皆さんのお宅には、盆栽や植木が有りますか?
枯れることなく、ちゃんと育っているでしょうか。
植物をまったく育てたことの無い神経質者に、水やりを命じました。すると多くの場合、次のような質問をします。
『一日いつごろ、何回やれば良いですか?』
残念ながら、この質問には答えられません。
それは植物の種類や大きさ、植樹されている環境、暑さ寒さ、天気などによって微妙に変化するからです。
やるかやらないか。のような二者択一で答えられる問題ではないのです。
水をやらなければ枯れてしまいます。
かと言ってやりすぎれば、根腐れを起してしまいます。
確実に言えるのはこの二点です。
友人にどう言ったら受け入れてもらえるのか。
なんと言って近づいたらよいのか。どのタイミングで声をかけたらよいのか。残念ながら、この質問にもあらかじめ答えることは出来ません。
無理に近づいて言葉を交わそうとすれば、うるさがられます。
絶交すれば寂しいでしょう。
確実に言えるのはこの二点です。
では、どうすればよいのでしょうか。
植物が枯れてしまったら困る。
と言う心のままに、毎日植物の状態を観察していれば、数日のうちに植物ごとの水加減が理解されてきます。
友人付き合いも同じです。
嫌われたくない。
仲良くしたい。
親しみたいと言った平常の気持ちを自覚し、友人を良く観察しておけば、無理に近づこうと思わなくても、やがて自然な駆け引きが出来るようになるものです。
しかし・・・
つい、間違った判断をしてしまうのではないか・・
友人に嫌われることを言ってしまうのではないか・・
いろいろ不安心になってしまいます。これは苦しいことに違いありません。
ここが大切なところです。
普通の人が、多くの友人に恵まれているのも、駆け引きが上手であるからなのです。なぜ上手なのかと言うと、上記の不安心や苦しみを、当然のこととして受け入れているからなのです。
水やりが上手なのは、手間隙かかる日々の観察を怠らないからなのです。
神経質がわがままだと言うのは、不安心や苦しいのはイヤだから、あらかじめコツを覚えて楽をしようと考えていることなのです。
『どうすれば友達が出来るか?』
と問うているうちは、いつまでも友達は得られません。
参考・・・『森田正馬全集4巻』