1971年8月に初来日を果たし伝説のアフロディーテ公演 2公演を含め都合 3公演(8月6日,7日,9日)を行った ピンク・フロイド(Pink Floyd)は,7ヶ月後の翌1972年3月に再来日を果たし,3月6日渋谷区千駄ヶ谷の東京体育館公演(『 Eclipse Of The Sun (Sigma 84) 』)を皮切りに,3月13日札幌市中央区にある北海道立中島スポーツセンター公演(『 Sapporo 1972:Direct Reel Master (Sigma 184/185) 』他)まで 6公演を行います.
 当初は横浜市中区の神奈川県民ホールも予定に入っていたようですが,来日公演のかなり前にキャンセルされたようです.

 1972年初頭から ピンク・フロイド(Pink Floyd)は 『 The Dark Side Of The Moon (狂気) 』 の プロト・タイプの演奏を開始し,複数のアーティストが出演するようなフェスティバル以外では, このプロト・タイプを演奏し続け,再来日公演も同様に,第一部に 『 The Dark Side Of The Moon (狂気) 』 のプロト・タイプを,ブレイクを挟んだ第二部に往年の代表曲を演奏するセット・リストで公演が行われています.

 本商品は,昨年5月に初来日50周年記念として Sigmaレーベルからリリースされた 『 Osaka 1971 : 50th Anniversary Edition (Sigma 278) 』 ,また 先日,再来日50周年記念として,再来日 5公演目に当たる 3月10日京都府立体育館公演のオーディエンス録音を収録しリリースされた 『 Kyoto 1972 : 50th Anniversary Edition (Sigma 299) 』 同様の企画で,再来日最終公演に当たる 3月13日札幌市中島スポーツ・センター公演のオーディエンス録音を Graf Zeppelinレーベルのリマスターにより収録した 『 Sapporo 1972 : 50th Annversary Edition (Sigma 300) 』 で,古くは Aphrodite Studioレーベルの 『 Cold Front (AS 91PF001) 』 や,Sigmaレーベルの 『 Sapporo 1972 (Sigma 82) 』,『 Sapporo 1972:Direct Reel Master (Sigma 137) 』 のアップグレード盤に当たります.

 Track 03 の表記が ”On The Run” で,Track 06 の表記が ”The Mortality Sequence” と,不統一なのが気になります(笑)
 Track 03 を ”On The Run” とするのなら,Track 06 は ”The Great Gig In The Sky” で良いと思いますし,逆に Track 06 を ”The Mortality Sequence” とするのなら,Track 03 は ”The Travel Sequence” とすべきだと思うのですが...
 因みに,上述以外に,当時は ”Any Colour You Like” は "Scat",”Brain Damage” は "The Lunatic Song" と呼ばれていました.


 メーカー情報では
 『大好評を賜った『KYOTO 1972』に続き、1972年来日の象徴ライヴアルバムもアップグレード。過去最長を更新する構成と「GRAF ZEPPELIN」による細密マスタリングによる50周年の節目に相応しい決定盤が誕生です。
 その象徴作品に吹き込まれているのは「1972年3月13日:札幌中島スポーツセンター」公演」。最長・最高峰を更新したオーディエンス録音です。

 まずは、いつものように来日スケジュールで本作のポジションを確かめてみましょう。

 ・3月6日『ECLIPSE OF THE SUN(東京)』
 ・3月7日『DEFINITIVE TOKYO 1972 2ND NIGHT』
 ・3月8日『DEFINITIVE OSAKA 1972 1ST NIGHT』
 ・3月9日『ASSORTED LUNATICS(大阪)』
 ・3月10日『KYOTO 1972: 50th Anniversary Edition』
 ・3月13日:札幌中島スポーツセンター ←★本作★
 ※各日とも代表作のみ。

 以上、全6公演。
 本作の札幌公演は、その最終公演。フロイドにとって’70年代最後のライヴ・イン・ジャパンでもありました。

 このショウが1972年来日の象徴となり得たのは、そのポジション以上に名録音が残された事が大きい。特に’90年代初期に登場した伝説盤『COLD FRONT』で知られるステレオ録音は規格外のハイクオリティ・サウンドで一世を風靡。「この日のベスト」ではなく「1972年来日のベスト」となる名録音で「初来日が箱根なら、二度目は札幌」と言われるほどショウの価値そのものまで引き上げてしまいました。

 しかも、驚くべき事に『COLD FRONT』録音は発掘から30年以上経った現在でもなお、王座に君臨している。もちろん、時代を経る毎に別録音も発掘されているのですが、それらも(サウンドに関しては)『COLD FRONT』録音を超えられないでいるのです。では『COLD FRONT』録音が現在も究極なのか……というと、そうではありません。いかな名録音であってもアナログ時代だけに完全無欠はあり得ず、『COLD FRONT』録音も例外ではなかった。ショウ後半の「エコーズ」や「原子心母」が録音されておらず、テープチェンジ等の欠けもある。そうしたパートをどんな他音源で補填し、仕上げを美しく整えていくか……その視点がタイトル毎の優劣を生み、アップグレードの歴史を積み上げてきた。そして、ショウの現場から50周年という2022年に頂点に立つのが本作なのです。
 そんな本作は、どんな内容なのか。それをご説明するためにも、ここで1972年札幌公演の音源状況を整理しておきましょう。

・Recorder 1:最高音質の『COLD FRONT』で登場したステレオ録音。
 数年前にリールマスターからダイレクトにデジタル化された『Sapporo 1972:Direct Reel Master』がRec1の過去最高音質かつ最長収録であり本作でもメイン。

