外に放置してあったシクラメンを何気なく見たところ、花芽が何個か出てきていた。
葉も花屋さんで売っているように、いっぱい出ているわけでもないけれど、それなりに出ていたので、鉢を拭いて家の中に入れた。
人間と同様、今まで日の当たる所にいなかったものでも、日の当たる場所に出すと、しっかりと輝くようになる。
蜘蛛の巣がはるような薄暗い所で、誰にも知られず、ひっそりと咲いている花になるところを、このシクラメンにとって、180度回転した人生になったわけだ。
肥料をやったりもしない、忘れられた全くの放置状態で、よくがんばった。
そのがんばった見返りが表舞台に登場ということになる。
昔はシンビジュームなど、花の咲くのが終わってからの世話の方が多かった。
芽をかいだり、肥料をやったり、鉢の位置をかえたり、と色々やって、次の年の開花を願った。
シクラメンは、球根の夏越えに日の当たらない北側の土の中に植えておくといいと本で読んだ。
だから、その通りに植えて、冬にまた咲くことを期待した。
これは失敗したけれど、とにかく次の年にも咲くように花の越年に力を注いだ頃もあった。
それが、今は花の咲くのが終わったら、もう外に放って置いて忘れ去る。
そんな状態で、放置されたシクラメンが花芽をつけたのだから、このシクラメンには肥料もしっかりやって、世話をしてやらなければいけないだろう。
シクラメンの喜ぶ顔が見たいものだ。