★第175話:中村あゆみ | 中高年の中高年による中高年のための音楽

中高年の中高年による中高年のための音楽

10年続けたYahoo!ブログから移転してきましたが、Amebaのブログライフも4年を越えました。タイトルは当時と同じ「中高年の中高年による中高年のための音楽」です。
主にオールディズが中心の音楽を紹介しています。よろしくお願いいたします。

ハスキーボイスとは

 「ハスキーボイス」は、「トウモロコシの皮のような声」という意味の英単語。その定義は、「声帯がなんらかの損傷、または障害で閉じきらず、つねに空気が漏れている状態」のことを指し、わざとやる場合は「ウィスパー(唱法)」と呼ぶのだそうだ。

(ハスキーボイスについての考察|ハスキーボイスになる方法はある?参照)

 「かすれ声」「しわがれ声」ではあるが、美声のことをいい、「だみ声」のような悪声は「ハスキー」とは言わない。従って、故・田中角栄首相の声は「ハスキー」ではない。語彙の多さが身上の日本語では珍しく、それにふさわしい言葉が見つからない。 
 力士やプロレスラー、柔道の重量クラスの選手にハスキーボイスが多いのは、脂肪が声帯にまでついているからだが、中には声が高い人もいる。プロレスでは
天龍源一郎の声もそうだ。

 

ハスキーボイスの女性歌手

 「ハスキーボイスの女性歌手」といえば誰を思い出すだろうか。

 真っ先に挙げられるのはボニー・タイラー(69歳、写真左)だろう。ところが、タイラーは元々こんな声ではなかった。声帯にできたポリープを切除する手術を受けたのだが、医者に止められていたにもかかわらず、完治する前に声を出してしまったために、災い転じて福となり、歌声がかすれてしまったという。なお、日本では、ハスキーボイスにするため、葛城ユキもんたよしのりなどが声を潰した。
 そして、「女ロッド・スチュアート」と呼ばれ、「ベティ・デイビスの瞳」(1981年)の大ヒットで知られるキム・カーンズ(75歳、写真中央)。

 さらに、「永遠のシルキーボイス」といわれ、1960年代、少し鼻にかかった甘いハスキーボイスで一世を風靡したジョニー・ソマーズ(80歳、写真右)などが思い浮かぶ。


 それぞれ、一曲づつ代表曲を聴いてみよう。

ボニー・タイラー/愛は哀しくて(It's a Heartache、1989年)

キム・カーンズ/ベティ・デイビスの瞳(Bette Davis Eye、1981年)

ジョニー・ソマーズ/内気なジョニー(Johnny get angry、1962年)

 さて、日本では誰が思い浮かぶだろうか。下画像の通り、結構多い。


 写真の順に、まずは、日本では最初の
ハスキーボイスの歌手といわれ、森進一と共に「ため息路線」で世間をあっと言わせた青江三奈(2000年、59歳で没)。「怨歌の女王」こと藤圭子(2013年、62歳で没)、「私は泣いています」(1974年)のりりィ(2016年、64歳で没)、「和製ボニー・タイラー」こと、「ボヘミアン」(1983年)の葛城ユキ(71歳)、「演歌の女王」八代亜紀(70歳)、こちらは日本人ではないが、日本で活躍した桂銀淑(59歳)など。

 

中村あゆみ

 ところで、今回紹介する日本の女性歌手は中村あゆみ(54歳、写真)である。日本人の女子ロッカーの中では彼女が一番好きだ。あの、ハスキー・ボイスがたまらない魅力だった。「だった」という過去形を使っているのは、自分の中で彼女の歌声は1980年代で終わっているからだ。全盛期の頃はどんな歌手になるのか楽しみだったが、その後のことについてはあまり知らない。 

 プロデューサーの高橋研(65歳、写真右)の出会いと別れが、彼女の運命を変えたようだ。彼の作詞作曲で、「翼の折れたエンジェル」「真夜中にラナウェイ」「ちょっとやそっとじゃCAN'T GET LOVE」「ONE HEART」「Rolling Age」他多数のヒット作品を生んだが、1987年にはデビュー期からのプロデューサーである高橋の元を離れ、自作曲を発表するようになったそうだ。
 福岡市出身と言われているが、大阪府八尾市生まれという説もある。高校三年生の1984年にデビュー。一時、結婚・出産で活動を控えていたが、2004年(38歳)に再活動を始めたという。 
 それにしても、最近の中村あゆみの色っぽさは何だ! とても若いときと同一人物とは思えない。いい歳のとり方をしたということか。


 彼女のベストアルバムを買ったこともある。もう
34年も前のことだ。 「HEART of DIAMONDS」(1987年)

 1984年から1987年までの高橋研プロデュース期間の楽曲を集めたベスト・アルバムで、全曲リミックスとボーカルの録り直しがされている。
 
1.  Midnight Kids
2.  Million Nights
3.  悲しみのセンセイション
4.  翼の折れたエンジェル
5.  やせっぽっちのジョニーE.
6.  真夜中にラナウェイ
7.  彼女はMama
8.  ベイエリアの少年
9.  ちょっとやそっとじゃCan't Get Love
10.ONE HEART
11.Tokyo City Serenade
12.Rolling Age
 
いい曲ばかりで、何度繰り返して聴いたかわからない。 
 その中から、大好きな曲を紹介したい。 
中村あゆみ/Tokyo City Serenade(1987年)(No.11)

 TBS「日立 世界・ふしぎ発見!」テーマソングにも使われたこの曲。

中村あゆみ/ONE HEART(1986年)(No.10)


中村あゆみ/Rolling Age(1987年)(No.12)

 これは、その後の作品。

中村あゆみ/It's All right(1990年)

 彼女の代表曲はこの曲。日清食品カップヌードルCMソング/麒麟ストロングセブンCMソングにも使われた。

中村あゆみ/翼の折れたエンジェル(1985年) (No.4)

<歌詞>
 ドライバーズ・シートまで 横なぐりの雨 ワイパーきかない 夜のハリケーン I love you が聞こえなくて 口もと 耳を寄せたふたりの想いかき消す 雨のハイウエイ Thirteen ふたりは出会い Fourteen 幼い心かたむけてあいつにあずけたFifteen Sixteen 初めてのKiss Seventeen 初めての朝 少しずつため息おぼえた Eighteen "もし 俺がヒーローだったら 悲しみを近づけやしないのに" そんなあいつの つぶやきにさえ うなづけない 心がさみしいだけ Woo 翼の折れたエンジェルあいつも 翼の折れたエンジェル みんな 翔べないエンジェル