バイセル




 1980年6月にリリースされた 『 There And Back (ゼア・アンド・バック) 』 のプロモーションを兼ねた 「 There And Back Tour 」 は,8月29日オレゴン州ポートランドはパラマウント・シアター公演を皮切りに,8月-10月の北米ツアー,12月の日本ツアー,翌1981年3月の英国ツアーという 3つのブロックで行われています.

 本アイテムは,1980年10月1日ジョージア州アトランタはフォックス・シアター公演を皮切りに,10月19日イリノイ州シカゴはグラナダシアター公演まで行われた,北米ツアー 2nd レグから,2nd レグ中盤に当たる,10月11日マサチューセッツ州はサウスヤーマスのケープ・コッド・コロシアム公演のオーディエンス録音を収録し Wardourレーベルからリリースされた 『 Cape Cod 1980 (Wardour-601) 』 で,今回,新たに発掘された公演日のようです.

 因みに,この翌日に当たる 10月12日ニューヨーク州ニューヨーク・シティはパラディウム公演は,ギフト・アイテム 『 Definitive Palladium (Gift 2CDR) 』(=『 Definitive Palladium (Uxbridge 003) 』) として,過去に配布されていましたし,少し前に,Amazon でも購入できる 『 New York 1980 』 としても登場してます.

 音像は若干遠目ではありますが,オーディエンスの拍手や歓声も遠目で,テーパーの近くからは殆ど聴こえてこないので,特殊な席からの関係者による録音なのかも知れません.
 会場の関係なのか,程良い残響音もあり,各パートの出音のバランスも相応に良い高音質のオーディエンス録音です.

 メーカー情報では
 『名手サイモン・フィリップス/トニー・ハイマス/モー・フォスターを従え、全盛時代最後のワールド・ツアーに乗り出した1980年のジェフ・ベック。その海外公演を伝える衝撃の新発掘アルバムが登場。永久保存プレスCDで緊急リリース決定です!

 そんな本作に刻まれているのは「1980年10月11日サウス・ヤーマス公演」。その超絶級オーディエンス録音です。『THERE & BACK』時代の極上録音と言うと日本公演に集中していましたが、当店では海外公演も可能な限りの名作ライヴアルバムでアーカイヴしてきました。

 まずは当時の活動概要で当店コレクションを整理しつつ、本作のポジションにも迫っていきましょう。

 ●1980年
 《6月『THERE & BACK』発売》
 ・8月29日ー9月15日:北米#1(12公演)←※SAN DIEGO 1980他
 ・10月1日ー19日:北米#2(15公演)←★ココ★
 ・12月4日ー18日:日本(11公演)
 ●1981年
 ・3月4日ー10日:英国(5公演)

 これが1980年/1981年のジェフ・ベック。

 来日前の全米ツアーは2週間オフを挟んで二分されており、本作のサウス・ヤーマス公演は後者「北米#2」の一幕でした。ここでは名録音の多産地帯でもありますので、さらに日程をフォーカスしてみましょう。

 ●「北米#2」の詳細
 ・10月1日ー9日(7公演)
 *10月11日:サウス・ヤーマス公演 ←★本作★
 ・10月12日(1st):ニューヨーク公演
 *10月12日(2nd)『DEFINITIVE PALLADIUM 1980』
 ・10月14日+15日(2公演)
 *10月16日『DETROIT 1980』
 ・10月17日ー19日(3公演)

 上記『DEFINITIVE PALLADIUM 1980(Uxbridge 003)』『DETROIT 1980(Uxbridge 1837)』は「北米#2」を代表してきた名作ではあるもののCD-Rレベルでしたし、「北米#1」も状況は同じ。本作は遂に登場したプレス級の海外録音であり、そうした既発群を一掃する最高傑作なのです。
 
 実際、そのサウンドは衝撃。これまで音盤化は元より存在自体がほとんど知られてこなかった録音にも関わらず、堂々のサウンドボード級……いや、「完全オフィシャル級」なのです。新発掘の2ndジェネ・カセットからデジタル化されているのでオーディエンスなのでしょうが、音には客録のニュアンスが感じられない。芯は極太でセパレート感も素晴らしく、ディテールも超細やか。曲間になると盛大な喝采も沸きますが、それさえもFM放送みたいに端正で広大。とかく海外録音は楽音は良くても騒がしいオーディエンス・ノイズに悩まされるケースが多いのですが、本作はそれさえもないのです。
 「鳴りがオーディエンスっぽい……か? いや、これくらいはFM放送でもありがちだしな。。。」と全力で客録の証拠を探しながら聴いていってもなかなか確信が持てない。4曲目の「The Pump」で間近席の手拍子がわずかに聞こえ、そこでやっと「本当にオーディエンスなのか」と得心がいく……そんな次元の極上サウンドなのです。
 そんなスーパー・サウンドで描かれるのは、フュージョン時代を総括するようなフルショウ。ここでセットを整理してみましょう。

 ●ゼア・アンド・バック(6曲)
 ・Star Cycle/El Becko(★)/Too Much To Lose(★)/The Pump/Space Boogie/You Never Know
 ●その他(8曲)
 ・ブロウ・バイ・ブロウ:Cause We've Ended As Lovers/Freeway Jam(*)/Diamond Dust/Scatterbrain
 ・ワイアード:Led Boots/Blue Wind/Goodbye Pork Pie Hat
 ・ジェフ・ベック・グループ:Going Down
 ※注:「★」印はこのツアーだけの限定曲。「*」印は北米#1では演奏していなかった曲。

