お茶の水の Next Time で,販売している Graf Zeppelinレーベルの 『V 1/2 (LZSC-017A/B/C/D/E)』.

 先日の 『Burn Like A Candle (LZSC-011A/B/C)』 に次いで,今度は,1973北米ツアーからのリリース.

 オフィシャル・アルバム 『The Song Remains the Same - 永遠の詩(狂熱のライヴ)』 や,コンサートおよびプライベートの模様を描いたセミ・ドキュメンタリー映画 『The Song Remains the Same - レッド・ツェッペリン 狂熱のライヴ 』 が生まれた,1973年北米ツアー.

 この1973年北米ツアーは,5月4日ジョージア州アトランタはアトランタ・フルトン・カウンティ・スタジアム公演を皮切りに,7月29日ニューヨークはマジソンスクウェアガーデン公演で幕を閉じますが,北米で 9回目に当たるこのツアーは,6月3日カリフォルニア州ロサンゼルスはイングルウッドのザ・フォーラム(通称:L.A.フォーラム)公演までのファースト・レグと,約1ヶ月間のブレイクを挟んで,6月2日イリノイ州シカゴのシカゴ・スタジアム公演を皮切りに,7月29日ニューヨークはマジソンスクウェアガーデン公演までのセカンド・レグで構成されていました.

 今回の音源は,セカンド・レグ中盤に当たる,ワシントン州シアトルはシアトル・センター・コロシアム公演を,ステレオ・オーディエンス音源と,サウンド・ボード音源で構成した 5枚組で,1973年北米ツアーの定番音源です.

 この日の音源は,40年強前に,TMOQ(:Trade Mark Of Quality)レーベルからリリースされていた 『LIVE IN SEATTLE 73 TOUR』 のタイトルを,西新宿にあったブート店の通販で購入.当時,良く聴き込んでいたので,個人的には愛着がある公演日.

 その後,発掘されたサウンドボード音源や,モノラル・オーディエンス音源(:Stan Gutowski氏録音)などを元に,現状では,多種多様なブート・アイテムが氾濫しており,Taranturaレーベルの 『Monsters Of Rock (T3CD-9-1/2/3)』,Antrabataレーベルの 『Grandiloquence-1`(AN-007)』,『Grandiloquence-2`(AN-008)』,Cobra Standardレーベルの 『V 1/2 Performed Live In Seattle (CS-013)』,Empress Valleyレーベルの 『V1/2 (EV-136)』,Last Stand Discレーベルの 『V 1/2+ (LSD-37/38/39)』,The Diagams of Led Zeppelinレーベルの 『Complete Seattle (TZ-079)』,最近でも Eat A Peachレーベルから 『Performed Live In Seattle (EP-004)』 等,かなりのタイトルがリリースされています.

 元々,このステレオ・オーディエンス・ソース(:Dave Departee氏録音)に関しては,上述のアナログ盤以降は,テープが見つかっておらず,CD時代になっても殆どリリースされる事のなかった音源ですが,2010年に JEMSのチームにより,アナログ落としではなく,テープ音源がネット上に公開され,本商品はその音源を使用,また不足部分をモノラル・オーディエンス録音やミント状態のアナログ盤落とし等で補填し,リリースしたものですが,ステレオ・オーディエンスをメインに収録したアイテムは殆ど存在しなかったので,今回の Next Time の着眼点は素晴らしいと思います.

 そして,このステレオ・オーディエンス録音は,音の拡がりがあり,音質が素晴らしい事,音像も近く非常に迫力がある事から,個人的にはサウンドボードよりはるかに好きな音と言えます.

 73年北米ツアーのセカンドレグ屈指の名演,と言っても過言では無い 7月17日のシアトル公演.
 カリフォルニア州イングルウッドのザ・フォーラム公演と同様に,毎回名演を生んでいるワシントン州シアトルのシアトル・センター・コロシアム公演.
 やはり公演場所とかその土地の雰囲気ってあるんでしょうね. 
 
 ピンク・フロイドのブートでも記録されていますが,何せ,アメリカの観客は,馬鹿騒ぎをして,屋内のコンサート会場でも平気で花火(爆竹)を鳴らしますから,バンド側もある程度嫌気がさしていたのでしょう.
 この日は公演前に,注意事項に関する,以下の内容のアナウンスがありました.
 「レッド・ツェッペリンからのお願いです.
  まず一つ目,我々も,彼らも,周りの誰もが,花火(爆竹)は嫌いです.どうか花火(爆竹)を鳴らさないで下さい.
  またステージ前方のエリアには,今夜使用する視覚効果をもたらす機材が設置してあります.ステージに駆け寄られでもしたら,今夜のショウは台無しです.彼らのショーは通常1時間45分位ですが,今夜,花火(爆竹)を抑え,前方にも詰め寄らなければ,レッド・ツェッペリンは貴方方に感謝し,3時間演奏すると言ってます.


