1974年6月18日フランスはトゥールーズの見本市・国際展示会場ホール1公演を皮切りに,6月26日パリはヴェルサイユのパレ・デ・スポーツ公演まで行われた夏のフランス・ツアー.
 このツアーは,僅か 7公演に終わりましたが,このツアーでは新曲 "Shine On You Crazy Diamond"(当時は "Shine On" と呼ばれていた)と,"Sheep" の初期バージョンで "Raving And Drooling" が初披露されました.

 5ヶ月弱後の11月4日英国はエジンバラのアッシャー・ホール公演を皮切りに行われる 「 British Winter Tour 1974 」 では,更に "Dogs" の初期バージョンである "You Gotta Be Crazy" も初披露され,フランス公演では第一部で演奏されていた "Echoes" が,アンコールへと移動します.
 それだけに,この夏のフランス・ツアーは重要なポイントであるにも関わらず,商品としてのリリースがありません.

 元々,現時点では残されている音源が,6月22日と6月24日の 2公演?のみと限られている状況で,メーカー情報にも記載されているように,高音質である 6月22日の音源に関して,第二部の 「 The Dark Side Of The Moon 」 部分のテープ速度が安定せずに,これを補正できないのが,その原因であり,このテープ速度が変動したのはレコーダーの電池の残容量の関係でしょう.

 ところが LIGHTHOUSE から,商品を 2組購入すると希望者に配布されるギフト・アイテムとして,夏のフランス・ツアー 4公演目に当たる6月22日のコルマール公演がタイトル 『 Colmar 1974 (Gift CDR) 』 として登場したのは記憶に新しいいところですが,今度は Next Time で扱っている SpeakEzyレーベルから徹底的にピッチ調整等を行った 『 Colmar 1974 (SPE-019) 』 がリリースされました.

 メーカー情報にも記載されていますが,第二部のピッチを徹底的に合わているようなので,かなりの時間を本商品リリースの為に費やしているのでは無いでしょうか.
 現存する "Shine On You Crazy Diamond" と,"Sheep" の初期バージョンで "Raving And Drooling" の最古の音源となるだけに,重要な音源であり,プレスCDでのリリースに本当に感謝です. 

 メーカー情報では
 『★現存音源最古の「Shine On You Crazy Diamond」「Raving And Drooling」が聞ける74年最重要音源がプレス盤で登場!
 ★74年フランスツアーとしては間違いなくベスト!高音質ステレオ・オーディエンス録音!
 ★ピッチは本盤独自の徹底的にアジャストした決定盤!

 '74年フランスツアーより6月22日コルマール公演を音質良好のステレオ・オーディエンス録音で収録したプレス盤タイトルが登場!
 フロイドにとって'74年のライブは6月のフレンチ・サマー・ツアーと11月のブリティッシュ・ウインター・ツアーの短期公演だけでライブ回数もただでさえ少なく貴重でありますが、本盤に収められた仏コルマール公演は過去にも同ツアーからは6月24日パリ公演(モノAud)のみのリリースと未だに全貌の明らかになっていない'74年6月フランス公演とあって、それは極めて貴重なもの。
 しかも若干こなれた感のある11月英国ツアーとも異なるどことなく素朴な雰囲気を全体に堪能でき、「Shine On You Crazy Diamond」「Raving And Drooling(Sheepの原曲)」のライブ音源としては現状最古・最初期の原型テイクを収録と、資料性も兼ね備えたコルマール公演の決定盤!

 Uher 4400のレコーダーとMonacorのダイナミックマイク2本で録られたとされる高音質ステレオ・オーディエンス録音の本音源は、フランスツアーを捉えたもう一つの音源である24日パリ公演(モノラルAud)などと比べても明らかに好音質なのは疑いありません。
 しかし、元々録音時点で機材バッテリーの問題からかスピードが一定しないと言う難題を抱えた音源であったことから、トレーダー間ではかなり前から流通していたもののプレスタイトルとしてリリースされたことは一切ありませんでした。マニアの間では古くはファンレーベルのHarvestedから「Colmar」というタイトルが流通していましたが、あのレーベルですら比較的テープスピードに問題の少ない第1部のみの収録に留め、第2部の狂気は全カットしていたほどです。

 オリジナル音源のスピードは前半のShine On〜あたりでは殆ど問題ありませんが、Echoes辺りから微妙に怪しくなっていきます。しかしEchoesでライブ前半が終了し、一旦録音機材のバッテリーが息を吹き返したのか狂気序盤はどうにか持ちこたえますが、Time辺りから所々音の揺らぎが散見されピッチも高くなっいきます。そしてBrain Damageあたりでは本来のピッチよりも1音(約12%)以上ピッチが高くなり、Eclipseでは15%以上早く、誰が聞いても違和感を覚えるスピード。加えてスピードが全く一定せずスピード修正にはとても難易度の高い音源とあって、トレーダー間では古くから流通しなおかつ良好なステレオAud録音であるにも関わらずアイテムが一切リリースされないという状態が続きました。