 ……と、このようになっています。

 「Going Down」以外はインスト三部作の濃縮還元。セット自体は日本公演と同じで、「北米#1」では演奏していなかった「Freeway Jam」も追加。さらに集大成的になっています。
 そして、そんなセットを綴るパフォーマンスが素晴らしいのなんの。前年から組んでいるトニー・ハイマス/サイモン・フィリップスとはすでに鉄壁の域に達しており、モー・フォスターとも「北米#1」を経たことで完全に馴染んでいる。しかも2週間のオフを挟んで疲れも取れ、そこから8公演重ねたことでエンジンも全開。さらにはアメリカらしい熱狂に煽られてグイグイと盛り上がっていく。すべての条件が上手い具合に重なり、なるべくしてなった名演なのです。
 ピンと張り詰めた日本とは異なるムードが楽しいものの、これまで永久保存の域には届かなかった“THERE & BACK Tour”の海外録音。その歴史に終止符を打ち、オフィシャル作品かと錯覚するほどのサウンドで貴重な現場をフル体験させてくれる新名盤です。まさに文化遺産と呼ぶに相応しいライヴアルバム。どうぞ、輝きを永久に残すプレス2CDでいつでも、いつまでもお楽しみください。

 ★「1980年10月11日サウス・ヤーマス公演」の超絶級オーディエンス録音。これまで知られてこなかった新発掘マスターで、芯は極太でセパレート感も素晴らしく、ディテールも超細やか。『THERE & BACK』時代の極上録音と言うと日本公演に集中していましたが、本作は遂に登場したプレス級の海外録音。ピンと張り詰めた日本とは異なるムードで熱演も盛り上がる海外篇の最高傑作です。』


Cape Cod 1980 (Wardour-601)
 
 Live At Cape Cod Coliseum, South Yarmouth, MA, USA
 11th October 1980

  Disc 1
   01. Star Cycle
   02. El Becko
   03. Too Much To Lose
   04. The Pump
   05. Cause We've Ended as Lovers
   06. Space Boogie
   07. Freeway Jam
   TOTAL TIME (41:30)

  Disc 2
   01. Led Boots
   02. Diamond Dust
   03. Scatterbrain
   04. Drum Solo
   05. Scatterbrain (Reprise)
   06. Blue Wind
   07. Goodbye Pork Pie Hat
   08. You Never Know
   09. Going Down
   TOTAL TIME (43:08)

 Jeff Beck : Guitar
 Tony Hymas : Keyboards
 Mo Foster : Bass
 Simon Phillips : Drums

  El Becko
 
  Cause We've Ended as Lovers
 
  Scatterbrain
 

[参考]
 [There And Back Tour]
 1980
 August
  [North American Tour / 1st Leg]
  29 Paramount Theatre,Portland,OR,USA
  31 Spokane Opera House,Spokane,WA,USA

 September
  01 The Orpheum,Vancouver,BC,CANADA
  02 Seattle Center Arena,Seattle,WA,USA
  05 William Randolph Hearst Greek Theatre,Berkeley,CA,USA
  06 SDSU Open Air Theatre,San Diego State University,San Diego,CA,USA
  07 Santa Barbara Bowl,Santa Barbara,CA,USA
  08 Greek Theatre,Los Angeles,CA,USA
  09 Greek Theatre,Los Angeles,CA,USA
  10 McNichols Sports Arena,Denver,CO,USA
  13 Dallas Convention Center,Dallas,TX,USA
  15 UT Union Ballroom, Austin,TX,USA

 October
  [North American Tour / 2nd Leg]
  01 Fox Theater,Atlanta,GA,USA
  03 Sunrise Musical Theater,Sunrise,FL,USA
  04 Lakeland Civic Center,Lakeland,FL,USA
  05 Fox Theater,Atlanta,GA,USA
  07 Capitol Theatre,Passaic,NJ,USA
  08 The Spectrum,Philadelphia,PA,USA
  09 Curry Hicks Cage,Amherst,MA,USA
  11 Cape Cod Coliseum,South Yarmouth, MA,USA
  12 The Palladium,New York City,NY,USA
     ⇒ [Two Shows]
  14 D.A.R. Constitution Hall,Washington,DC,USA
  16 Cobo Arena,Detroit,MI,USA
  17 Assembly Hall,Champaign,IL,USA
  18 SIU Arena, Carbondale,IL,USA
  19 Granada Theatre,Chicago,IL,USA
 
 December
  [Japan Tour]
  04 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN
  05 Osaka Furitsu Taiikukan,Osaka,JAPAN
  08 Kyuden Kinen Taiikukan,Fukuoka,JAPAN
  09 Kurashiki Shimin Kaikan,Okayama,JAPAN
  10 Osaka Festival Hall,Osaka,JAPAN
  11 Nagoya Shimin Kaikan,Aichi,JAPAN
  12 Miyagii Kenmin Kaikan,Miyagi,JAPAN
  14 Hokkaidoritsu Sangyou Kaikan,Hokkaido,JAPAN
  16 Yokohama Bunka Taiikukan,Kanagawa,JAPAN
  17 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN
  18 Nihon Budokan,Tokyo,JAPAN

 1981
 March
  [UK Tour]
  04 Newcastle City Hall,Newcastle,,UK
  05 Edinburgh Playhouse,Edinburgh,UK
  08 Birmingham Odeon,Birmingham,UK
  09 Hammersmith Odeon,London,UK
  10 Hammersmith Odeon,London,UK









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