ピンク・フロイド（Pink Floyd）の 1974年の活動は，6月18日トゥールーズのパレ・デ・エクスポジション公演を皮切りに，6月26日パリのパレ・デ・スポール公演まで行われた短期間（7公演）のフランス・ツアー（「 French Summer Tour 」）からスタートします．
このフランス・ツアーでは，過去のツアーで "Atom Heart Mother" や "Echoes"，"Dark Side Of The Moon" 他のようにリリース前の曲を実験的に演奏する手法と同様に新曲 "Shine On"（後の "Shine On You Crazy Diamond"），"Raving and Drooling"（後の "Sheep"）の 2曲が 1st Set にて演奏されています．
このフランス・ツアーのセット・リストは以下に示すように，1st Set が新曲 2曲と "Echoes"，2nd Set が 「 The Dark Side Of The Moon 」 で構成されていました．
[Set List]
1st Set
01. Shine On
02. Raving And Drooling
03. Echoes
2nd Set
01. Speak To Me
02. Breathe
03. On The Run
04. Time
05. The Great Gig In the Sky
06. Money
07. Us And Them
08. Any Colour You Like
09. Brain Damage
10. Eclipse
[Encore]
11. Careful With That Axe, Eugene (6月18日－22日)
12. One Of These Days (6月24日－27日）
上述のフランス・ツアー終了から 4か月半を経過した11月，新たな曲 "You've Got To Be Crazy"（後の "Dog"）を携え 11月4日スコットランドはエディンバラにあるアッシャー・ホール公演を皮切りに，12月14日ブリストルの ヒッポドローム公演まで英国ツアー（「 British Winter Tour 」）を行います．
この新曲："You've Got To Be Crazy" の追加演奏に伴い，フランス・ツアーでは 1st Set で演奏されていた "Echoes" は 1st Set からアンコールでの演奏へと変更されます．
なお，このブリティッシュ・ツアー（「 British Winter Tour 」）からは，11月16日ロンドンはウェンブリーのエンパイアー・プール公演や，11月19日ストーク・オン・トレントのトレンザム・ガーデン公演の高音質音源が，アナログ・ブート 『 British Winter Tour 74 （PFL7501） 』 等 として出回ってしまい，それが空前のヒットとなった関係で，次のオフィシャル・アルバムの内容を変更せざるを得なくなった事，またアルバム・リリース前の新曲を新たに披露しなくなった事は有名な話．
本アイテムは，11月14日－17日に 4夜連続で行われたロンドンはウェンブリーのエンパイア・プール公演から，3日目に当たる 11月16日の 2種類のオーディエンス録音とサウンドボード録音を収録し，SEPAK-EZYレーベルよりリリースされた 6枚組の 『 Brain Damage : Wembley 1974 3rd Night （SPE-111674） 』 です．
既発では，Sigmaレーベルから完全版ではないですが，マトリックス音源として 『 Wembley 1974 Pre FM Master : 3 Source MIX （Sigma 227） 』 他がリリースされていますが，今回のリリースは，全体を網羅しており，このアイテムと，『 Wembley 1974 Pre FM Master : 3 Source MIX （Sigma 227） 』 があれば，この日の音源としては充分ではないでしょうか．
メーカー情報では
『★1974年 British Winter Tourよりウェンブリー公演3日目の決定盤が登場！
★オーディエンスソース2種類と、さらにおなじみSBソースを収録！
★Disc1-3オーディエンス部は、サブソース補填により初のライブ完全収録バージョン
1974年英国ツアーより11月16日ウェンブリー三日目公演を完全収録した6枚組決定盤！
この16日公演はBBCによるSB音源があるため、アナログ時代から散々音盤化がなされてきました。
また、近年も「狂気」と「炎」の公式Immersionボックス(EchoesはEarly Years Box)などに、このウェンブリー公演からとされるライブテイクが分散して収録されましたが、そこではどうやら16日公演と前日15日公演のライブテイクを中心とした編集バージョンとなっているようで、曲によってはあからさまな曲中の差し替えやエディットなどもあり、まだまだ各日単体での鉄壁収録バージョンの存在価値はある。
しかも、16日公演に関しては、散々BBC音源でのリリースが繰り返されてきた弊害なのか、当ライブの全貌を捉えたアイテムとなるとこれが意外なほどにリリースが少なく、今回実に久々の登場で、なおかつ16日公演の完全収録アイテムは本盤が史上初！