 今回は徹底的なピッチ修正を行い正常な状態に復元。事前にピッチが狂っていたと分かっていたとしても全く違和感を感じることのない状態にまで補正しました。特に終盤Brain Damage〜Eclipseでは繊細なギターのフレーズなどにピッチのズレがあると気になるものですが、これらもコンマ数秒の音ユレも逃さずピンポイントでピッチ修正。「とりあえずやるだけやってみました」のレベルではない本気の徹底修正であることは、ぜひ本盤を聞いて頂ければ納得していただけると思います。

 ピッチの問題以外には音切れ・カットが数カ所ありましたが、必要最小限の処理に留めています。Raving〜後にあった重複カットなどは編集しノーカット復旧。その他BreatheとEclipseの頭にあったドロップアウト(レベルダウンによる欠落)は同音源の同じフレーズ部を違和感ないように差し込んで自然な音になるように処理しました。
 今回のリマスターにあたり15.5kHz付近の高周波ノイズの除去、位相のズレ、Popノイズなどを適宜修正及び徹底除去。また、マイクを椅子の肘掛けなどに置いていたのか全編に渡りマイクがコトコトとノイズを拾ってしまっているため、そちらもできる限り除去しています。

 音源はトレーダー間に流通する2nd GenからDATにコピーされた16Bit/48kHzのUnprocessedソースを採用。ちなみに1st Genとされるバージョンも流通していますが、音質的にも本バージョンよりも劣り、Shine On〜前のイントロが欠落していたり、音量の大きい箇所で歪みが多発するなどの欠点があります。また、本音源の録音者は残念ながら90年代にすでに亡くなられているという情報もあり、今後マスターテープ起こしのバージョンが改めて出回るなどの可能性は極めてゼロに近いといえるでしょう。
 今回2nd Genをマスターに使用した本バージョンが永久ベストとなる事は間違いありません。

 収録内容的にも前述のとおり「Shine On You Crazy Diamond」、「Raving And Drooling(Sheepの原曲)」がポイントです。Shine On〜は前半と後半に分離されておらず、リリースバージョンでPart 9にあたるパートがなし、メインボーカルをギルモアではなくロジャーがとるというもの。サビのShine On You Crazy〜の辺りではメンバー誰かの素っ頓狂なバックコーラスが他では聞けないものでちょっと珍しいもの。
 Raving And Droolingもリリースバージョンとは別物で、リックライトのうねるキーボードが前面に出てかなり目立つ。リリースバージョン同様ロジャーのボーカルですが歌詞は全く異なります。さらにサウンドエフェクトもなし、若干コーラスも異なるなどのちの11月の英国ツアーでのパフォーマンスとも違う点があります。

 フロントジャケは二つ折りで、いにしえのハイランド盤をリスペクト。
 当然フロントジャケは貴重なフランス公演のもので、同ツアーを収録した写真集から。
 '74年仏・コルマール公演の決定盤がプレス2CDで登場です!』

Colmar 1974 (SPE-019)
 
 Live At Parc des Expositions,Colmar,FRANCE 22nd June 1974

 Disc 1
  1. Introduction
  2. Shine On You Crazy Diamond
  3. Raving And Drooling
  4. Echoes
  TOTAL TIME (62:27)

 Disc 2
  [The Dark Side Of The Moon]
  1. Speak To Me
  2. Breathe
  3. On The Run
  4. Time
  5. Breathe (Reprise)
  6. The Great Gig In The Sky
  7. Money
  8. Us And Them
  9. Any Colour You Like
  10. Brain Damage
  11. Eclipse
  TOTAL TIME (55:18)

 Raving And Drooling
 
 The Great Gig In The Sky
 
 Brain Damage
 
 Eclipse
 

[参考]
1974 Tour Dates
 June
  18 Hall 1,Parc des Expositions,Toulouse,FRANCE
  19 Les Arènas,Parc des Expositions,Poitiers,FRANCE
  21 Hall 1,Palais des Expositions,Dijon,FRANCE
  22 Théâtre de Plein Air,Parc des Expositions,Colmar,FRANCE
  24 Palais des Sports de la Porte de Versailles,Paris,FRANCE
  25 Palais des Sports de la Porte de Versailles,Paris,FRANCE
  26 Palais des Sports de la Porte de Versailles,Paris,FRANCE

 November
  04 Usher Hall,Edinburgh,UK
  05 Usher Hall,Edinburgh,UK
  08 Odeon,Newcastle-upon-Tyne,UK
  09 Odeon,Newcastle-upon-Tyne,UK
  14 Empire Pool,Wembley,London,UK
  15 Empire Pool,Wembley,London,UK
  16 Empire Pool,Wembley,London, UK
      [Alan Freeman Show,BBC Radio 1,Broadcast 11 January 1975]
  17 Empire Pool,Wembley,London,UK
  19 Trentham Gardens,Stoke-on-Trent,UK
  22 Sophia Gardens Pavilion,Cardiff,UK
  28 Empire Theatre,Liverpool,UK
  29 Empire Theatre,Liverpool,UK
  30 Empire Theatre,Liverpool,UK

 December
  03 The Hippodrome,Birmingham,UK
  04 The Hippodrome,Birmingham,UK
  05 The Hippodrome,Birmingham,UK
  09 The Palace Theatre,Manchester,UK
  10 The Palace Theatre,Manchester,UK
  13 The Hippodrome,Bristol,UK
  14 The Hippodrome,Bristol,UK

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