「マインドフルネス」という言葉に警戒心しかもっていなかった僕ではあるが、食わず嫌いはよくないとおもって、香山リカさんの『マインドフルネス最前線』(サンガ新書、2015年)を読んでみた。精神科医香山さんと4人の異業者(哲学者永井均さん、僧侶アルボムッレ・スマナサーラさん、宗教人類学者永沢哲さん、心療内科医熊野宏昭さん)との対談が収録されていて、ハッとさせられるところが多く、面白かった。
しかし、この本では対談メンバーから分かるように、マインドフルネスと脳・頭・思考とつなげる話が多かったので、もうちょっと身体論よりの本を読んで中和した方がよいかなと思って、藤田一照さんの『現代坐禅講義』(角川ソフィア文庫、平成31年)を読んでみた。坐禅について藤田さんが解説されている部分については、『仏教を哲学する』シリーズである程度頭にはいっていたので、びっくりするまでは無かった。ただ、この本には、哲学者パスカルや詩人キーツから引用されていたり、内山興正老師とのエピソードや、ヨーガ・気功指導者たちとの対談も収録されていて、身体感覚を磨くヒントが多くちりばめられていて、楽しく読み終えた。
一つ印象深かったのが、藤田さんも対談相手のかたも、「揺れる」ことを重視していることだった。無理なく楽な身体の姿勢に到達するために、身体を前後左右に揺らす動作や体操を取り入れるのが良いらしいのである。
そういえば、乳幼児を抱いている親御さんは身体を揺らしながら子どもをあやしている。「揺れる」ということは「落ち着く」ために必要な作業なのかもしれない、と思いついた。ちょうどよさを探すには、適度に揺れることが必要なのかもしれない。このことは、身体的にも言えるのだろうが、思考や感情にも応用できそうな気もする。
自動車や鉄道などの長距離移動手段が適度に揺れていることの意味もなにかあるのかもしれない。これがリニア・モーターカーになると、どうなるのだろうか。