんなど健康被害を受けた従業員に総額2000万ドルを超える補償を行う方針を米政府が決めた、と報じた。
同工場は、1952年から核兵器や原発燃料製造のためウラン濃縮を行っている。同紙が先月、従業員が起こした訴訟記録などをもとに深刻な汚染が起きていると報じ、エネルギー省が調査を進めていた。
同省が14日発表した調査報告は、現在は従業員や周辺住民の健康への危険は少ないとしながら、「汚染管理は以前より著しく改善した」との表現で、過去には汚染があったことを事実上、認めていた。

(共同通信 1999/09/16)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

重大な事故につながる恐れ 英核監視団体が警告


【ロンドン14日共同】核燃料の積み出し港、英北西部バローで核監視団体「CORE」を主宰するマーティン・フォーウッド氏は14日、英国核燃料会社(BNFL)の検査データ不正について「重大な事故につながる可能性がある」と警告、同社の危機管理の実態を強く批判した。
同社は不正発覚後も「規格より大きなペレットは被覆管に入らず、実際の輸送に用いられることはない」と安全性を強調しているが、フォーウッド氏は「被覆管には余裕があるため、規格より多少大きなペレットも入ってしまい、輸送中や使用中に破裂する危険がある」と語った。
規格より小さなペレットが被覆管に入れられた場合は、輸送の際の振動などで破裂する恐れがあり、「BNFLの主張には大きなウソがある」と指摘している。

(中日新聞 1999/09/15)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

核燃料データねつ造 高浜プルサーマル用、寸法測定せず
英社が報告 燃料漏れの可能性


関西電力は14日、高浜原発(福井県高浜町)3号機で予定されているプルサーマル用のウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料について、製造委託先の英国核燃料会社(BNFL)による品質管理検査のデータねつ造があったことを明らかにした。BNFLは関電などに対し、輸送中の高浜4号機向けのMOX燃料には問題ないとしているが、通産省・資源エネルギー庁は詳細な調査を指示、関電は現地に調査員を派遣した。高浜4号磯では11月にも国内初のプルサーマルを実施する計画だが、延期の可能性も含めスケジュールに微妙な影響を与えそうだ。

関電によると、データねつ造があったのは、ウランとプルトニウムを焼き固めた円筒形の燃料「MOX燃料ペレット」を製造する際の品質管理検査。ペレットの直径の寸法について、実際には測定せずに架空の数値を記録していたことがBNFLの内部調査で判明し、13日に関電に報告された。

ペレットは直径8.179-8.204ミリ、高さ10.0-13.0ミリの円筒形。BNFLは製造工程中にもすべてのペレットについて直径の寸法を自動測定した後、品質管理検査でも1口ット(約3000個)から200個を抜き取り、再度寸法を測定しているが、11ロットの検査データに不自然な数値が見つかった。

高浜3号機は来年にもMOX燃料を利用したプルサーマル発電を実施する予定で、25ロットで構成する燃料集合体を8体製造中だったが、すでに完成している4体はすべてデータねつ造の疑いのあるロットが含まれていた。MOX燃料は1本の被覆管(ジルコニウム合金製)にペレット約300個を入れ、長さ約3.9メートルの燃料棒となる。ペレットは規定外の寸法だと、運転中に被覆管が破損する恐れがある。
このため通産省は、BNFLが「問題ない」とした高浜4号機向けのMOX燃料も含め、再度詳細な調査を行うよう関電に指示。東京電力に対しても、福島第1原発3号機に利用するベルギー社製造のMOX燃料について、検査データを確認するよう指示した。

現在、海上輸送中の高浜4号機向けのMOX燃料は今月中にも到着するが、通産省では「安全性を確認し、信頼を得なければならない。99年中にプルサーマルを開始できるかできないか、現時点では何とも言えない」として、スケジュールの変更もあり得るとの見通もを示した。


国に徹底調査を要請 

栗田幸雄・福井県知事の話 昨年の輸送容器データ改ざんに続いてMOX燃料製造時データの疑義が判明したことは、原子力発電に対する国民・県民の不信感を招くものであり、極めて遺憾である。福井県は国と関西電力に対して徹底した調査を強く要請した。県はその結果を確認のうえ、高浜原発におけるプルサーマル計画についても必要な判断をする。


