いきなり質問です。
皆さんが病院に通っていて、多少なりとも症状が良くなったと思う時、主治医の先生から、「良くなったか?」と聞かれた時、「まだよくならない」と言う言葉は、言いやすいですか? それとも言いにくいですか?
画像 kango-room.com 問診する医師
まぁ人によって考え方は違うと思いますが、私なんかは言いにくいですね。
と言うのは、先生がせっかく今まで私の病気を治そうと骨を折られたわけですよね。なのに「まったく治らない」なんて言ったら、申し訳ないように思うんですよ。
では、もう一つの質問です。
人に会ったとき、心に少々不愉快なことがあっても、多くの人が「愛想笑い」をすると思いますが、何故だと思いますか?
まず考えられるのは、「失礼に当たるから」それと同じくらいに、『人に好かれたいから』と言うのがあると思います。
森田先生は「それで良い」とおっしゃっています。それが「人情」である。先生に対して「治りません」とは言いづらいから、ついつい愛想笑いをしながら、「だいぶ良くなりました」などと、心にも無いことを言う。
それでいいんです。人情から出発すれば、万事うまくいくようになるのです。
画像 irasutoya.com 愛想笑い
人に会ったとき、多少気分は悪くても、一人でむっつりしているわけにはいかないから、いやいやながらでも笑顔を作って接しているうち、いつとはなしに、嫌な気分もほどけてくることは、皆さんも経験がおありでしょう。
自分は不愉快だから笑わない。と言うのは利己主義であるし、自己中心です。そもそも人情に欠けています。
愛想笑いもせず、しかめっ面ばかりしている人は、自分の心もいつまでもほどけることなく、人からも嫌われます。先生に対しても、「ちっともよくならない」とか意地を張る患者は、自分自身もいつまでも症状にとらわれるから、いつまでもその執着から離れられないのです。そのうえ医者からも愛想をつかされます。
これに対し、少しでも良くなったことを感謝するようになれば、次第に自分の良い所ばかりに気づくようになり、ますます症状も良くなっていくのです。
参考・・・「現代に生きる森田正馬の言葉」