1974年11月4日スコットランドはエディンバラにあるアッシャーホールを皮切りに,12月14日ブリストルのヒポドロームまで行われた,冬のブリティッシュ・ツアー(通称:British Winter Tour 1974).

 本ツアーから,ツアー中盤の,11月14日~17日に 4夜連続で行われた,ロンドンはウェンブリーのエンパイアー・プール(:ウェンブリー・アリーナ)公演から,最終日にあたる11月17日の演奏をオーディエンスで収録した 『 Wembley 1974 Final Night:Unprocessd Master (Sigma 174) 』 が Sigmaレーベルよりリリースされました.

 此方も,告知日の週末までに80枚が予約済み
 「 2/16 ★ピンク・フロイド「WEMBLEY 1974 FINAL NIGHT: UNPROCESSED MASTER」のナンバー入りシール・ステッカー付きは予約完売致しました。お問合せ多数の為、急遽20セット(No.81~100)を用意させて頂きました。
 一週間後に,100枚
2/23 ★ピンク・フロイド「WEMBLEY 1974 FINAL NIGHT: UNPROCESSED MASTER」のナンバー入りシール・ステッカー付きは完売致しました。お問合せ多数の為、急遽20セット(No.101~120)を用意させて頂きました。
なので,残念ながらレッド・ツェッペリン程の人気は無いです.(笑)

 古くはアナログ時代に Wizardoレーベルの 『 The Screaming Abdab (WRMB 330) 』,そしてCD時代になると Ayamamiレーベルの 『 Amazing Wembley (Ayanami-163) 』や,Free Range Pigsレーベルの 『 Getting Better All The Time (FRP CDR 012-013-014) 』,そして10年弱前の 2008年に Sigmaレーベルから 『 Decline And Fall Of The British Empire (Sigma 29) 』 がリリースされていますが,この公演日は,余りリリースされていません.

 ちなみに前日にあたる11月16日(: 3日目)公演は,BBC で SBD(:Soundboard)収録にて,放送されたもので,過去,ブートとしても有名な公演でしたが,2011年にオフィシャルでリリースされた 『 The Dark Side Of The Moon (狂気) 』,『 Wish You Ware Here (炎~あなたがここにいてほしい~), 』 の コレクターズ・ボックスに高音質で収録されているので,未視聴の方は是非購入して聴いて貰いたいですね.

 なお,このブリティッシュ・ツアー(通称:British Winter Tour 1974)からは,11月16日ロンドンはウェンブリーのエンパイアー・プール公演や,11月19日ストーク・オン・トレントのトレンザム・ガーデン公演の高音質音源が,アナログ・ブート「British Winter Tour 74 (PFL7501)」として出回ってしまい,それが空前のヒットとなった関係で,次のオフィシャル・アルバムの内容を変更せざるを得なくなった事,またアルバム・リリース前の新曲を新たに披露しなくなった事は有名な話.

 音像も近く,各楽器のバランスも良く,クリアに聴こえます.

 興味深いのは,この前日まではオープニングを飾るのが "Shine On You Crazy Diamond" だったのですが,この日からオープニングが "Raving And Drooling"(:"Sheep")に代わり,"Shine On You Crazy Diamond" が,1st Set の最後になっている事です.
 また "Raving And Drooling" 演奏開始前の約 1分50秒前後にも渡るモノローグ(このテープは1970年12月22日にフロイド史上唯一ライブ [*1] 演奏された "Alan's Psychedelic Breakfast" に使用されたテイクと同じもの)が流れます.

[*1]Rise & Shine (Bonus CDR) 』 を参照下さい.

 メーカー情報では
 『アルバム「THE DARK SIDE OF THE MOON」のメガ・ヒット以降でマニアに高い人気を誇るのが1974年の「British Winter Tour」。レコーディング前の新曲をステージで演奏して試行錯誤を繰り返すという、フロイドならではのクリエイティブ・プロセスが輝きを放った最後の時期だと呼べることが人気の秘密。まだ録音すら行われていない新曲をステージで披露する姿勢と、「THE DARK SIDE~」に次ぐ新たなアルバムのリリースを待ちわびていたファンの気持ちが相まり、結果としてこのツアーで演奏されていた新曲を収めたブートレグが凄まじいセールスを記録。そうした現象によってフロイドの新曲に対する扱いに変化を余儀なくされてしまったことは語り尽された感がありますが、だからこそフロイドのライブ史において、大きな輝きを放っているのが「British Winter Tour」。

