暗室のような真っ暗な状態はなかなか経験しません。
昔、学校で写真を現像するために暗室に入った時、自然とまぶたが閉じてしまうことを経験しました。
真っ暗になると、条件反射でまぶたが自然と閉じてしまうようです。
横にすると目を閉じて、起こすと目を開けるという人形がありますが、その状態です。
そのことを知人に話すと、「それはどこかおかしいんじゃない」のひと言で決着がつきました。
今の時代、真っ暗な状態というのは、あまりないかもしれません。
深夜、外に出ても明かりがともっていて、真っ暗ということはありません。
真っ暗な状態の中を歩くということは、とても怖いことです。
昔、アメリカをリュックを背負って2ヶ月間旅行をした時のことです。
グランドキャニオンの一番下まで歩いて行って、地上に戻って来たら、辺りが暗くなってしまいました。
ホテルまで30分位歩いて戻らなければなりません。
ホテルまで歩いてもどる道は林の中なので、まわりに光がありません。
ですから、真っ暗な状態の中を歩いていかなければなりませんでした。
足元をすごく注意して歩いていかなければ転んでしまいます。
当然、恐怖心も出てきました。
でも、その恐怖心をなくしてくれたのも真っ暗な状態でした。
気がつくと、自分のまわりを包むように星が数多く輝いていました。
手を伸ばせば星を取ることができるような感じでした。
自分のまわりに星が数多くありました。
星が降るというのは、このような状態なのだろう、とその時、思いました。
天から星が糸で吊り下がって、目の前に降りてきているようでした。
真っ暗だからこそ、見えるものがあるようです。