✴️第388話:老いとともに生きる | 中高年の中高年による中高年のための音楽

中高年の中高年による中高年のための音楽

10年続けたYahoo!ブログから移転してきましたが、Amebaのブログライフも4年を越えました。タイトルは当時と同じ「中高年の中高年による中高年のための音楽」です。
主にオールディズが中心の音楽を紹介しています。よろしくお願いいたします。

老後とは

 年齢的な定義はないが、一般的には、定年後再雇用制度の年齢、厚生年金が満額支給になる65歳あたりから「老後」になるようだ。
 
類似語としては、余生、残りの人生、晩年、晩節、高齢者、お年寄り、老人、年配、お爺さん・お婆ちゃん、老いぼれなどで、予想通りとは言え、あまりポジティブな表現が見当たらない。

 現在、小生が仕事として巡回しているマンション管理・清掃スタッフのほとんどが、この「老後」の人たちであり、調べてみたら自分の担当では平均年齢が72歳、80歳以上は25名もいた。

 今の仕事を始めて、つくづく人を歳で判断するべきではないと思うようになった。歳をとっていても元気で快活な人がいる一方で、若年寄もいる。要は個人差が激しいということだ。

 ただ、日本は欧米人から見ると、異常と思えるほど年齢のことを気にするのは、年長者や目上を敬う文化があり、尊敬語や丁寧語、そして謙譲語が存在するからである。

 そして、歳を聞くことにより、相手のイメージを作りあげる。会っていて、どんな人間か想像がつかないときほど気持ちの悪いことはない。

 それでもこの歳になれば、身体のどこかに弱みを抱えているものだ。加齢による記憶力や体力の低下で、トラブルやクレームが起きることが多くなるのは致し方ない。

 最近80歳以上の管理員の何人か、いつまで仕事ができるかの相談を受けた。辞めるタイミングも大切だ。皆には励ましておいたが、就活ならぬ終活を考えるのに決して遅くはない年齢である。

 父母はとっくの昔に亡くなり、兄や姉も歳を取った。長兄はこの2月に90歳。5人兄弟姉妹で唯一次兄が2年前に亡くなったが、末っ子の自分も来月、後期高齢者に突入する。

 元々天然ボケではあったが、最近さらに忘れやすくなった。それも、直前の記憶が失われることが多々あるのが恐ろしい。

 

政界は真っ暗闇

 それにしても、あの盛山文科大臣(現在70歳、写真左)の言動はいただけない。

 「記憶にございません」の連発は、忘れかけていたあのロッキード事件(写真右)を彷彿とさせる。

 いずれ解任は免れないだろうが、三年前のこんな大事な事を忘れるなんて、とても信じ難い。相手の10回以上会ったというのが本当なら、認知機能を調べてもらったほうがいい。

 安倍元首相の「モリカケサクラ」の隠ぺいと嘘八百がまかり通ったことが、世も末のこんな日本を生んでしまった。彼が生きていれば、これも闇に葬られたのだろうか?

 

80年代の巨匠墜つ

 指揮者小澤征爾さんが2月6日に88歳でお亡くなりになった。

 それにしても次のような素晴らしい追悼文は見たことがない。小澤征爾さんも天上から喜んでいることだろうね。日本には誇らしいこんなすごい人がいた。

 小澤征爾さんを失って 村上春樹さん寄稿(2024.2.11、朝日新聞)

 

老いを受け入れる

 2月9日発売の週刊現代2月17日号(写真左)の、評論家・樋口恵子さん(現在91歳、写真中央)と、精神科医・和田秀樹さん(現在63歳、写真右)の対談。

〈和田〉80歳位で大事なのは、上手なシフトチェンジ。「老いと闘う時期」から、「老いを受け入れる時期」に切り替える。

 最初に老化がはじまるのは「意欲。意欲や好奇心と関わりの強い脳の前頭葉の働きが低下する。

 前頭葉を鍛えるには、テレビや雑誌などにある意見を鵜呑みにせず、「そうかもしれないが、別の見方もあるよね」と、様々な面から物事を考えることが大切。それと、自分の考えを言葉にしてアウトプットすることだ

 40歳を越えると筋肉は年々1%ずつ減っていくと言われている。80歳になる頃には若い頃の6割程度の筋力で支えなければいけないので、一人で立ち上がれなくても仕方がない。

 また、認知症病と考えるより、老化の一つとし考えた方がいい。という。

 

老いはヒトが手にした特権

 誰にとっても、老いを生きるかは難題だが、「なぜヒトだけが老いるのか」(写真)という著書である生物学者・小林武彦さん(現在60歳)は、「そもそも老後は野生の動物にはない。老いは進化の過程で、生物としてのヒトが手にした特権だ」と断定している。

「それはもう明らかに、若い世代を支えるために、シニアの存在が重要だったから」

 「隠居を急ぐ必要はあるまい。出来る範囲でいい。仕事場で、近所で、家庭で、お年寄りが誰かのためになっている社会であってこそ、若者に希望を持てるのでは」と説く。 

「いかに人らしく生きるかは、老後をどう過ごすかにかかっていると思います」

 

 この話を聞くと、明日(2月17日)で85歳を迎える自民党の二階元幹事長(写真)が政治資金収支報告書の訂正で支出に追加した「書籍代」が3年間で3,472万円という事実が目に浮かび、改めて日本の老害政治家に幻滅を感じた。

 もちろん彼が大変な読書家だと感心したわけではない。領収書が公開され内訳が17種類で約2万8千冊、同じ本を数千冊単位で買っていて、彼の足跡を辿った「二階本」(写真右はその一部)が大半だった。これだけの金額を学校図書館で使えるとしたら、74校分の予算が賄えるという。(朝日新聞2月15日号、天声人語)

 

健康寿命世界一の日本

 健康寿命とは、WHOが提唱して「自立した生活が出来る期間」のこと。

 2023年版の世界保健統計によると、男女平均の健康寿命が最も長い国は日本で74.1歳だった。 男女別でも日本が1位で、男性が72.6歳、女性が75.5歳となっている。

 

 その理由は分かっている。老後を余生としてではなく、生涯現役として捉えている人が多いからである。

 幸福働くことが近しいのは、「日本でいちばん大切にしたい会社」として代表的なチョークの製造会社、日本理化学工業で積極的な障害者雇用を目指した社長の大山泰弘さん(2019年、86歳で没、写真)の次の言葉である。
 
 
「人間の究極の幸せは、1つは愛されること、2つ目はほめられること、3つ目は人の役に立つこと、4つ目は人に必要とされること」であり、「そのうち、後三つの幸福は、働くことによって得られるのです」

 

 そして、多くの人は穏やかで、世界一安全な国だからだ。

 

 素敵な人がたくさんいる国、一方で自分のことだけを考えている老人の多い国、児童虐待やセクハラ・パワハラが横行し、健康被害や自殺の多い国。

 

 どちらも日本の素顔だ。

 

 せめて、老人になれば少しだけでも社会のために尽くす努力をしようよ。

 

 1971年6月7日に発売されたライブ・アルバム「よしだたくろう オン・ステージ ともだち」の中に収録されている「青春の詩」の替え歌、「老人の詩」は抱腹絶倒だった。

ブルー音符「喫茶店にばあちゃんと二人ではいって しぶ茶を注文すること ああそれが老人 映画館にばあちゃんと二人ではいって チャップリンの映画を見ること ああそれが老人…」ブルー音符という歌詞である。