 AYANAMIレーベルのCD-Rアイテムの時代から当店は同ツアーの音源を積極的にリリースしてまいりましたが、中でもツアーにおけるハイライトであった11月半ばのウェンブリー・エンパイア・プール(後のウェンブリー・アリーナ)における連続公演を捉えた音源に関しては他の追随を許さないアイテムを生み出し続けてきました。未だ音源の広まらない11月14日以外で当店からリリースされていたウェンブリー・アイテムを整理してみたいと思います。
 11月15日
  「YOU GOTTA BE CRAZY AT WEMBLEY」AYANAMI(CD-R)
    → 「WHO GOTTA BE CRAZY」SIGMA
    → 「WEMBLEY 1974 2ND NIGHT」SIGMA
 11月16日
  「WEMBLEY 1974 - PRE FM MASTER」SIRENE(サウンドボード)
    → 「RAVING LUNATICS」SIRENE(サウンドボードとオーディエンス)
    → 「ABSOLUTELY YEARS」SIRENE(サウンドボード+15日の音源)
    → 「BBC ARCHIVES」SIGMA(サウンドボード)

 そして今回は11月17日の公演を捉えたオーディエンス録音から、遂に「Unprocessed Master」バージョンがリリースされるのです!
 「BLACK HOLES IN THE SKY」で古くからCDアイテムが存在した15日公演と違い、17日公演に関しては21世紀を迎えてリリースされたAYANAMIの「AMAZING WEMBLEY」が初リリースとなりました。LPの時代には16日のラジオ放送パートと対を成すかのように、ショー前半の新曲パートがさまざまな形でリリースされていたものです。

 それこそ当店も何度かギフトCD-Rとしてリリースした実績のあるWIZARDOのLP「THE SCREAMING ABDAB」を元にして、TKARLやCBMといったレーベルからもコピーされてマニアの間に広められたもの。ウェンブリーの後に行われたトレンサム・ガーデンでのショーから新曲パートを収めた「BRITISH WINTER TOUR ‘74」に次いで、それらのLPアイテムが新曲に飢えたファンの溜飲を下げる役割を果たしました。それだけに「AMAZING WEMBLEY」は文字通りのマニア待望のリリースとなり、CD-Rながらも高く評価されました。

 この「AMAZING WEMBLEY」によって明らかとなったこと、それは音源が存在するウェンブリー三公演の中でダントツの名演を繰り広げていたという事実。
 思えば15日は「Shine On You Crazy Diamond」のイントロの最中でフロイドと関係のない音楽が流れてしまうという、まるでギルモアのエフェクターがラジオ放送を拾ってしまったかのようなトラブルがあり、さらにバンドが演奏に加わると今度はウォーターズが弾きながらベースのチューニングを直すというハプニングにまで見舞われていました。
 16日は何よりもラジオ放送を前提とした録音があり、「RAVING LUNATICS」のオーディエンス録音で聴かれたショー全長版からは、演奏の明らかな硬さが感じられたものです。やはり公開を前提とした録音が行われたという事実をフロイドが意識しないはずがありません。

 その点17日はここまで挙げたトラブルやプレシャーから解放されたかのような、実に伸び伸びとした演奏を披露。それに加え、この日から「Raving And Drooling」をオープニング・ナンバーに移すという新曲パートにおける配置換えも功を奏し、同曲の勢いがそれまでよりも格段に増していたのです。このオープニングだけでもそれまでのウェンブリーでの演奏とはレベルが違っていたことは先に挙げたLPで既に証明されていたものです。しかし、CDの時代に入ってすべての公演がリリースされ、それぞれのショーの詳細が明らかとなったことでより明確となりました。
とはいっても「You Gotta Be Crazy」ではギルモアが曲のテンポが変わるところで繰り返されるリフレインを弾き損じるという、それまでのウェンブリーでは見られなかったような凡ミスが捉えられていたのも事実。これはステージのモニターのトラブルだったのかもしれません。何しろ曲自体はウインター・ツアー開始から既に何度も演奏されてきたのですから。

 17日の演奏の評価の高さの秘訣はさらに「THE DARK SIDE OF THE MOON」におけるギルモアの歌唱の好調ぶりが挙げられるでしょう。そもそも1974年という年は彼の喉が本格的な衰えをみせ始めた時期でもありますが、16日のウェンブリーの「THE DARK SIDE~」パートはそれが顕著な様子をサウンドボードかつラジオ放送にて広められてしまったようなもの。これには収録を意識したギルモアの「力み」もあったのではないでしょうか。それどころか15日と比べても明らかに17日の方が俄然素晴らしい歌唱を聞かせてくれるポイントはあまりにも高い。

 そして「AMAZING WEMBLEY」に収められたオーディエンス録音の見事なクオリティの高さも17日の評価を高める上で大きな役割を果たしたと言えるでしょう。録音状態に関しては15日のそれとよく似ており、同一テーパーによって録音されたことは間違いありません。何しろ1974年の録音としては驚くほどに音像がオンであり、例えば「Shine On You Crazy Diamond」でメイソンが繰り広げるバスドラの連打が明瞭に聞き取れてしまうのだから唖然とさせられます。クリアネスに関しては別のテーパーによる「RAVING LUNATICS」の16日オーディエンス録音の方が上回りますが、何しろ別格の音像とクリアネスの代わりにアナログチックな質感たっぷりな録音状態が魅力的。
 このように演奏と音質の両方が高いクオリティを誇る別格の録音だけに、マニアの間では「AMAZING WEMBLEY」リリース時からプレス盤によるリリースを望む声が上がっていたものです。また同タイトルのリリース後にはファースト・ジェネレーションの音源が登場したことから、2008年になって遂に実現したプレス盤タイトルが「DECLINE AND FALL OF THE BRITISH EMPIRE」だったのです。「AMAZING WEMBLEY」よりも音質が向上していたことはもちろん、同タイトルで狂っていたピッチが正確な状態で収録されていたことから17日タイトル文句なしの決定版としてロングセラーを記録していていました。