Disc1-5枚目には、現存する2種類のAud音源(ネットではない)を駆使し、過去最長かつ最高音質のベストバージョンで収録。
Disc6にはおなじみBBCバージョンをベスト収録。「狂気」は意外にも久々の完全版(*理由は後述)での収録！
まず1-5枚目のAud音源部分ですが、1-3枚目に便宜上Rec#1、 4-5枚目にRec#2と収録。
Aud音源2種の特徴(主観です)
・Rec#1 (Disc1-3メイン収録)
Echoesを含む本公演としては最長収録音源。
若干の距離感とムーディーな質感をもったステレオ録音ですが、非常に臨場感のあるサウンドで、ヘッドフォンで聴くと会場そのまんまの雰囲気が味わえ、「狂気」演奏中のエフェクト音の生々しさが凄まじい録音。
"Any Colour You Like"に唯一の曲中カットあり。他にも曲間カットはありますが、そのかわりに、「狂気」演奏開始前の鼓動SEが聞こえる前からの部分(単なるオーディンスノイズではありますが)をかなり長く収録しているのも他では意外と聴けない貴重なポイント。(＊たいていのアイテムでは「狂気」の鼓動がフェードイン収録なので、その前からの収録は貴重かなと、、)
今回は欠落のあった"Any Colour"や曲間をRec#2で補填し全曲完全収録を実現。
さらに3枚目最後にボーナスで"Echoes"のマトリクスバージョンを収録しています。これはネットのマトリクスではなく、Rec#1音源とSB音源による独自マトリクスとなっております。
・Rec#2 (Disc4-5メイン収録)
Rec#1に比べステレオ感は控え目だが、演奏のパンチ・メリハリ度はこちらが上。
演奏がクッキリ聞こえる点でこちらを好む人もおられるかと。
"Speak To Me"がカットインするほか、"Echoes"が未収録。そのため、Disc4-5の2枚構成となっておりますが、それ以外の曲中カットはない。
今回は元々未収録のEchoesパートはオミット、ライブ出だしから「狂気」までの欠落をRec#1で補填し「狂気」までの全曲収録を実現。
以上、2種の音源を互いに補完しあい、2種類のAudベストバージョンを収録したのがDisc1-5のパート。
また、ともにネット音源ではなく、Rec#2のライブ出だしの司会者(？)のMCが3秒弱ながら長く収録されています。
6枚目に収録のSB音源は、ベースとなったのは既発でもおなじみHRVによるBBC Archives 1974音源から。
これだけなら「なーんだ」、と思われるかも知れませんが、このBBC音源、"Money"イントロのレジスター音が殆どのタイトルで一音欠落しています。
"Speak To Me"中のf*c*inなんちゃらの有無程度なら頻繁に引き合いに出されますが、"Money"イントロのレジスター音の回数に関しては過去にも記述は恐らくなかったのではないでしょうか。
今回はそのレジスター音を別マスター(ネットではない)で緻密に補填。よって、BBC音源に関しても音質ベストかつ「狂気」完成版収録となりました。その他、一部の既発で見られた「Speak To Me」から「Breathe」への切り替わり時の音声欠落も当然なし。収録時間の都合上「狂気」と「Echoes」の曲間等が幾分短くなってはおりますが、演奏部分は間違いなく本盤が最長収録です。
つまり、16日公演のBBC音源を「狂気」から「Echoes」まで1枚のCDで最高音質で演奏パートを漏れなく聴ける決定盤がこのCD6枚目となるわけです。
最後に、Immersion ボックス収録の音源と本盤の16日音源を ザ ッ ク リ と 比較
(＊あくまで ザ ッ ク リ です)
Immersion Boxのテイクでは、、
・全体を通してミックス、バランス、音の質感は大きく異なる。
・BBC音源で聞こえないオーディエンス・ノイズ(Aud音源との一致・不一致は不明)が多めに聞こえる。
＊臨場感付加のための意図的なオーバーダブ？？
・「Speak To Me」から「Breath」への繋がりが短く編集されている(実際あるはずのほんの僅かの「間」がない)
・「Time」イントロ(本CDタイム0:27付近から)がスタジオテイク風の低音「ジャーン」が付加されて厚みが増している
・「Time」リック・ライトのボーカルパート(本CDタイム2:35付近から)から別音源に差し替わる＊ここでBox音源では定位がズレるので、BBC音源との違いがすぐ分かる。
なお、当日のBBC音源とAud音源でもこのパートはPAアウト時のエフェクト機材の問題なのか何なのか不明ですが、互いに演奏が一致していないトラブルがあり。Audではリックが歌い出しを入り損ねたようになってしまっていて、演奏とボーカル(ディレイ処理でもかかったかのように)がズレて聞こえる謎のパート。
・「The Great Gig In The Sky」イントロピアノが全く異なる。Boxではスタジオテイクのピアノに似ている。
但しバッキングのギターは16日と同じに聞こえる。イントロ以降はピアノは16日と同じに聞こえる。
・「Money」以降