 このアナウンスや,映画 『The Song Remains the Same - レッド・ツェッペリン 狂熱のライヴ 』 でも判るように,1973年の北米ツアーからは,巨額の費用を投じて,照明・ミラー・スモーク等,演出に力を入れ始めました.

 そして,このアナウンスの後に,暫くして,レッド・ツェッペリンの登場です.

 この時期のセット・リストは,殆ど変化がなく,アンコール部分の "Thank You","Communication Breakdown",""Dancing Days" の演奏有無程度の差しかありません.

 前年のツアーに比較すると,ロバート・プラントの声の劣化が目立ちますが,この日は,オープニングの "Rock And Roll" から,バンド自体の勢いを感じる演奏が繰り広げられ,ロバート・プラントも好調のようで "Celebration Day" ~ "Black Dog" と定番のメドレー形式で突っ走ります.

 "The Rain Song" では何故か途中メロトロンが故障したのか否か不明ですが,ジョン・ポール・ジョーンズが,演奏をフェンダー・ローズに切り替えてます.

 "Stairway To Heaven" は,非常に丁重に,且つしっとりと歌い上げ,他のメンバーも丁重に演奏している感があります.そして,何と "Do You Remember Laughter ?" が,2回飛び出します.余程,ロバート・プラントの気分が良かったのかも知れません. 

 "Moby Dick" は,最初からジョン・ボーナムが飛ばしており,トータル 33分にも及ぶ熱演で,体力的に良く持つなと感心してしまいますね.

 導入部が,少し変わったドラムのリズムから始まる "Heartbreaker" .
 ジミー・ペイジのギター・プレイも然る事ながら,バックのリズム隊がすごい演奏を展開していますし,メドレー形式的に繋がる "Whole Lotta Love" でも,リズム隊の凄まじい演奏を聴く事ができます.

 アンコールに応えて演奏される "The Ocean" では,"Moby Dick" 同様に,ジョン・ボーナムのパワフルなドラミングが炸裂し,凄まじい迫力です.

 全体を通して一気に聴く事ができるものの,些細ではありますが,強いて上げれば Disc 1 の "No Quarter" 終了後から 次の "The Song Remains The Same" に入るまでの MC 部分が,Disc 1 の最後と,Disc 2 の最初に重複して入っており,続けて聴くと違和感を感じます.意図的に入れていると思われ,聴く側でも賛否両論はあると思いますが,もう少しうまい編集ができるはずであり,少し残念かと.

 ただ,これは値段的にもリーズナブルであり,初心者にも楽しめますので,この日の音源をお持ちでない方は,買いですね.
 
 メーカー情報では
 『★Disc1-3はCDでは初めてステレオAudテープをメインに収録。
足りない箇所はモノラルAudテープとヴィンテージ・アナログ盤(ステレオAud)を駆使して全曲収録を再現!
 ★限定ポスター付属
 ★限定ナンバリング(1〜300まで)入りステッカー添付予定
 ★盤はピクチャーラベル仕様。

 73年定番ライブの決定盤とも言えるアイテムが登場!

 ディスクの1-3枚目はステレオ・オーディエンス録音をメインに構成しており、CDでステレオ・オーディエンス録音がメインに採用されたのは今回が初めてで、過去にはアナログ盤起こしでさえもがそのクオリティの高さにもかかわらず何故か殆ど皆無でした。ステレオ・オーディエンス録音で足りない箇所はMono・オーディエンス録音とアナログLP盤も駆使して全曲完全収録を再現。
 4-5枚目はサウンドボードをメインに収録し、欠落部をMonoオーディエンス録音で補填しました。元々サウンドボードは終盤部分が流通していないため分量は2枚となります。

 本アイテムは 5枚組ですが、1-3枚目にフィーチャーされたステレオ・オーディエンス録音部分が実質的に本アイテムにおける最大のポイントとなります。
 ここでメインに据えたステレオ・オーディエンス録音は近年ネットにアップされた音源を使用。元々アナログLP盤で70年代に音盤化されていた物と同音源なのですが、テープからのデジタル化は初であり、マスターテープからのデジタル化との触れ込みで"JEMS"によりトランスファーされたもの。その音質は掛け値なしに素晴らしく、アナログLP盤自体が元々十分に素晴らしいクリアなサウンドでしたが、今回のデジタル化により低音域も臨場感も作為感なしに増しており、さらに素晴らしい音質が味わえ、とても40年以上前の録音とは思えないクオリティーで、出だしの R&R を聞いた瞬間に他の音源では味わえない演奏のドライブ感や伸びのあるギター、会場の臨場感に誰もが驚くはずです。

