時の経つのは早いもので、イルカは去年の12月に還暦を迎えた。そして今年歌手デビュー40周年を迎える。 彼女は、神田和夫が1969年に結成したシュリークスに加わり(1970年）、解散後彼と1972年（当時22歳）に結婚した。
1970年ころはフォークグループの離合集散が盛んなときで、このような図式になっていた。（灰色のマス目はすでに亡くなった人）
ここで彼らの代表曲を聴いてみよう。
リガニーズ 海は恋してる(1968年）／猫 地下鉄に乗って（1972年）
かぐや姫 妹(1974年）／風 あの唄はもう唄わないのですか（1975年）
シュリークス解散後、イルカは24歳（1974年）にソロシンガーとして独立するが、夫が59歳（2007年）、急性腎不全で他界。
新聞記事によると、「イルカの半分はぼくだ」が口癖だったプロデューサーで夫の神田和夫さんを亡くしたとき、さすがにどの歌も思い出があり、最初は辛くて歌えなかった。
だが、「悲しみを避けたり逃げたりしていたら『その日』は来ない」と、気力を振り絞ったそうだ。
毎年60回前後コンサートをこなす。今も現役で活躍して元気だ。
なごり雪
イルカの代表曲はと言えば、多くの人が「なごり雪」 (1975年）と答えるのではなかろうか。これは風の伊勢正三が1974年にまだかぐや姫にいたころ作詞・作曲したものだが、イルカがカヴァーして80万枚も売れ大ヒットした。
伊勢正三とイルカの関係はちょっと複雑だが、前述の図式を見ていただければわかる。なお、「雨の物語」や、「海岸通」も伊勢正三の作品である。
このなごり雪は、これも伊勢正三の作品である22才の別れと密接な関係にあるという。
なごり雪の歌詞を見てみよう。これは男性の立場である。
なぜ、彼女は東京を離れるのか。親の勧めで別の男性と結婚することになったからだ。
「ふざけすぎた季節の中で」結婚を夢見ていたが、就職もせず二人で楽しく暮らしているだけでは将来がない。
でも心変わりをした彼女を責めてはいない。
「今春が来て君はきれいになった 去年よりずっときれいになった」は彼女の結婚のことを指している。
２２才の別れは次の歌詞である。今度は女性の立場だ。
付合いが始まったのは17歳。それから５年が経った。
「私には鏡に映ったあなたの姿が見つけられずに」彼の深い愛情に気がつかず、「私の目の前にあった幸せにすがりついてしまった」他の男性にプロポーズされて一般的な女の幸福、「結婚」を選んでしまった。
「あなたはあなたのままでいてくださいそのままで」やさしくて今でも愛している彼。でもあなたはあなたの思うように生きて、私は結婚します。
―青春時代が思い出されて、何だかせつない気分になるのお。
風 22才の別れ（1974年）
大林宣彦監督が、尾道三部作に続く大分三部作として、伊勢正三の出身の大分県津久見市、臼杵市を舞台にしたなごり雪（2002年）(左画像）と、22才の別れ（2007年）(右画像）を手がけている。
なお、第三作目は未定という。
（三浦友和と、ベンガル） （筧利夫と鈴木聖奈）
イルカの名曲特集
それでは、イルカの名曲を
雨の物語（1977年）／海岸通り（1979年）
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サラダの国から来た娘（1978年）／星の長距離電話
ボヘミアの森から（1977年）／クジラのスーさん空をゆく
まあるいいのち（1980年）