それではひとつづつ見て行きましょう。症例ですが、「親がアルコール依存症で機能不全に陥った家庭で育てられた子供」、と言う設定で書かれています。
ある日、小学校から帰ったAくんは、家に夕刊が届いていることに気づきました。それを父親のところに持って行ったら、たまたま機嫌のよかった父に「お前気が利くな」と頭を撫でられました。めったに褒められたことが無いAくんは、そのことがうれしくてずっと覚えていました。
画像 life-lemon.com 何が正しいのかわからない
別の日、お酒の問題で父と母が口論になりました。なんとかしなければと思ったAくん。「そうだ!」と、夕刊を父のところに持って行きました。しかし父親に、「うるさい! あっちに行ってろ!」と、殴られてしまいました。
依存症の家庭では、こういうことが頻繁に起こります。
子供は親から気分次第で怒られたり、褒められたりします。しかし、褒められることはめったにありません。子供は正しいことをした時に褒められ、悪いことをした時に叱られることで、正しいことと間違ったことを学びます。
しかし親の気分で怒られてばかりだと、混乱してしまい、身をすくめて親の顔色ばかり窺う子供になってしまいます。子供は親に怒られないよう、常に不安と緊張を強いられます。
参考・・・「アルコール依存症の正体と治し方」、「ハームリダクションアプローチ」