ゲームを行う理由を考える前に、ゲームの種類を少しご紹介しましょう。本日の話でゲームに対するおおよそのイメージが作られると思います。この後お話しする『何故、ゲームをするのだろうか』と言う疑問にもより理解しやすくなるのではないでしょうか。
『はい・・・でも』のゲーム
いつも相手の評価や依頼を間接的に断るので、結果的に嫌われてしまう。
『キック・ミー、さあ俺様を嫌え』のゲーム
わざと相手が嫌がるような言葉や態度を取り、相手の嫌悪感や拒絶を引き出すもの。『自分は嫌われて当然の人間である』と言う基本的構えの確認。
『仲間割れ』のゲーム
複数の人に異なる情報を流したり、喧嘩するように仕向けたりする。他人同士が仲たがいすることにより、『自己肯定、他者否定』の基本的構えを確認する。
『こんなに一生懸命やっているのに・・』のゲーム
自分がこれだけ努力しても結果が出ないことや、自分の不幸を大げさにアピールして、人の同情を買おうとするもの。
『まぬけ・馬鹿』のゲーム
自分は馬鹿だから、あなたのお知恵を拝借しますと言って他人に考えてもらい、その後周囲の人間から考えられたことを批判されるように働きかけるもの。『自己否定、他者否定』の基本的構えの確認と言われる。
5つだけ書きましたが、まだまだたくさんあります。
本日は特別に『ラポのゲーム』と呼ばれる心理ゲームを報告したいと思います。『報告』と言ったのは、実は私の先輩のカウンセラーであるMさんの実体験なんです。『誰にも言うなよ!』と釘を刺されていたのですが、皆さんのお勉強のためですから、ここでご紹介したいと思います。
なお『ラポ』とは、『レイプ』のことであります。『男を引っ掛けるゲーム』の別名があります。
Mさんが若い頃の話です。こういっては何ですが、当時まったく女っ気が無かったそうです。(今も無いんだけどね)大学の心理学研究会に入っていた彼は、他の学生と一緒に課外講座に参加しました。
何度かのロールプレイのとき、どういうわけか決まって彼のまん前に席を取る女学生が居ました。Mさんによると吉永小百合似の髪の長い女性だったそうです。次の実習も彼女はまん前に席を取り、Mさんを見ながら長い髪の毛を手串で整えていました。
次の実習のときは、わざと違う席に着きました。すると吉永小百合氏はまたもや彼のまん前に座ったのです。「こりゃあ、俺に気があるのかなぁ?」
あるとき勇気を出して、彼女を映画に誘ってみました。なんとOKです。
見に行った映画は満員で、Mさんと彼女は一番後ろの手すりにつかまって観ていました。
映画がクライマックスに達する頃、手すりを握っている彼女の手が、彼の手に触れてきたのです。
「これはもしかして、手をつなぎたいのだろうか?」
彼の心は映画どころではありません。 心臓は高鳴り、汗びっしょり。何度もハンカチで手を拭きました。
ソシテ恐る恐る彼女の握った手の上に、彼は自分の手を添えてみたのです。
彼女は嫌がるそぶりを見せません。
「やったぜぇ」 Mさんは心の中で快哉を叫んだそうです。
次の実習のとき、彼女はまん前に座りませんでした。 どうしたんだろう、気分でも悪いのだろうか。
次の日も、その次の日も、彼の前に座ることはありませんでした。
不安になったMさんは直接聞いてみようと思い、彼女に近づいたのですが、ひらりとかわされました。要するに逃げられたのです。
その後も何度かよりを戻そうと、誘いをかけました。けれど彼女の心が動くことはありませんでした。
「振られたんだ」
心の底からそう思いました。その日から彼女の後を追うことはやめました。
後から同僚の噂話を聞いてみると、彼女はMさんから強引に手を握られた。と言う噂話を立てられていたことに気づきます。以降、もちろん彼女との関係はありません。
結婚の約束をしたとたんに相手がイヤになる。
相手を『その気』にさせることが出来たら、ポイッと捨てる。
男をひきつけておいて、復讐する。
これが『レイプのゲーム』の結末です。
『レイプのゲーム』の仕掛け人は、幼い頃に実際に『レイプ』の経験を持つ女性が少なくないんだとか。彼女たちの男性へのイメージは、
『男はレイプするもの、強引に侵入してくるもの』
『男は信用できない』
『性の道具』としてしか、私を見ない
このようなものがあります。性の喜びも体験したいと思っているが、同時に不快感も伴ってしまう。こんな風になったのは男のせいである。だから私は男たちに復讐をしているのである。
こんな風にMさんは推測するのです。
次回は一般的な『ゲーム無を始める理由』について考えます。