1972年9月にアルバム 『 Close To The Edge (危機) 』 がリリースされるのに伴って,1972年7月末から開始された 「 Close To The Edge Tour 」.その一環として1973年3月に初来日を果たしたイエス.

 その 「 Close To The Edge Tour 」(初来日ツアー)より,3月8日(東京厚生年金会館),9日(渋谷公会堂),10日(神田共立講堂)の 3連続行われた東京公演から,最終日に当たる 3月10日神田共立講堂公演をオーディエンス収録し,過去に 『 In Japan (Siréne-071) 』 として,Siréneレーベルからリリースされた音源が 『 Tokyo 1973 3rd Night (Gift CDR) 』 のタイトルでギフト・アイテムとして登場しました.

 因みに,この初来日では,上述の東京公演以外に,11日(名古屋市公会堂),12日(大阪厚生年金会館),14日(京都会館)と計 6公演行われています.

 今回,使用された音源は東京 3公演を収録し 2012年に Virtuosoレーベルよりリリースされた 6枚組の 『 Close To The East (Virtuoso 125 - 30) 』 の Disc 5&6にも収録されています.

 音像は若干遠いものの,オーディエンス・ノイズも殆ど無く,高音質(特に前半)です.

 カット・インで始まる "Siberian Khatru" は,どうせならば 『 Close To The East (Virtuoso 125 - 30) 』 の編集のように別の日で補填すれば良いのにとも思ったりもします."Siberian Khatru" の前に若干収録されている部分は,開演前のものなのでしょう.オープニングを飾る "Firebird Suite" ~ "Siberian Khatru" の頭が欠けてしまっているのは,一旦録音を誤って止めてしまい "Siberian Khatru" で気付いて急遽録音開始した関係なのでしょうか.

 3公演目だけに演奏もこなれてこなれており,調子は良さそうでしたが,後半は歌詞忘れや演奏が不調になる部分も散見されます.

 ファン・サービスの "Sakura Sakura" は,日本のフォーク・ソングとの MC から始まりますが,何ともイメージが.(笑)
 "Heart Of The Sunrise" では,導入部のキーボードが機器不調なのか何時もと感じが異なり,ある意味新鮮ですが,この辺から後は,それぞれの曲の演奏も少し雑になった感があります.
 "Close To The Edge" では,5分36秒前後にカットがあり,"I Get Up,I Get Down" パートでは,本来コーラス・アンサンブルなのですが,バックの音が大き過ぎるのか,SE(:Sound Effect)を用いていて,機材トラブルで音を切る事ができなかったのか,非常に耳障りです.その後も "Seasons Of Man" パートに繋がる14分37秒前後で,各メンバーが一瞬リズムを見失います.
 この辺になると前半のバランス,音質と比較すると,各楽器の音のバランスも崩れてきます.

 "Rick Wakeman Solo" はリラックスして弾いているのか,途中でブギーのフレーズを挟んでおり,何時もの雰囲気とは変わりますし,全体を通じて,何の問題も無くこなしており,本編最後の
"Roundabout" で,ようやく持ち直した感がありますが,アンコールの "Yours Is No Disgrace" では,またラフな演奏に戻ってしまいます.そして 2度目のアンコール "Starship Trooper" で終演なのですが残念ながら,8分58秒でフェイド・アウトです.一部の記事では 3日目の演奏が今一なのは,酒の飲み過ぎとしていますが,実際のところどうなのでしょう.

 また全体的にウェイクマンのキーボードのピッチが狂っているような感じを受けるのは私だけでしょうか.

 メーカー情報では
 『伝説の初来日公演を収めたSireneレーベルの名録音がギフト・タイトルで復活です。
 本作が録音されたのは「1973年3月10日:神田共立講堂(共立女子学園講堂)」。
 初来日3日目のことでした。まずは、日程で確認してみましょう。

   ・3月8日:東京厚生年金会館
   ・3月9日:渋谷公会堂
   ・3月10日:神田共立講堂 【本作】
   ・3月11日:名古屋市公会堂
   ・3月12日:大阪厚生年金会館
   ・3月14日:京都会館

 以上が初来日の全容。
 全6公演の半分が東京公演だったわけですが、本作はその最終日でもありました。

 そんな本作は、プレスCD『IN JAPAN(Sirene-071)』や『CLOSE TO THE EAST(Virtuoso 125-130)』の一部としても大人気の名録音。人気の理由は、なんと言ってもクオリティ。

