1980年6月にリリースされた 『 There And Back (ゼア・アンド・バック) 』 のプロモーションを兼ねた 「 There And Back Tour 」 の一環で,1978年に続き,1980年12月に約 2年振り 4度目の来日を果たした ジェフ・ベック(Jeff Beck).
 この時の来日公演は 12月4日東京の日本武道館公演を皮切りに,12月18日同じく東京武道館公演(追加公演)まで都合11公演を行い幕を閉じました.

 本商品は,その来日公演から中盤に当たる 12月14日北海道札幌市は 北海道立産業共進会場月寒グリーンドーム)公演のオーディエンス録音を収録し Wardourレーベルからリリースされた 『 Sapporo 1980 (Wardour-553) 』 です.

 音像は近めで,少しギターが前面に出ている感はあるものの,各パートの出音のバランスも相応に良い高音質のオーディエンス録音と言えます.

 メーカー情報では
 『ジェフ・ベック1980年の来日公演は今でこそWardourレーベルの名盤たちによって大半の公演を極上オーディエンスにて楽しめるようになりましたが、その素晴らしさをCD黎明期においていち早く伝えてくれた懐かしの名盤が12月14日の札幌公演を収めた『GOING DOWN』。
 それこそサウンドボードまがいの驚異的な音像と抜群の鮮度で捉えてくれた衝撃のクオリティ。実際この懐かしの名盤で80年の来日の素晴らしさを思い知らされたマニアが多かったのでは。
 その驚異的な音質は今なお色褪せていないのですが、この素晴らしい録音には理由がある。それもそのはず、この音源は72年ピンク・フロイドの札幌公演の名録音『SAPPORO 1972: 50TH ANNIVERSARY EDITION』と同じテーパーによるものなのです。実際フロイドのサッポロも『GOING DOWN』と同じAPHRODITE STUDIOからこれまた名作『COLD FRONT』としてリリースされていたのが懐かしい限り。

 むしろ札幌公演に関しては『GOING DOWN』一択という状況が続いたほどだったのですが、2005年になってようやく『LIVE AT SAPPORO GREEN DOME』というタイトルが新時代に相応しいタイトルをリリース。ジャケも同じベックの写真を使うことで『GOING DOWN』のアッパー版であることを解りやすく知らしめてくれました。
 とはいえリリースされたのが2005年という時代背景を反映し、少なからずイコライズが加えられており、中もサイモン・フィリップスのシンバルの音に関しては耳を突くような状態となっていたことが当時からマニアの間でも指摘されていました。
 意外なことに、これ以降で札幌80のアイテムがリリースされることはなく、それどころか最初に述べましたように、これに匹敵する他公演の極上オーディエンスが次々に発掘されたことで影が薄くなってしまうという、あれほどまでに名音源の名をほしいままにしていた状況からは考えられない状況となってしまったのです。また音質が素晴らしい一方でライブ終盤が収録されていないという点も後から登場した他公演アイテムに差を付けられる要因であったかと。

 ところがベックの急逝によってこの懐かしの名音源へのリクエストが寄せられるようになったのは必然。その絶妙なタイミングでKrw_coがこの名盤そのものをアップロードしていました。しかも「サウンドボード」という触れ込みで。普段なら音源を上げるのが信条な彼ですら、サウンドボードだと誤解して懐かしの『GOING DOWN』そのものをアップしたというところに、この音源の偉大さを改めて思い知らされます。
 今回は絶好のタイミングで現れたKrw_coのアップを元に最新のオーバーホールを敢行。再リリース盤からも20年近い歳月が経過し、現在のテクノロジーであればより原音の持ち味を生かしたリマスターが可能なのは歴然。さすがに本音源でライブが中盤に差しかかった辺りから顕著となるバンド演奏が飽和しがちな録音状態こそ治せないものの、低音がドコドコ響きがちな状態は容易に調整できるというもの。
 今回のリリースでここを調整した結果、オリジナル『GOING DOWN』や再発盤以上にベックのギターやトニー・ハイマスの鍵盤の鮮度が上がるという好ましい結果に。中でも「Diamond Dust」ではこの成果が大きく現れており、もはやサウンドボードそのもの…それどころか「80年の札幌ってFMで放送されてたの?」と錯覚しそうなほど鮮烈に聞こえるのです。
 ただし『GOING DOWN』に収められたボーナスの内「Rock And Roll Jelly」のセッション音源に関しては今や不要なのは明白ですのでオミット。