 しかし海外の重鎮マニアから今回提供された新たなるファースト・ジェネレーション音源はまた違った驚きを与えてくれたのです。「DECLINE AND FALL~」(※以降" 既発盤 "とします)がマスター・リールからカセットに一度落とされたコピーだったのに対し、今回はマスター・リールからマスター・リールに一度落とされたコピーだったのです。それに加え既発盤がカセットに落とされた際、微妙に増幅されたノイズを減少させるイコライズが施されていました。
 それに何と言ってもカセットとリールというメディアの違いがもたらした情報量の違いは歴然としています。まずオープニングを再生した瞬間からして「DECLINE AND FALL~」との質感の大きな違いを思い知らされることでしょう。今回のリール経由のファースト・ジェネレーション・コピーを文字通りの「Unprocessed」な状態で収録したことで俄然増したナチュラルな質感と豊かな臨場感。特に新曲パートはオーディエンスが初めて目の当たりにする楽曲に固唾を飲んで聴き入っていますので、既発盤との違いがとても分かりやすい。
 例えば「Shine On You Crazy Diamond」の序盤のように演奏が静かなパートでは今回の方がヒスノイズは気になるかもしれませんが、既発盤と比べればそこが「押しつぶされていた」かのような不自然さがあったことに気付かされるでしょう。それでいて情報量の多いメディアにコピーされた状態ならではの鮮度の高さも圧倒的。当店が満を持した限定のプレスCDでリリースさせるだけに、このアッパー感は格別。世界中のマニアの間で確固たる評価を得た名演、ウェンブリー最終日の魅力を余すところなくとらえた「Unprocessed」バージョンのリリースが遂に実現します。

 ★1974年イギリス・ツアーのパンフレットのミニチュア・レプリカをお付け致します。(全16ページ、大きさは、縦138mm × 横97mm)「SUPER ALL-ACTION OFFICIAL MUSIC PROGRAMME FOR BOYS AND GIRLS!」と副題されたコミック調の楽しくも、興味深い内容です。』

Wembley 1974 Final Night:Unprocessd Master (Sigma 174)
 
 Live At Empire Pool,Wembley, London,UK 17th November 1974

 Disc 1
  1. Raving And Drooling
  2. You Gotta Be Crazy
  3. Shine On You Crazy Diamond
  TOTAL TIME (56:03)

 Disc 2
  [Dark Side Of The Moon]
  1. Speak To Me
  2. Breathe
  3. On The Run
  4. Time
  5. Breathe (Reprise)
  6. The Great Gig In The Sky
  7. Money
  8. Us And Them
  9. Any Colour You Like
  10. Brain Damage
  11. Eclipse
  TOTAL TIME (57:18)

 Disc 3
  1. Audience
  2. Echoes
  TOTAL TIME (26:10)

 Tour Programme (Replica)
 
 
 
 
 
 
 

 Raving And Drooling
 
 Shine On You Crazy Diamond
 
 Echoes
 

[参考]
 Decline And Fall Of The British Empire (Sigma 29)
 
 Amazing Wembley (Ayanami-163)
 
 Getting Better All The Time (FRP CDR 012-013-014)
 
 The Screaming Abdab (WRMB 330) [Analog]
 

British Winter Tour 1974
 November
  04 Usher Hall,Edinburgh,UK
  05 Usher Hall,Edinburgh,UK
  08 Odeon,Newcastle-upon-Tyne,UK
  09 Odeon,Newcastle-upon-Tyne,UK
  14 Empire Pool,Wembley,London,UK
  15 Empire Pool,Wembley,London,UK
  16 Empire Pool,Wembley,London,UK
    [Alan Freeman Show,BBC Radio 1,Broadcast 11th January 1975]
  17 Empire Pool,Wembley,London,UK
  19 Trentham Gardens,Stoke-on-Trent,UK
  22 Sophia Gardens Pavilion,Cardiff,UK
  28 Empire Theatre,Liverpool,UK
  29 Empire Theatre,Liverpool,UK
  30 Empire Theatre,Liverpool,UK

 December
  03 The Hippodrome,Birmingham,UK
  04 The Hippodrome,Birmingham,UK
  05 The Hippodrome,Birmingham,UK
  09 The Palace Theatre,Manchester,UK
  10 The Palace Theatre,Manchester,UK
  13 The Hippodrome,Bristol,UK
  14 The Hippodrome,Bristol,UK

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