 録音家自身から譲られたオリジナル・カセットをダイレクトに使用しており、その鮮度は昨日録ったかのように新鮮。「まるでサウンドボード」と呼ぶようなタイプではありませんが、ダビングやマスター劣化がまるでなく、43年前の大気がスピーカーからそっくり吹き出してくる。もちろん、録音自体も素晴らしい。やや距離はあるものの、その空気感が透き通っており、1音1音クリアな楽音が鮮やかに踊り、空間に降り注ぐのです。

 さらに現場の観客たちも美しいサウンドに一役買っている。現在でもプログレ系の来日公演は目を凝らし、耳を澄ませる観客たちが集っていますが、本作では1曲1曲を終える度に沸き上がる大歓声も若々しく、割れんばかりの熱狂は演奏中の静寂にさえ熱を感じさせる集中力なのです。実のところ、この録音は無音部でうっすらとヒスノイズが入っているのですが、これさえもが固唾を飲む空気感に溢れている。もちろん、リマスターで消すことも可能でしたが、貴重な初来日のフレッシュな匂い、固唾を飲む観客たちの息づかいまでも伝えるため、あえてマスターそのままにいたしました。
 YESにとっては、そんな日本独特のムードも初体験だったわけですが、本作が録音されたのは3日目。まだ、戸惑いがありながらも「静寂ではあっても熱い」ことを知り、少しずつ慣れ始めた刹那が描かれている。

 特に面白いのは「Heart Of The Sunrise」。キメが崩れてリズムも狂い、さらにはジョンが歌詞を忘れてしまう大失態。初めてのアジアでも歓待された安堵感から油断が出たのかも知れませんが、そのムードもまた歴史のドキュメント。当時は『YESSONGS』のリリース直前であり、会場に詰まった空気は現代のように演奏できて当たり前ではなく、「こんな緻密な音楽が生で演奏できるのか」というものであり、複雑な曲想を目の前で次々と再現するバンドに圧倒されている。そんな中での一時の混乱は、ミスなのかライヴ用のアレンジなのかさえリアルタイムで判断できない……そんな未知の中にいる感覚がリアルなのです。
 その反対に微笑ましいのがスティーヴ・ハウのアコースティック・ソロの前に披露された「Sakura Sakura」。ジョン・アンダーソンが「古い日本のフォーク・ソングにトライします」と言いだし、たどたどしい日本語で「さくら♪さくら♪」と歌い出すのです。彼が日本語で歌うのは、この日が初めて。もちろん、観客は驚きながらも大喜び。まさに歴史的な1シーンに立ち会うことができるのです。

 この伝説の初来日から43年、今年11月には10度目の来日(ABWH含む)を果たす彼ら。長きにわたって蜜月を続けてきたYESと日本。その3日目の現場にたゆたっていた“出会いの空気”をたっぷりと吸い込んできたオリジナル・マスターです。週末の部屋を“1973年の匂い”で包んでくれる大傑作、あなたのお手元へお届けいたします。』

Tokyo 1973 3rd Night (Gift CDR)
 
 Live At Kanda Kyoritsu Koudou,Tokyo,Japan 10th March 1973
 From Original Masters

 Disc 1
  1. Siberian Khatru
  2. I've Seen All Good People
  3. Sakura Sakura
  4. Mood For A Day
  5. Clap
  6. Heart Of The Sunrise
  7. And You And I
  TOTAL TIME (48:31)

 Disc 2
  1. Close To The Edge
  2. Rick Wakeman Solo
  3. Roundabout
  4. Yours Is No Disgrace
  5. Starship Trooper
  TOTAL TIME (66:31)

 Jon Anderson : Vocals
 Steve Howe : Guitar & Vocal
 Chris Squire : Bass & Vocal
 Rick Wakeman : Keyboards
 Alan White : Drums

 I've Seen All Good People
 
 Sakura Sakura
 
 Heart Of The Sunrise
 
 Close To The Edge
 

[参考]

Close To The Edge (危機)




 In Japan (Siréne-071)
 
 Close To The East (Virtuoso 125/126/127/128/129/130)
 cinnamonの音楽ときどき競馬予想-Yes Close To The East

 Close To The Edge JAPAN Tour 1973
  March
  08 Koseinenkin Kaikan, Tokyo, JAPAN
  09 Shibuya Kokaido,Tokyo, JAPAN  
  10 Kanda Kyoritsukodo, Tokyo, JAPAN
  11 Nagoya-Shi Koukaidou, Nagoya, JAPAN 
  12 Kouseinenkin Hall, Osaka, JAPAN 
  14 Kyotokaikan Daiichi Hall, Kyoto, JAPAN

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