防衛機制(抑圧・抑制)とは?・・③ | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

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本日は「抑圧」「抑制」を取り上げます。

「抑圧」は、フロイトの精神分析における中心的概念で、自我の防衛機制のうちでもっとも基本的なものとされています。

衝動を代理している表象やそれと結びついた概念や記憶が、意識に現れると、それを意識しないように排除しようとし、無意識にとどめておこうとする心の働きです。

 

 

ある衝動を満足させることが出来なくなった時、緊張が増大する危険があるので、このような時に「抑圧」が起こるのです。

一方衝動に伴う感情を押さえつけようとすることは「抑制」と呼ばれます。

「抑圧」が無意識的な心の働きであるのに対し、「抑制」は意識的なものであり、感情は抑制されても意識内にとどまり続けます。

(日本大百科事典より)

 

「抑圧」とは、一般に人々や状況からの被害や拒否を恐れ、自分では意識しないうちに自分の欲求や感情などを我慢し、無意識に落とし込もうとする心の働きとされています。

小さいころから従順な子供で、いつも「お前はいい子だね」と呼ばれ続けている子供がいました。一見褒められているようですが、実は言葉の裏で、「いい子にならなければ生きていけないよ」とささやかれているのです。

 

このようなメッセージを受け取った子供は、「いい子でなければならない」と自分を律し、「いい子」を演じるようになります。

ここで言う「いい子」とは、「親の都合の良い子」です。親の機嫌を損ねるような自分の欲求(例えば、甘えたい)はことごとく無意識に押しやられてしまいます。

 

 

本当は「いい子」など演じたくないのです。しかし無力な子供は親の言いなりになることしか生きる道は残されてはいないのです。

「いい子をやめたい!」と言う欲求は、これを感じ続けていると辛いので、無意識に押しやられます。そしていつしか抑圧した欲求さえも分からなくなってしまいます。そして残るのは何とも言えない不安感と、生きづらさです。

 

声を出して怒りをぶつける子供もいる一方で、黙って自分の中に抱え込む子供もいます。

自分の感情を表に出せなかったり、出しても家族の反応が無かったりすると、その感情は未解決のまま、自分の心の奥底に蓄積されていきます。

ある子どもは自傷行為に及びます。別の子供は過食や拒食に走ります。

 

過食や拒食と言う「病気」になることで初めて、それまで出せなかった家族に対する不満や不安、怒りの感情を、病気の力を借りることによって家族にぶつけられるようになるのです。

このように本人が出せなかった感情、抱え続けている思いを「基本的不安」と言う言い方もします。そのような子供に出会ったとき、誰が良いとか悪いとかではなく、「この子は、このような不安を出せずに来た子供なのだ」と理解してあげてください。

 

「多重人格」と言う症状があります。これも「抑圧」が絡んでいると言われています。Aさんが多重人格になったのは、祖母の死がきっかけでした。彼女はおばあさん子でしたが、葬儀の時遺体にキスをすることを強要され、嫌悪感を感じました。しかし律儀な彼女はそんな自分を許せませんでした。キスもできない自分は受け入れがたい存在でした。

こんなからくりは誰でも持っています。

 

本当は食べ物にいやらしいのに、それを認めず抑圧していると、食べ物に卑しい人を見ると、妙にイライラします。

会社や学校に行きたくないと感じている人は、毎朝決まっておなかが痛くなったりします。こういう人はいくら内科で見てもらっても治りません。

 

 

会社や学校に行きたくないという、自分の内面を否定していたのでは、お腹の痛みはいつまでも治らないのです。行きたくない自分を直視し、受容することによってはじめとお腹の痛みも治るのです。

自分を受け入れるとは、お腹が痛いのだから仕方がないと、学校や会社に行けない状況に甘んじることではないのです。

 

最後に、「抑制」についても触れておきます。

「抑制」とは、意識された「抑圧」です。意識的に感情や欲求を押さえつけようとすることです。本人がそれを自覚しているのが特徴です。

また、「抑制」は「抑圧」より成熟した形とみることもできるでしょう。

例えば先の「いい子」の例では、自分の欲求や感情を抑圧しています。しかしそれの自覚が無いので、なぜ自分が不安やいらいらするのかわかりません。しかしそういう子供も成長し、心理学の勉強など始めますと、なるほど自分の生きづらさは、欲求や感情を「抑圧」していたからだと気づきます。

 

と言ってもいきなり感情や欲求を押さえつける「癖」は治りません。

しかしすでに生きづらさの原因を把握しているのです。もう「抑圧」に戻ることありません。意識しているのでいつでも感情や欲求を手放すことが出来るのです。

 

参考・・・「安食先生講義」、「そのままのあなたが素晴らしい」