ハームリダクションアプローチとは?① | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

何のとりえもない平凡で臆病者の神経質者が語る森田的生き方ブログです。

お酒がやめられずに、自暴自棄になっている人に対して、「お前は全くダメな人間だ。」と言う人がいます。こんなことを言ったら本人の自尊心丸つぶれです。とても治療どころの話ではありません。

・・と、昨日の末尾に書きました。このブログを訪れてくださる方は、まさかこんな発言はしないと思いますが、世間一般では、まだまだこのような見方が主流のようです。

 

      画像 honto.jp ハームリダクションアプローチ

 

これまでの各種依存症やある種の神経症には、私たちの無知による偏見がついて回りました。つまり、依存症や神経症になる人間は、意志が弱いんだ、我慢が足りないんだ。やる気がないんだ。甘えているだけなんだ。・・こんな見方をされていたんです。

意志が弱いんだから、意志を強く持てば辞められるはず。だから周囲の人間は世間体を考え、何としても「やめさせよう」とします。中には治療者までが「やめさせる」圧力に同調してしまう場合もあるのです。

 

依存症患者は、本心では「やめたい」と思っています。しかし同時に「やめたくない」のです。だからこれまでの治療法のように、周りから「やめろ!」、「やめろ!」と言われるたびに激しく抵抗します。その結果、ますます「やめない」方向に患者を誘導してしまうのです。

 

すると周りの人間は力ずくでもやめさせようとします。飲酒やギャンブル行為を激しく責め立てます。本人と周囲との対立や軋轢は深まるばかり。依存症回復のためには、信頼関係が最も大切なのに、信頼関係など完全に断ち切られてしまいます。患者は周りのすべてから突き放され、嫌でも孤立化します。どうにもならなくなった患者は自尊心がズタズタにされたあげく、ますます依存にのめり込んでいきます。完全に悪循環です。

 

   画像 s-office-k.com ハームリダクションアプローチとは

 

今回ご紹介する

「ハームリダクションアプローチ」とは、一言で言うと、「(依存を)やめさせない」治療法です。さらに言うと、「依存による害を最小限に抑えるためのアプローチ」です。詳細な定義は明日ご紹介いたします。

 

すでに何人かのブロガーさんが記事で紹介しているので、「知ってるよ」と言う方も多いことでしょう。そういう方は復習のつもりで、お付き合いいただければ幸いです。

「やめさせようとしない」だけでも、患者との良好な関係を維持できるでしょう。信頼関係もうまく構築できるかもしれません。この治療法が目指すのは、依存をやめさせることではなく、患者の心の苦しみに寄り添い、人間としての尊厳を守っていくことです。

 

参考・・・「ハームリダクションアプローチ」、「吃音の当事者研究」