<プルサーマル> 使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムをウランと混ぜた燃料に加工し直し、再び普通の原子力発電所で燃やすこと。政府は使用済み核燃料をそのまま廃棄する方式に比べてウラン資源を有効利用できるとしており、97年2月の閣議でプルサーマルの早期実施が了解された。日本の電力会社は、今回プルサーマル用燃料を輸送している関西電力高浜原発4号機、東京電力福島第1原発3号機を皮切りにプルサーマルを拡大していく計画で、2010年までに16-18基の原発で実施する予定。


<解説> 今回、製造デ-タがねつ造された混合酸化物(MOX)燃料のペレットは大きさが指先程度で、核燃料を構成する基本単位。ジルコニウム合金製の燃料被覆管に封入し、燃料棒として扱う。ペレットは原子炉で燃やすと核分裂の影響で膨張するため、もしペレットの寸法が大きいと被覆管を圧迫し、逆に小さい場合は内部で震動を起こす。最悪の場合は被覆管が割れて燃料が漏れだし、安全性に影響が出る可能性がある。
プルサーマル用のMOX燃料は通常のウラン燃料と同様、原料粉末を円柱形状に焼き固めた後、削って寸法を整える。焼結に伴う寸法変化があるためで、直径の寸法を8.179-8.204ミリの範囲に抑えることになっている。
こうした要求に対応するため、英国核燃料会社(BNFL)の工場でもペレットの寸法測定で精度が0.1マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルという超高精度のレーザー光測定器を導入しているうえ、二重に寸法をチェックする品質管理体制を敷いている。
今回問題になっているMOX燃料の一部はペレットを入れた燃料棒を束ねた最終製品になっている。被覆管は両端を溶接しているため、被覆管からペレットを取り出して寸法を再確認することは事実上不可能。通産省が核燃料を原子炉で利用する前に行う検査も、燃料棒を束ねた製品の外観検査だけで、それ以外には製造記録と製造管理体制の確認にとどまっている。

(日本経済新聞 1999/09/15)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

米核兵器製造で周辺住民被爆


【ワシントン8日共同】リチャードソン米エネルギー長官は8日、ケンタッキー州のウラン濃縮工場で従業員がプルトニウムを含む粉じんに汚染されていたとのワシントン・ポスト紙の報道を受け、「事実解明の完全な調査」に乗り出すとの声明を発表した。

声明は、事実関係と責任者を解明し、再発防止策を徹底すると述べている。
同紙によると、核兵器に使われる高濃縮ウランなどが作られた同州バデューカの濃縮工場で、1950年代半ばから汚染が始まったが、請負企業が隠ぺいし、今年6月に従業員3人が訴訟を起こした。

長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設が7日開いた「原研公開セミナー」で、米ワシントン公衆衛生研究所のサンディー・ロック医師が「核兵器用のプルトニウム製造工場周辺で1940年から72年にかけて、約200万人が被ばくした可能性がある」などと報告した。

セミナーは、放射能の人体への影響を知ってもらおうと開催。長崎市民ら約60人が参加した。ロック医師は、長崎に投下された原爆が製造されたワシントン州のハンフォード核施設周辺の住民の健康調査を実施している。
ロック医師によると、同施設では、プルトニウム浄化工場から放射性物質が排出、約200万人が被ばくした可能性があり、特に、子どもの被ばくがひどかったという
また、セミナーではロシアやカザフスタンの医師らが、旧ソ連の核実験場だったセミパラチンスクの現状などを説明。参加者から「どの程度情報公開されているのか」「核実験の影響は」などと、質問が相次いだ。

(共同通信 1999/08/09)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故

米ウラン濃縮工場汚染 政府と企業が隠ぺい ワシントン・ポスト報道


【ワシントン8日共同】米ケンタッキー州のウラン濃縮工場(国有)で、多くの従業員がプルトニウムを含む粉じんにさらされていたことを政府と操業を請け負う企業が隠ぺいしてきたと、8日付の米紙ワシントン・ポストが訴訟記録などを基に報じた。ずさんな安全管理と汚染の隠ぺいが明らかになったのは、同州パデューカのガス拡散方式の濃縮工場。1952年に操業を開始、1800人以上の従業員を抱え、一時は原発燃料の低濃縮ウランに加え原爆に用いる高濃縮ウランも製造していた。
同紙によると、工場はウラン専用の設計だが53年ごろから、原発使用済み燃料から分離したウランが使われるようになり、混入したままのプルトニウムの汚染が広がった。汚染は50年代半ばから70年代がひどかったが、操業を請け負う企業が隠ぺい。90年代になっても汚染は続いているとして、今年6月、従業員3人が企業側を相手に提訴した。
請負企業の1つ、マーチン・マリエッタ社が92年にまとめた報告書は、工場が重大な環境問題を抱えているとし、従業員に放射線被害が出る恐れも指摘していたことが分かった。工場を所管するエネルギー省は汚染があったことを一部認める一方で「従業員らの健康が懸念されるような汚染ではない」との立場を取り続けている。