 そもそも札幌は相当にフロント・ロウなポジションで録音されたのだと推測され、それ故に音が飽和してしまう箇所がある一方、ライブ終盤「Blue Wind」に至っては会場のスピーカーから発せられたステレオ感の演出すら味わえてしまうのだから驚き。それに全体を通しての歓声が後ろから聞こえてくるような絶妙なバランスときたらマイク・ミラードも真っ青。なるほどKrw_coがサウンドボードだと誤解してしまうのも致し方がない。
 そして「Scatterbrain」から「Blue Wind」にかけて、ライブが中盤から後半へと差しかかる展開でのベックを中心とした凄まじいインタープレイの応酬をサウンドボードまがいの極上クオリティで聞けるというのは至福ですし、少し音が飽和してしまう録音状態がかえってその場にいるかのような生々しさを感じさせてくれる。それ故にフィリップスのドラミングもナチュラルな状態を保たれなければならない。
 実際ライブ中盤では彼がベックを煽るような場面が随所でみられ、そのスリリングさが他の80年来日公演以上に際立っているという点も本音源の大きな魅力でしょう。それに応えるベックの伸びやかなフレーズ、さらに負けじと切り込むハイマスのキーボード、それらを縁の下の力持ちがごとく支えるモ・フォスターのベースという80年来日公演ならではのバンドサウンドを信じられないほどの生々しさで捉えた札幌公演、その世界中のマニアが待ち望んだリニューアル版のリリースが遂に実現!』

Sapporo 1980 (Wardour-553)
 
 Live At Tsukisamu Green Dome, Sapporo, Japan
 14th December 1980
 [UPGRADE]

  Disc 1
   01. Star Cycle
   02. El Becko
   03. Too Much To Lose
   04. The Pump
   05. Cause We've Ended As Lovers
   06. Space Boogie
   07. The Final Peace
   08. Led Boots
   09. Freeway Jam
   TOTAL TIME (49:46)

  Disc 2
   01. Diamond Dust
   02. Scatterbrain
   03. Drum Solo
   04. Scatterbrain(Reprise)
   05. Blue Wind
      [Bonus Track / 04th December 1980]
   06. Going' Down
   TOTAL TIME (43:24)

 Jeff Beck : Guitar
 Tony Hymas : Keyboards
 Mo Foster : Bass
 Simon Phillips : Drums

 El Becko
 
 Cause We've Ended as Lovers
 
 Diamond Dust
 
 Scatterbrain
 

[参考]
 Live At Sapporo Green Dome (EVSD-333/334)
 

 [There And Back Tour]
 1980 Japan Tour Dates
 December
  04 Nihon Budokan, Tokyo, JAPAN
  05 Osaka Furitsu Taiikukan, Osaka, JAPAN
  08 Kyuden Kinen Taiikukan, Fukuoka, JAPAN
  09 Kurashiki Shimin Kaikan, Okayama, JAPAN
  10 Osaka Festival Hall, Osaka, JAPAN
  11 Nagoya Shimin Kaikan, Aichi, JAPAN
  12 Miyagii Kenmin Kaikan, Miyagi, JAPAN
  14 Hokkaidoritsu Sangyou Kaikan, Hokkaido, JAPAN
  16 Yokohama Bunka Taiikukan, Kanagawa, JAPAN
  17 Nihon Budokan, Tokyo, JAPAN
  18 Nihon Budokan, Tokyo, JAPAN







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Tokyo 1980 : Definitive Master (Wardour-468)
 
Yokohama 1980 : Definitive Master (Wardour-467)
 



#2023‐03‐22