4月10日(火)は,野毛の外れにある Jazz Spot Dolphy にて行われた 佐々木諒太 Trio のライブへ.

 
 
 リーダーの 佐々木諒太さんは,この春に高校一年になったばかりのテナー・サックス&クラリネット奏者で,今回はピアノに,昨年9月のちぐさ賞最終審査でベスト・パフォーマンス賞を受賞した岩手県は盛岡市の高校三年生:菊池冬真さんを,ドラムには佐々木諒太さんの友人で同じく高校生の 榎本響さんを迎えての,高校生のベースレス・トリオ.

 今回,高校に進学した佐々木諒太さんに加え,盛岡から菊池冬真さんが来られてライブを行うとの事なので,告知があった時から楽しみにしていたライブでした.
 
 私的には,昨年7月22日(土)に 横浜にぎわい座にて行われた 『 YOKOHAMA MOCAMBO SESSION 2017 』 で,当時,中学生だった佐々木諒太さんの演奏を初めて聴いて以来,何度か観る・聴く機会があり,また菊池冬真さんも,昨年9月22日(日)に Jazz Spot Dolphy で行われた,ちぐさ賞最終審査と,その前日の同会場 での 小室響 Quartet のライブに飛び入りでの演奏を聴いているのですが,両者ともその際には中学生・高校生とは思えず非常に驚きがありました.

 会社を定時で退社し,最寄駅から横浜駅乗換の JR桜木町駅下車で,会場の Jazz Spot Dolphyへ.
 会場到着は 19時00分前後だったでしょうか,重厚なドアを開けて会場内に入ると,既に10名前後のお客さんがいました.
 この時刻で10名前後と言うのは,何時もよりは多い感じでしょうか.

 
 
 開演時刻が近付くに従って,ぞくぞくとお客さんが集まり,最終的には補助椅子を出すまでの満席状態.
 メンバーのご親族や,友人等の方が比較的多かったかと思いますが,満員御礼状態と言うのも凄い!. 
 
 

 定刻を10分程度遅れて登場したメンバー.

 1st Set は,かなりのアップテンポでスピード感のあるサックス奏者:ウェイン・ショーター(:Wayne Shorter)作の "Yes or No" からスタート.
 この曲をオープニングで演奏され,初めて聴くお客さんは度肝を抜かれたと言うか驚いたのでは無いでしょうか.

 

 そして,佐々木諒太さんが菊池冬真さんを自宅に呼んで初めてセッションした想い出の曲と MC で言っていた,ウィラード・ロビソン(:Willard Robison)のバラード:"Old Folks",ジョン・コルトレーン(:John Coltrane)の "Moment's Notice" へと続きます.

 

 このライブが行われる切っ掛けとなったエピソードを簡単に交えた MC を挟んでジャズを知らない人でも知っているだろう,オードリー・ヘプバーン(:Audrey Hepburn)主演の映画 『 ティファニーで朝食を (Breakfast at Tiffany's) 』 の劇中歌 "Moon River".

 

 最後は MC で,次に演奏するような曲を作りたいとも言っていました.

 

 1st Set 最後は,この会場:Jazz Spot Dolphy にも過去出演した事のある世界的なギタリスト:パット・メセニー(:Pat Metheny)の "James" を演奏し 1st Set を締め括ると共に暫しのブレイクへ突入.
 
 

 1st Set は,テンポの良い曲,バラード調/スロー・テンポの曲が交互に演奏されたような感じの選曲でした.

 ブレイク中も,メンバーは会場のお客さんに挨拶や御礼 等を行っており,実質,ブレイク中も休む事ができなかったのでは無いでしょうか.
 
 暫しのブレイク後の 2nd Set は,佐々木諒太さんのオリジナル曲で,ゲーム:荒野行動 をイメージして作った曲との MC から "Wilderness Action" の演奏でスタート・

 
 
 普段はゲームをやらないのだそうですが,1st Set の MC の中でのエピソードで,1月に落ち込む出来事があり,その相談を親交のあるピアニストの小室響さんにしたところ 「 ゲームでもしたら! 」 とのアドバイスがあり,ゲームを始めたそうです.そのゲームが荒野行動なのでしょうか.

 次に演奏する菊池冬真さんのオリジナルに関してご本人の MC.

 

 続けて 菊池冬真さんのオリジナルで昨年 9月22日(日)のちぐさ賞最終審査のライブでも披露された "Wash Up" を演奏.
 因みに 菊池冬真さんは 「 ジャズを聴いている人だけではなく,ジャズをはじめて聴く人にも心に響く曲を作りたい. 」 との思いを込めて作曲しているとの事.

 
 
 佐々木諒太さん曰く,次に演奏予定だった曲はソニー・ロリンズ(:Sonny Rollins)の "Oleo" だったらしいのですが,急遽,自身のオリジナル曲を演奏との事.
 お風呂上りでバス・タオル 1枚の時に作ったと MC してた "お風呂上がり"(仮称)を演奏.
 この曲を急遽演奏する事になった関係上,他のお二人は聴いた事の無い楽曲で,しかも急な為に譜面も無く,佐々木諒太さんが菊池冬真さんにコード進行を伝えて,ほぼ即興での演奏.
 側から聴いているとそんな事は微塵も感じられないのですが,それが出来てしまうのもジャズの良いところ!

 そして恩師でもあり,隣に住んでいたサックス・プレイヤー故井上淑彦さんがアレンジして演奏していた,ジム・ペッパー(:Jim Pepper)の "Witchi Tai To",最後は井上淑彦さんのバンド:Fuse の 1st アルバム 『 Fuse 』 の 1曲目に収録されている "The Last Is The First" で 2nd Set を締め括ります.

 
 
 満員のお客さんからアンコールを要望する熱い手拍子が送られ,アンコールに応えて何とチック・コリア(:Chick Corea)の名作 "Spain" を演奏し,この日のライブを締め括りました.

 
 
 1st Set はスタンダードが中心,2nd Set はオリジナルが中心の選曲,今回初めて聴いたドラムの榎本響さんも粗削りではあるものの,素晴らしいプレイでしたが,もう少し繊細さが加わるともっと良くなるような気がしましたし,バンド全体的に,もう少し各パートのソロを長めにするとか,2回まわすようにした方がより良かったような感じはあります.

 

 メンバーが離れている関係からバンドとしての練習不足で,ミス・タッチ等細かいミスはあったと思いますが,目を瞑って聴いていれば高校生だとは思えない本当に素晴らしい演奏で,数年先のジャズ界を担っていく逸材では無いかと思ったライブでした.

 [Member]
  佐々木 諒太 : Tenor Saxophone,Clarinet
  菊池 冬真 : Piano
  榎本 響 : Drums
 
 [Set List]
  1st Set
   1. Yes or No
   2. Old Folks
   3. Moment's Notice
   4. Moon River
   5. James
 
  2nd Set
   1. Wilderness Action
   2. Wash Up
   3. お風呂上がり(仮称)
   4. Witchi Tai To
   5. The Last Is The First
     [Encore]
   6. Spain
   
 次回のライブは,同会場で 8月2日(木)に決定したようです.
 今度は,夏休み期間だと思いますので,充分な練習もできるのでは無いかと思いますし,一回り大きくなったライブが聴きものです. 

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