依存がもたらすもの | 神経質逍遥(神経質礼賛ブログ)

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何のとりえもない平凡で臆病者の神経質者が語る森田的生き方ブログです。

ちょっと脱線します(この記事全体が脱線です 笑)。

昨日のパチンコ依存の記事で思い出したことがあるので、忘れないうち付け加えておきたいと思います。(この記事は忘備録かい!)

Aさんはキャリアウーマン一筋で生きてきた人です。常に仕事で成功したいと野心を燃やしていました。しかし縁あって結婚することになったのですが、結婚後も仕事を続けたいとご主人には言ってきました。しかしご主人は、Aさんに専業主婦になってもらいたいようです。

 

数年後娘さんが生まれ、、ご主人も昇進栄転することになりました。当初は単身赴任の予定でしたが、娘さんの事もあり、Aさんは仕事をやめ、ご主人についていくことにしました。自分の出世は諦めた形になったのです。その後はひたすら良い妻、良い親になろうと努力しました。

 

 

一見順調な船出でした。しかし数年後、ご主人の仕事は多忙を極まり、家に帰るのが毎日深夜になりました。しかも相当なストレスらしく、ご主人はその憂さを酒で晴らそうとしていたのです。

それからほとんど毎晩、ご主人は酒を飲んでは暴れる毎日が続きました。しかしもともと優しいご主人でしたので、娘さんの誕生日にケーキを買ってくることを忘れませんでした。

 

しかし、娘さんはそれに手を付けることはしなかったのです。父と一緒のレストランでも、食事に手を付けることはしませんでした。それでも最初のうちはAさんの手料理だけは食べていたそうです。しかしAさんが自分の出世を諦めてまで、こんな旦那についてきたことを後悔し始めたころから、歯車が狂いだしたのです。

ついに食事のすべてを受け付けなくなってしまいました。

 

Aさんは自分の出世が叶わなかったことから、その矛先を娘さんに向けだしたのです。Aさんは娘さんの勉強を始め私生活全てに干渉し始めました。言い換えれば娘さんのすべてをコントロールしようとしたのです。ご存じのように摂食障害は、特に母親の過剰なコントロールが原因だとされているのです。

Aさんはいつしか自分の思い通りに子育てしようとしていたのです。当然娘さんは反発します。素直な娘さんだったのですが、いつしかAさんに向かって「うるせぇ、ばばぁ!」と言うようになりました。

「食を拒否」するということは、その人の愛情を拒否することと等しいのです。実際彼女は「両親のようには、絶対になりたくない」と思っていたらしいです。

 

 

娘さんの反発は日を追うごとにひどくなりました。Aさんの怒りは爆発し、『自分に逆らったら、精神病院に入れてやる!』とまで脅したそうです。やがていくら反抗しても「暖簾に腕押し」だと感づいた娘さんは、ひたすら自分の殻に閉じこもることを選択しました。摂食障害になるような方は、もともとまじめでなんでも一生懸命な「いい子」であり、だから自分の期待していた評価が得られなかったりすると、すぐに自己評価を下げてしまいます。そこでダメな自分を変えようとして、ダイエットを始めたことがきっかけになる場合が多いようです。

 

日に日に痩せてくる娘さんを目の当たりにして、Aさんの不安も頂点に達しました。「もっと食べなさい」、「吐くのをやめなさい」と言えば言うほど、娘さんの態度は頑なになります。

憎しみの対象である母親から、このような過干渉的な言葉をぶつけられると、ますます「もっと体重を減らして困らせてやろう」とさえ思います。食べないと「母親に勝った」、食べると「負けた」とさえ思っていたようです。

 

神経質症もそうですが、本人にとって摂食障害は生きるために必要なものだったりするのです。もともとまじめでいい子は、病気になることで、それまで出せなかった不安や不平不満、憎しみの気持ちなどを、病気の力を借りてやっと家族にぶつけられるようになれるのです。

だから一概に病気を治そうと干渉するのは、良い方法とは言えません。

 

摂食障害は、ある意味本人にとって自分のストレスに対処できる唯一の方法だったりします。だから無理に治そうとすると、本人の苦しみは倍増する可能性さえあるのです。治してはいけないのです。治らないから、生きていられるのです。「死にたい」とつぶやきながらも、一生懸命生きようとしているのです。そういう気持ちを家族はしっかり受け止めて、責めたり指示したりするのではなく、苦しい気持ち、不安な気持ちに寄り添ってあげることです。こういう態度を崩さず対応する中で、少しずつ本人の「自己肯定感」が育ってくるのです。

 

 

仮に症状がなくなっても自己肯定感が育っていないと、現実社会に出たときなどに適応障害が起き、症状が再発したりします。

自己肯定感を育てるには、早いうちから自分で自分を肯定できる態度を積み重ねていくことです。もしそういう体験なしで、人からいくら

「すごいね」

「良かったね」

と誉めたり認めてもらったりして初めて自分を認められるというのでは、自分が育ちません。自分が育っていない人は、人から良い評価を得、認められることが唯一の人生の目的になり、そこだけ一生懸命になってしまうのです。

 

摂食障害になるような人は、自分の出来てない部分だけに焦点を当てがちなので、自分が体験してきたことや出来ていることを中々肯定することが出来ません。ですので家族はなるべく本人が自分の体験を肯定できるように仕向け、自信を育ててあげてくださいね。

 

あれ? 依存症の話のつもりが、摂食障害になってしまった(笑)。

次回から再度『ABC分析』に戻ります。