ポール・ロジャーズ(:Paul Rodgers)率いた フリー(:Free)の来日公演は,初来日の 1971年が 2公演(4月30日:神田共立講堂,5月1日:サンケイ・ホール),翌 1972年が 2公演(7月22日:後楽園球場,7月24日:甲子園球場)と都合 4公演しか行われていません.
 しかも 1972年は エマーソン・レイク・アンド・パーマー(:Emerson, Lake & Palmer)の オープニング・アクト(:前座)相当の出演でした.

 本音源は,商品を 2組購入すると希望者に配布されるギフト・アイテムで,オリジナル・メンバーによる初来日初演:1971年4月30日 「 Rock Carnival #4 」 として出演した 神田共立講堂 公演をオーディエンス収録したアナログ・ブート 『 LIVE! 』 をデジタル・トランスファーした 『 LIVE! (Gift CDR) 』 です.

 何故か ”Fire and Water” の 1分30秒前後に微妙な音飛びがありますが,元のアナログLPも同様のようです.
 また ”Soon I Will Be Gone” は,30秒前後でフェイド・アウトで,アンコールも含め演奏された曲の後半 3曲:”Mr. Big”,”Ride On Pony”,”Crossroads” が未収録で,その代わりでは無いでしょうが,翌年の再来日時の 7月22日後楽園スタジアム公演の 3曲:”Lady”,”Seven Angels”,”Honky Tonk Women” がボーナスとして収録されています.

 残念ながら1971年初来日後にオーストラリアに渡り滞在中にバンド内不仲説で空中分解してしまう フリー.特 ポール・ロジャース(:Paul Rodgers)と アンディ・フレイザー(:Andy Fraser)の関係は冷え切っていたと言われていますが,この日と翌日に関してはそれをも感じさせない演奏を聴く事ができます.多分,初来日となる日本のファンの為に素晴らしいライヴ・パフォーマンスを披露してくれたんでしょう.
 因みにこの年の 3月頃には ブラック・サバス(:Black Sabbath) の来日が予定されていたようなのですが,実質中止となってしまったので,実質 フリー(:Free)が,本格的ハード・ロック・バンドの来日第1号でした.

 1971年と言う録音された年代を考えれば,音質的には充分高音質な音源です.ただ最近のブートと比較すると中々厳しいですが,これはこれで中々楽しめます.

 メーカー情報では
 『英国ブルースロックの極みを聴かせつつ、泡沫に消えた栄光のFREE。その初来日を伝え続けた、伝統の語り部アルバムがギフト・リリース決定です。

 彼らが日本の地を踏んだのは2回・4公演だけでした。そのすべてが伝説的ですが、特に1971年の初来日はあまりにも深く、あまりにも芳醇だった。LED ZEPPELINもDEEP PURPLEも海の彼方の幻だった時代に、故ポール・コゾフとアンディ・フレイザーも揃った“オリジナルの4人”がやってきた。しかも、絶頂の最後。

 彼らは1971年5月のツアー中に最初の解体を経験するわけですが、初来日が実現したのは、その直前となる4月末。当時の彼らは平均20歳で、アンディに至っては18歳。1年、1公演ずつ経験を積み、練度を上げていった深みのピークに達していたわけです。
 本作はそんな伝説の初来日でも初日「1971年4月30日:共立講堂」公演を伝えてきた名録音。IMPレーベルのヴィンテージLP『LIVE!』をデジタル化したものです。このLPには、翌1972年の2回目の来日公演もボーナス的に収録。
 まずは、わずか4公演だけだったコンサート日程で内容を確認してみましょう。

 ●1971年
   ・4月30日:共立講堂 【本作1-9】
   ・5月1日:サンケイホール
 ●1972年
   ・7月22日:後楽園球場 【本作10-12】
   ・7月24日:甲子園球場

 ……と、このようになっています。

 EL&Pの前座だった1972年も伝説ではありますが、やはり重いのはメインの初来日。まず何より、豊かなヴィンテージ・サウンドが素晴らしい。当時の基準では破格のオーディエンス録音で、逞しい芯が真っ直ぐに届き、ディテールも鮮やか。アナログ盤だけにテープよりも経年劣化に強く、ポール・ロジャースのヴォーカルはもちろんのこと、重いサイモン・カークのドラムも、よく歌うアンディのベースラインも、そしてコゾフのギターも細部までくっきりとしている。
 外タレのオーディエンス録音が貴重な時代に、奇跡的と言っても良いほどのサウンドなのです。

 そして、圧倒的なのはショウそのもの。オフィシャルの大名盤『LIVE!』にも近い時期なのですが、そこでも聴けなかった「The Stealer」「Heavy Load」「The Highway Song」「My Brother Jake」もたっぷりと披露する。
 しかし、それ以上なのが若きオリジナルFREEの演奏そのもの。とにかく熱く、深い。1音1音に魂がこもるのですが、やはり格別なのはコゾフ。極めてシンプルなフレーズながら、極太弦から生まれるド迫力サウンドが豪快なチョーキングで吠え、深いヴィヴラートで咽び泣く。
 しかもトーンが絶品。実にパワフルなのに、鳴りが艶やかでセクシー。英国ロックには1音で誰だか分かる個性派ギタリストが無数にいますが、たった1音にここまで多くを語らせるギタリストはコゾフを置いて他にいない。その深い深いギターが日本の空気を震わせていた……その現実に(今さらながら)戦慄が走る。しかも、本作はそんな機微を端正に伝えてくれる録音でもあるのです。

 そんな初来日に続いて収録されているのは、EL&Pの前座として来日した「1972年7月22日:後楽園球場」公演のオーディエンス録音。「Lady」「Seven Angels」「Honky Tonk Women」の3曲だけではありますが、こちらも野外会場ならではの反響ゼロのクリアさが素晴らしい名録音です。
 解散と再結成を経たものの、やはりアンディとコゾフが去り、山内テツとラビットが加入。ギターはロジャースが兼任する4人組での来日でした。当時はカークが体調不良でリハ不足だったこともあり、初来日のディープな演奏とは比べられませんが、やはり若きロジャースの歌声は素晴らしい。後楽園の空間に轟きながら図太く、深いブルース・フィールをたっぷりと振りまいてくれる。これもまた伝説的な現場のリアル・ドキュメントなのです。

 奇跡の初来日、EL&Pの伝説でも名高い2度目。そんなFREEの現場を語り継いできた名作ヴィンテージLPの復刻盤です。日本にとって、このサウンドこそがFREEだった……そんな時代の薫りがスピーカーから溢れ出す芳醇の1枚。どうぞ、この機会にじっくりと味わってください。』

LIVE! (Gift CDR)
 
 Live At Kanda Kyoritsu Kodo,Tokyo,JAPAN 30th April 1971
 Live at Korakuen Stadium,Tokyo,JAPAN 22nd July 1972
 Taken from the original LP "LIVE!"(IMP)

   [1971/04/30]
   1. Fire and Water
   2. The Stealer
   3. I'm A Mover
   4. Be My Friend
   5. All Right Now
   6. Heavy Load
   7. The Highway Song
   8. My Brother Jake
   9. Soon I Will Be Gone

   [1972/07/22]
   10. Lady
   11. Seven Angels
   12. Honky Tonk Women

 Paul Rodgers : Vocal
 Paul Kossoff : Guitar
 Andy Fraser : Bass,Keyboard
 Simon Kirke : Drums

 I'm A Mover
 
 All Right Now
 

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