2018/06/17  38  乙川優三郎「自撰短編集 市井篇 時雨の岡」講談社  2006年9 | 虚弱爺の俗物的日録

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「一身にして二生を経(ふ)る」の二生目を生きるにあたって、サンデー毎日の日常を記録したい。なるがままに。

2018/06/17  38  乙川優三郎「自撰短編集 市井篇 時雨の岡」講談社  2006年9月6日 第1刷発行

「ゴルフ命おじさん」さんの読後評を拝見して読んでみたいと思った初読みの作者。

本作品は、以下の8編を所収。
  時雨の岡
  芥火
  虚船
  妖花
  夜の小紋
  散り花
  古い風
  磯笛

いずれも時代小説でサブタイトルにあるように市井の人々を描くのが得意というか題材として好きなようである。しかも登場人物はいずれも鬱懐や屈託を抱え込んでいる名もなき底辺に生きる人たち。彼らの日々に否応なく起こる出来事の震えるような感情のやり取りや正解のない駆け引き等がひたむきに書かれている。といえば山本周五郎や藤沢周平を思い出す。

読後にwikipediaをみると作者の好きな作家は山本周五郎という。山本周五郎賞を受賞しているので、作者冥利に尽きるというもの。その他、時代小説大賞、直木賞、大佛次郎賞などを受賞。

継続して読んでみたい作家。この歳になると凝り固まってなかなか新しい作家に巡り会う機会が少なくなるが、読む対象の間口を広げられるのでブログの読後評はありがたい。ゴルフ命おじさんさん、ありがとうございました。