ついに祖父が亡くなった。
重病をいくつも抱え、最期の2ヶ月は酸素吸入しながらの生活だった。入院を勧められても、自分が建てた家で死にたいと入院を拒んだ。
亡くなる1ヶ月前まで、自宅2階の寝室まで階段を毎日あがっていた。
「この調子ならあと何時間したら階段を登れるか、それを我輩の体調と相談しながら見極めとるんや」
その祖父の言葉を聞いて、僕はとっさに「おじいちゃんはいつも何かに挑んでるね」と言った。
「そうやわいな。」
祖父は、そんなの当然という口調で返答した。
毎日の新聞チェック、切りぬきが祖父の日課だった。祖父宅を訪れると、参考になるかもと様々な切りぬき記事を渡してくれた。
祖父からは色んな言葉をかけてもらったが、一番教わったのは、言葉よりも、その姿勢だったように思われる。
祖父のように挑み続けられるか。自分を励ましながら、挑む気持ちを自分のなかで絶やさずにいられるか。そう自問自答しながら、祖父から受け継いだ生命を灯していきたいと思う。
補足:小学生時代、冬休みを祖父母宅で過ごした時、「明るい心」という書き初めの宿題があった。教科書のお手本通りに僕が書くと、「全然明るさが伝わってこない」と祖父が言い出し、祖父自らがお手本を書いてくれた。祖父の字は、教科書のお手本よりも太くて大きく、明るさというよりも剛胆さを感じさせる字だ った。