ネット上の議論では「Money」以降は15日の演奏とされている。実際演奏の長さが16日のテイクとは全く異なる。
他にも「Any Colour You Like」も演奏の長さが大きく異なり、16日のテイクではないのは明らかなようです。
・「Echoes」16日のテイクだが、終盤でみられたベースの演奏ミス(今回盤6枚目 12曲目17:27付近の演奏ミス)は差し替えられている。
・その他
「Shine On You Crazy Diamond」概ね16日の演奏ぽい。
「Raving And Drooling」16日の演奏っぽいがイントロのしゃべくるSEがBoxではオミットされている。
「You Gotta Be Crazy」CDタイム5:24付近で聞こえる謎音がBoxでもうっすらと確認できる。』
Brain Damage : Wembley 1974 3rd Night （SPE-111674）
Live At Empire Pool, Wembley, London, UK
16th November 1974
[Stereo Audience Recording #1]
Disc 1
01. Introduction
02. Shine On You Crazy Diamond
03. Raving And Drooling
04. You Gotta Be Crazy
TOTAL TIME (61:36)
Disc 2
01. Audience
02. Speak To Me
03. Breathe
04. On The Run
05. Time
06. Beathe (Reprise)
07. The Great Gig In The Sky
08. Money
09. Us And Them
10. Any Colour You Like
11. Brain Damage
12. Eclipse
TOTAL TIME (57:41)
Disc 3
01. Audience
02. Echoes
03. Echoes (SBD+Aud Matrix) (Extra Track)
TOTAL TIME (52:15)
[Stereo Audience Recording #2]
Disc 4
01. Introduction
02. Shine On You Crazy Diamond
03. Raving And Drooling
04. You Gotta Be Crazy
TOTAL TIME (61:38)
Disc 5
01. Audience
02. Speak To Me
03. Breathe
04. On The Run
05. Time
06. Beathe (Reprise)
07. The Great Gig In The Sky
08. Money
09. Us And Them
10. Any Colour You Like
11. Brain Damage
12. Eclipse
TOTAL TIME (57:40)
[Stereo Soundboard Recording]
Disc 6
01. Speak To Me
02. Breathe
03. On The Run
04. Time
05. Beathe (Reprise)
06. The Great Gig In The Sky
07. Money
08. Us And Them
09. Any Colour You Like
10. Brain Damage
11. Eclipse
12. Echoes
TOTAL TIME (79:53)
[Stereo Audience Recording #1]
Shine On You Crazy Diamond
The Great Gig In The Sky
Echoes
Echoes (SBD+Aud Matrix) (Extra Track)
[Stereo Audience Recording #2]
Raving And Drooling
Any Colour You Like
[参考]
詳細情報（メーカー情報より）
[Stereo Audience Recording #1]
★Disc 1-3 はサブソースで補填して初の完全収録バージョン
Disc 1
01. Introduction
⇒ ★出だし-1:11 Rec2補填
02. Shine On You Crazy Diamond
03. Raving And Drooling
★曲間Rec2補填
04. You Gotta Be Crazy
⇒ ★演奏後曲間Rec2補填
Disc 2
01. Audience
：：：：
09. Us And Them
10. Any Colour You Like
⇒ ★1:24-3:04Rec2補填
11. Brain Damage
12. Eclipse
[Stereo Audience Recording #2]
★本ソースは Echoes 元々未収録
Disc 4
01. Introduction
⇒ ★1:12-2:39Rec1補填
02. Shine On You Crazy Diamond
03. Raving And Drooling
