ある日、父親はテレビを見ていました。そして珍しく機嫌がよかったんです。「お前ら、明日休みだろう、遊園地連れて行ってやろうか?」と父が言いました。もちろん今まで遊園地など連れてもらったためしなどありません。子供たちは大喜びです。
「明日楽しみだね」、「何に乗ろうか?」
とワクワクしていましたが、当日の朝になっても、父は出かける気配が全くありません。「お父さん、遊園地はいかないの?」と尋ねても、父親は全く覚えていません。それどころか
「遊園地だと! そんなところに行くはずないだろ!」と怒られます。さらに母親にも尋ねると、「そんな話聞いてないわよ」と言われました。当然子供たちは失望します。
別の時、父と母が大喧嘩をしました。母から「もうあんなお父さんと一緒に居られないわ。お母さんはおばあちゃんの家に行くわよ。あなたたちは、お父さんとこの家に残るか、お母さんと一緒に行くか、考えて置きなさい!」と言われました。
子供たちは家族がバラバラになる不安でいっぱいになり、泣きだしそうになりました。
一晩中一睡もできないまま、朝起きていくと、両親は何事もなかったかのように、朝ご飯が用意されていました。
「昨日のことは何だったのか?」
依存症家庭では、こんなことが繰り返し起こります。やがて子供たちはこのように学習することでしょう。
『人の言うことを信じてはいけない』
参考・・・「アルコール依存症の正体と治し方」、「ハームリダクションアプローチ」