・Recorder 2:「エコーズ」を記録した唯一の録音。
  トレーダー間には系統違いが複数ある。

・Recorder 3:「原子心母」の唯一録音。

→本作の基本構造=「Recorder 1+R2のエコーズ+R3の原子心母」

 ……と、このようになっています。
 ただし、ここまではあくまで基本。従来盤でも同じでした。本作はここからの精度が過去最高なのです。

 ポイントとなる曲は「Brain Damage」。2分台の半ばから3分台半ばまでカットがあり、本作は「Recorder 2」で補完。史上初のシームレスな完全形に仕上げています。ここで「史上初? Godfather盤でも補完されていたぞ?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。それも正しいのですが、実はGodfather盤は補完用に使用されていたマスターに(わずかながら)欠けがあったのです。

 ここから更にややこしい話になりますので、そのつもりで読んでください。上記しましたが、実は「Recorder2」には同じ録音の系統違いが存在します。音が一番良い(仮にA系統とします)が有名で広く流通しており、補完にも「A系統」を使うのが半ば常識。本作の「エコーズ」も「A系統」が採用されています。ところが、この「A系統」の「Brain Damage」には欠けがあり、その箇所がよりにもよって補完パートの1分間にあたってしまっていたのです。その原因がまたクセモノ。どうやら「A系統」自体が状態の異なる「Recorder 2」同士を組み合わせて編集されているらしく、その編集ポイントに当たってしまったのです。
 ここで登場するのが「Recorder 2」の別系等(B系統とします)。こちらは音質的にA系統よりも(若干)地味なサウンドなのであまり有名ではないのですが、ありがたい事に補填に使用する該当箇所に編集痕がない。そこで、本作の「Brain Damage」補完には、この「B系統」が採用されているわけです。

 やけに重箱な話になってしまいましたが、それもまた高度な精度を目指した本作だからこそ。当然、こうした精度は1ポイントではなく全編に及び、「GRAF ZEPPELIN」によるトリートメントは圧倒的です。3種(厳密にはR2が2種なので4種)のソース1つひとつでピッチや位相ズレを補整し、回転ムラや帯域毎のバランス調整、ノイズ処理も徹底的に実施している。もちろん、新たな編集痕を作っては意味がありませんので、接続を前提にした質感の調整も細心の注意を払い、接続の違和感も最小限に抑えているのです。

 「1972年来日の象徴」とまで言われた札幌の伝説録音。その「50周年の回答」に相応しい完成度にこだわり、微に入り細に穿って創り上げた決定盤です。録音違いだけでなく、ジェネ違い/系統違いまで検証を重ね、1本のフル・ライヴアルバムとして過去最長・最高峰を更新した2枚組。どうぞ、永久保存プレスCDでいつでも、いつまでもお楽しみください。

 ★★札幌’72で2枚組は初!!この音質・内容、これは短期完売間違いありません!!

 ★「1972年3月13日:札幌中島スポーツセンター」公演のフル・オーディエンス録音。「1972年来日のベスト」と呼ばれる伝説の名録音の現状ベストのリールダイレクトマスターをベースに、他録音で補完。その補完パーツもジェネ違い/系統違いまで検証し、従来盤ではごくわずかに欠けのあった「Brain Damage」も史上初の完全シームレス化に成功。
 50周年に相応しい史上最長・最高峰サウンドのフル・ライヴアルバムに仕上げました。』

Sapporo 1972 : 50th Annversary Edition (Sigma 300)
 
 Live At Nakajima Sports Center,Sapporo,Japan 13th March 1972
 [UPGRADE]

  Disc 1
   01. Speak To Me
   02. Breathe
   03. On The Run
   04. Time
   05. Breathe (Reprise)
   06. The Mortality Sequence
   07. Money
   08. Us And Them
   09. Any Colour You Like
   10. Brain Damage
   11. Eclipse
   12. Tuning
   13. One Of These Days
   14. Tuning
   15. Careful With That Axe, Eugene
   TOTAL TIME (74:34)

  Disc 2
   01. Echoes
   02. Atom Heart Mother
   TOTAL TIME (44:38)

 On The Run
 
 Brain Damage
 
 Atom Heart Mother
 

[参考]
 詳細情報(メーカー情報より)
  Disc 1
   01. Speak to Me
        ::::
   09. Any Colour You Like
   10. Brain Damage
       ⇒ ★2:25-3:25B系統のRec2で補填(A系統は欠けあり)
   11. Eclipse
       ⇒ ★2:24曲間カット
   12. Tuning
        ::::

  Disc 2
   01. Echoes
       ⇒ ★丸ごとA系統のRec2
   02. Atom Heart Mother
       ⇒ ★丸ごとRec3

 月の裏側 ~ もろもろの狂人達の為への作品 ~
 
 1972年、来日公演のときに会場で配布された日本語訳歌詞のプリント

1972 Japan Tour Dates
 March
  06 Tokyo Taiikukan, Tokyo, JAPAN
  07 Tokyo Taiikukan, Tokyo, JAPAN
  08 Festival Hall, Osaka, JAPAN
  09 Festival Hall, Osaka, JAPAN
  10 Dai-Sho-Gun Furitsu Taiikukan, Kyoto, JAPAN
  11 Kenmin Hall, Yokohama, JAPAN
      ⇒ [Cancelled]
  13 Nakajima Sports Center, Sapporo, JAPAN









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Missing Pieces:Sapporo 1972 (Special Bonus CDR)
 
  ⇒ 『 Sapporo 1972:Direct Reel Master (Sigma 184/185) 』 付属の ボーナス・ディスク
Sapporo 1972:Direct Reel Master (Sigma 184/185)
 
Tokyo 1972 2nd Night (Sigma 161)
 
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