 もっとも、今回全ての演奏がステレオテープで登場したわけではなく、幻惑や Moby Dick は元々録音してないことと、さらにアナログ盤には収録されていた天国と胸いっぱいの大部分のオリジナル・テープは残念ながら消失してしまったようです。そこで幻惑と Moby はCD時代からお馴染みの Mono オーディエンス録音で代用し、天国、胸いっぱいはヴィンテージアナログ盤(ネットではありません)をメインにした収録としました。
 なお、オーシャンに関しては今回テープバージョンで流通はなされたのですが、籠もった質感でありクオリティー的にアナログ盤の同音源よりもクリアさで劣ること、かつアナログ盤の方が演奏前後をかなり長く収録しているため、今回はアナログ盤からの採録としました。
 アナログ盤から採録した天国、胸いっぱい、オーシャンの部分は丁寧にスクラッチノイズをピンポイントで手間を掛けて取り除きました。

 ハートブレイカーは、ステレオ・オーディエンス録音自体が今回初登場となりましたが、クオリティ的に他のステレオ部分に比べ若干落ちます。ホワイトノイズが元々耳に付くため安易に高域を持ち上げるようなエフェクト処理は避け、なるべく嫌みにならないような音に収めました。
 また、メインのステレオ音源の補足ですが、祭典の序盤でステレオの片chがオフになる箇所とマイクが隠れる箇所があり、No Quarterでも序盤で片chがオフになる箇所などがありますが、その辺りはステレオソースの片chをモノラル化した音源とMonoオーディエンス録音で差し替え補填などを適宜施しております(全般の編集ポイントは下記曲目欄に記載しておりますので参照下さい)。

 幻惑や Moby、やライブ開始前のイントロダクションなどの曲間で使用した Mono オーディエンス録音はネットではないアングラトレード音源とネット音源の併用です。ネット音源はステレオ Aud音源同様 JEMS マスターを使用し、Moby Dick 丸々で使用。既発の殆どで Moby Dick の最後で大きな音ヨレが見られますが、JEMSでは音ヨレがなかったため、ここに採用しました。他はネットではないアングラ音源を使用しており、Disc 1 のイントロ部分の最初の箇所やハートブレイ-カー前のオーディエンス・ノイズ部分を聞けばネット音源ではないことが分かります。
 この Monoオーディエンス録音も既発の同音源に比べノイズの極めて少ない非常に聞きやすい音源となっております。今回は音抜けがなるべく良くなるように、なおかつ高域が嫌みに出過ぎないように音処理を施し、既発で聞きやすいと評価の高いコブラ・スタンダード盤の質感を意識してマスタリングしました。もちろんモノラルなのでセンターにずっしりと安定した定位になっており、あらゆる既発盤よりもヒスノイズが少なく、かつナチュラルなサウンドを体感できます。

 4-5枚目のサウンドボード部分はネット音源を使用し CD化。曲中カットのある Rain Song は Monoオーディエンス録音で繋ぎ疑似完成版としました。Monoオーディエンス録音と本ライブのサウンドボードは特にドラムの入らない箇所でかなり質感が似ており、今回の Rain Song もキーボード主体の箇所での繋ぎなので、殆ど違和感なく鑑賞できるのが幸いです。サウンドボード部分は全体的に控えめのおとなしめのマスタリングに留めました。一部の演奏でパンする以外は終始モノラルっぽい質感であり、本音源でも常にセンターで安定した定位となっております。
 1-3枚目のステレオ音源の前では、もはやその存在も霞むものとなった感もあるこのサウンドボード部分ですが、そこは本レーベルらしく手抜きせずに丁寧にマスタリングを施しております。

 フロントジャケットはヴィンテージLP盤から直接データを取り、新たに丁寧に起こし直しましたので、本レーベルのボン誕や Burn Like a Candle などと同様にその再現度は抜群です。ジャケ内側もファンなら多少はニヤリと出来る仕様になっておりますので是非ご覧下さい。
さらに限定で両面印刷の折込ポスターが付属します。レーベルも飛行船をモチーフにしたピクチャーディスク仕様です。』

V 1/2 (LZSC-017A/B/C/D/E)
 