(毎日新聞 1999/08/09)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】
憲法に『原発禁止』 オーストリアが明記 欧州初


【ウィーン14日富田光】

オーストリア国民議会(下院)は13日開いた本会議で、原子力発電所の建設や核兵器の製造や国内持ち込みなどを全面的に禁止する非核化を新たに憲法に盛り込むことを全会一致で承認した。核の禁止を憲法に明記するのは欧州ではオーストリアが初めて。
オーストリアでは1978年、ウィーンの西約50キロのツウェンテンドルフにある唯一の原子力発電所の稼働の是非をめぐり国民投票を行い、操業停止が決まっていた。それ以降、国内には核関連施設は一切建設されていない。
またこの国民投票の結果を受け、平和利用を含む非核化を定めた一般法が制定されていた。今回の議会承認は、非核化を一般法から憲法に格上げして明記することで、核の全面廃絶に向けた全国家的な意志を内外に示したものとみられる

(中日新聞 1999/07/14)

【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

ロ当局が原発大事故を警告 プルトニウム生産炉で

【モスクワ8日共同】


8日付のロシア紙、独立新聞によると、西シベリア・トムスク州セベルスク近郊にある化学コンビナートの兵器用プルトニウム生産用原子炉で6月14日に起きた放射能漏れ事故について、ロシア原子力監督局は、事後処理を誤れば1986年のチェルノブイリ原発事故を上回る大事故が起き得ると警告した。

原子力監督局は、安全性が確認されるまで事故の起きた炉を通常の出力で稼働しないようコンビナート側に命令した。しかし、同原子炉は地元に電力も供給しているため、コンビナート側は早期の出力回復を政府に要望、監督局が懸念を強めている。
事故の詳細は不明だが、同紙は、原子炉の核燃料棒が落下、うち8本は中央ホールの床下に残った状態だと報じた。コンビナート側は、放射能レベルを下げるため床下を鋳鉄で埋めたが、原子力監督局の専門家は、この処置が原子炉に悪影響を及ぼしているとみているという。
同原子炉は、チェルノブイリ型と同じ黒鉛減速炉だが、チェルノブイリ型より旧式。事故の際には、作業員2人が被ばくした。

(共同通信 1999/07/09)


【昔から事故だらけの原発 1976年~の事故】

放射能被ばくにコーヒーが効く カフェインが障害防止
インドの研究チームが発見


【ロンドン24日共同】インドの科学者チームがコーヒーなどに含まれるカフェインが放射能被ばくによる障害の防止に有効なことを発見、24日発売の英科学誌ニュー・サイエンティストに発表した。
ムンバイにあるバーバ原子力研究所のチームがマウス471匹に異なる量のカフェインを注射後、致死量とされる7.5グレイのガンマ線を照射したところ、照射の1時間前に休重1キロ当たり80ミリグラムのカフェインを与えたマウスの70%は25日以上生きていた。
対照的に、カフェインを全く与えなかったマウス196匹はすべて死んだ。
また、ガンマ線の照射30分前に、同100ミリグラムのカフェインを注射したマウスの大半も同程度の期間を生きていたが、同50ミリグラム以下のカフェインを与えたマウスや、ガンマ線照射後にカフェインを与えたマウスはいずれも死んだという。
責任者のK・C・ジョージ博士は、放射線を浴びた細胞組織がつくり出す水酸基にカフェインが反応し、水酸基が骨髄による血液生成などの体機能に及ぼす悪影響を防ぐと説明。
マウス実験をそのまま人間に当てはめることは難しいとしながらも、実験結果は「コーヒーが放射線汚染に有効であろうことは示唆している」と強調している。
カップ1杯のコーヒーには80-100ミリグラムのカフェインが含まれており、体重70キログラムの人間がマウスと同率のカフェインを取るためには100杯以上を飲む必要がある。

(中日新聞 1999/06/24)