●四国の盟主は、松山?高松?
愛媛県の県都「松山市」のライバルは、香川県の県都「高松市」。多くの会社が四国に1ヶ所だけ拠点を出すときにどちらを選ぶかに悩む。徳島市や高知市というのは少ない。
自分は松山しか住んだことがないので、ついつい松山を応援したくなる。図のように市や県の人口だけを見ると、間違いなく松山が妥当だ。
しかし、松山は広島や九州に近く、高松は岡山や関西に近い。拠点の選択には、松山や高松単独ではなく、周辺の状況も重要なポイントになるだろう。
高松は伝統的に四国の玄関口として栄え、現在も国税局をはじめとする国の監督官庁が置かれている。JR四国も高松が本社。一方、NHK、日本郵便、NTT西日本など、総務省につながる組織・法人は松山に拠点を置いている。それでも大企業や国の出先機関の集まり具合は高松にはかなわない。銀行は、百十四銀行が高松、愛媛銀行と伊豫銀行が松山が本店だ。
どうやら、都会度からいえば高松が優位のようだ。それは、第二次世界大戦で両市とも空襲で大きな被害を受けたが、高松の方が損害が大きく、復興事業を大規模に行ったからのようだ。名古屋と同じパターンだ。
この状況は八王子市と立川市によく似ている。八王子市は人口58万人で、東京都下で第一位の都市。一方、近隣の立川市は18万人なので大きな人口差がある。しかし、町の勢いは全然違う。レトロな八王子に比べ、都市化の目覚ましい立川は、松山と高松の関係に近い。
結論を言うと、四国に1ヶ所だけ出店する場合は、高松に軍配が上がるような気がする。
ただし、松山にはこんな強力なご当地ソングがある。この曲のお陰で、どれだけ松山の思い出を噛みしめることが出来たことだろうか。
夜のお付き合いが必要な商売であれば、素敵な二番町のある、松山がお勧めだ。自分はまだ若くて新婚だったが、お酒と、得意先との付き合いはここで鍛えられた。
五木ひろし/夜明けのブルース(2012年)
「夜明けのブルース」は、愛媛県松山市の繁華街・二番町を舞台とした恋愛をテーマにした曲。
NHKの「ラジオ深夜便」の深夜便のうたに使用され、2012年5月7日付のオリコン演歌・歌謡シングルチャートで1位を獲得し、本作で第54回日本レコード大賞作曲賞を受賞した。
2018年1月13日には、同市二番町2丁目の第1ミツワビル前に、歌詞・顔写真・サイン入りの歌碑(高さ約2m、幅約3m)が建立され、五木ひろしさん本人はもとより、作詞・作曲を担当した西条市出身のシンガー・ソングライターのレーモンド松屋さん、中村愛媛県知事、野志松山市長、そして五木さんのファンらも参加して除幕式が行われた。歌碑手前のボタンを押すとメロディーが鳴る(6時~24時)仕組みとなっている。(Wikipedia 参照)(写真)
●ご当地ソングの少なさ
「ご当地ソング讃」(溝尾良隆著、1998年、東洋経済新報社、写真)のサブタイトルは、『魅力ある「まち」にはいい歌がある』。
著者によると、『歌の数は地域により疎密があり、情報力を自ら持つ東京・大阪と、情報発信している北海道・横浜・九州に歌が集中している。情報発信するには地域の持つ文化、旅行地としての魅力が必要になるが、歌の空白地域は県をあげてその対策に取り組むべきであろう』と述べている。
左図は地域別・年代別に歌の数を見たものである。関東は突出した第一位で、特に昭和20年代から40年代にかけては全国の40%前後を占めている。中四国の歌が少ないこともわかる。
右図は、都道府県別歌の曲数のベスト10をグラフにしたものである。東京都が圧倒的なことは当然だが、北海道の2位と、長崎県の5位が特筆される。なお、寡少県のベスト5は、埼玉県、鳥取県、山口県、徳島県、佐賀県である。1998年の調査ではいずれも1曲しかない。
下図は、歌で人気のある町・地域ベスト10である。(伊豆大島と函館は同数)歌謡曲が多いとされる長崎市が第3位と健闘。潮来、佐渡、伊豆大島の3地域は、戦前から歌に歌われる観光地として今日まで人気がある。
四国がもっと人気を得るためには、ヒットするご当地ソングが必要だろう。
続く。