04. You Gotta Be Crazy
Disc 5
01. Audience
⇒ ★丸ごとRec1
02. Speak To Me
⇒ ★0:25までRec1で補填
03. Breathe
：：：：
12. Eclipse
[Stereo Soundboard Recording]
Disc 6
01. Speak To Me
：：：：
06. The Great Gig In The Sky
07. Money
⇒ ★レジスター音欠けなし(＊既発は殆どでレジ音1回欠落)
08. Us And Them
：：：：
12. Echoes
French Summer Tour 1974
June
18 Hall 1,Parc des Expositions,Toulouse,FRANCE
19 Les Arènas,Parc des Expositions,Poitiers,FRANCE
21 Hall 1,Palais des Expositions,Dijon,FRANCE
22 Théâtre de Plein Air,Parc des Expositions,Colmar,FRANCE
24 Palais des Sports de la Porte de Versailles,Paris,FRANCE
25 Palais des Sports de la Porte de Versailles,Paris,FRANCE
26 Palais des Sports de la Porte de Versailles,Paris,FRANCE
British Winter Tour 1974
November
04 Usher Hall,Edinburgh,UK
05 Usher Hall,Edinburgh,UK
08 Odeon,Newcastle-upon-Tyne,UK
09 Odeon,Newcastle-upon-Tyne,UK
14 Empire Pool,Wembley,London,UK
15 Empire Pool,Wembley,London,UK
16 Empire Pool,Wembley,London,UK
⇒ [Alan Freeman Show,BBC Radio 1,Broadcast
11th January 1975]
17 Empire Pool,Wembley,London,UK
19 Trentham Gardens,Stoke-on-Trent,UK
22 Sophia Gardens Pavilion,Cardiff,UK
28 Empire Theatre,Liverpool,UK
29 Empire Theatre,Liverpool,UK
30 Empire Theatre,Liverpool,UK
December
03 The Hippodrome,Birmingham,UK
04 The Hippodrome,Birmingham,UK
05 The Hippodrome,Birmingham,UK
09 The Palace Theatre,Manchester,UK
10 The Palace Theatre,Manchester,UK
13 The Hippodrome,Bristol,UK
14 The Hippodrome,Bristol,UK
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※) 「Wembley 1974 Final Night : Recorder 2 （Sigma 251）」 に付属のボーナス・アイテム
「Wembley 1974 Final Night : Recorder 2 （Sigma 251）」
「Wembley 1974 Pre FM Master : 3 Source MIX （Sigma 227）」
「Wembley 1974 Final Night：Unprocessd Master （Sigma 174）」
「Wembley 1974 2nd Night Soundboard Recording （Special Bonus CDR）」
※) 「Wembley 1974 2nd Night Unprocessed Master （Sigma 154）」 に付属のボーナス・アイテム
「Wembley 1974 2nd Night Unprocessed Master （Sigma 154）」
「Absolutely Years （Gift CDR）」
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「Who Gotta Be Crazy （Sigma 21）」
「Creative Intelligence （Sigma 19）」
「Manchester First Night （Embryo-20/21/22）」
「British Winter Tour 74 （Siréne-047）」
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#2021-10-30