 Live At Seattle Center Coliseum,Seattle,WA.USA 17th July 1973

 [Stereo Audience Recording]
  Disc 1
   1. Introduction
   2. Rock And Roll
   3. Celebration Day
   4. Black Dog
   5. Over The Hills And Far Away
   6. Misty Mountain Hop
   7. Since I've Been Loving You
   8. No Quarter

  Disc 2
   1. MC
   2. The Song Remains the Same
   3. The Rain Song
   4. Dazed and Confused
   5. Stairway to Heaven

  Disc 3
   1. MC
   2. Moby Dick
   3. Heartbreaker
   4. Whole Lotta Love
   5. The Ocean

 [Soundboard Recording]
  Disc 4
   1. Introduction
   2. Rock And Roll
   3. Celebration Day
   4. Black Dog
   5. Over The Hills And Far Away
   6. Misty Mountain Hop
   7. Since I've Been Loving You
   8. No Quarter

  Disc 5
   1. MC
   2. The Song Remains the Same
   3. The Rain Song
   4. Dazed and Confused
   5. Stairway to Heaven

 Since I've Been Loving You [Disc 1,Track 7] 
 
 The Song Remains the Same [Disc 2,Track 2] 
 
 Stairway to Heaven [Disc 2,Track 5] 
 
 Whole Lotta Love [Disc 3,Track 4] 
 
 No Quarter [Disc 4,Track 8] 
 
 Stairway to Heaven [Disc 5,Track5] 
 


[参考]
 LIVE IN SEATTLE 73 TOUR
 
 TAKRL(:The Amaging Kornyfone Record Label盤)
 

 1973 North American Tour Dates
  May
   04 Atlanta Fulton County Stadium,Atlanta,GA,USA
   05 Tampa Stadium,Tampa,FL,USA
   07 Jacksonville Coliseum,Jacksonville,MS,USA
   10 Memorial Coliseum,Tuscaloosa,AL,USA
   11 St. Louis Arena,St. Louis,MO,USA
   13 Municipal Auditorium,Mobile,AL,USA
   14 New Orleans Municipal Auditorium,New Orleans,LA,USA
   16 Sam Houston Coliseum,Houston,TX,USA
   18 Dallas Memorial Auditorium,Dallas,TX,USA
   19 Tarrant Country Convention Center,Fort Worth,TX,USA
   22 Convention Center Arena,San Antonio,TX,USA
   23 University Arena,Albuquerque,NM,USA
   25 Denver Coliseum,Denver,CO,USA
   26 Salt Palace,Salt Lake City,UT,USA
   28 San Diego Sports Arena,San Diego,CA,USA
   31 The Forum,Inglewood,CA,USA

  June
   02 Kezar Stadium,San Francisco,CA,USA
   03 The Forum,Inglewood,CA,USA

  July
   06 Chicago Stadium,Chicago,IL,USA
   07 Chicago Stadium,Chicago,IL,USA
   08 Market Square Arena (unconfirmed),Indianapolis,IN,USA
   09 St. Paul Civic Center,Saint Paul,MN,USA
   10 Milwaukee Arena,Milwaukee,WI,USA
   12 Cobo Hall,Detroit,MI,USA
   13 Cobo Hall,Detroit,MI,USA
   15 Buffalo Memorial Auditorium,Buffalo,NY,USA
   17 Seattle Center Coliseum,Seattle,WA,USA
   18 Pacific Coliseum,Vancouver,BC,CANADA
   19 The Spectrum,Philadelphia,PA,USA
   20 Boston Garden,Boston,MA,USA
   21 Providence Civic Center,Providence,RI,USA
   23 Baltimore Civic Center,Baltimore,MD,USA
   24 Three Rivers Stadium,Pittsburgh,PA,USA
   27 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
   28 Madison Square Garden,New York City,NY,USA
   29 Madison Square Garden,New York City,NY,USA

 Promotional Poster Of Led Zeppelin, 1973
 

 V 1/2+ (LSD-37/38/39) [SBD]
 
 Grandiloquence-1`(AN-007) [AUD]
 
 Grandiloquence-2 (AN-008) [SBD]
 
 Complete Seattle (TZ-079) [ AUD ]
 
 V 1/2 Performed Live In Seattle (CS-013) [AUD]
 
 V 1/2 Extravaganza (BH-001) [SBD]
 
 V1/2 (EV-136) [SBD+AUD]
 
 Monsters Of Rock (T3CD-9-1/2/3) [SBD+AUD]
 
 Performed Live In Seattle (EP-004) [SBD+AUD]
 

[関連記事]
New Orleans 1973 (No Label)
 
Offenburg 1973 (No Label)
 
The Song Remains The Same Re-Edited (Gift CDR)
 
Providence 1973 (No Label)
 
In For A Quick Garden (No Label)