『三体』と『ここはすべての夜明けまえ』 | marginalia

早川書房さまより、『三体』と『ここはすべての夜明けまえ』の献本いただきました。

 

 

 

『三体』は大ベストセラーの文庫化ですね。親本を読んだときの世間の評判の大きさに驚いたのは今でも鮮明で、思えばここから中華SFブームが始まったのだなあと感慨深いです。韓国文芸が主にフェミニズム文学の流れから多く読まれたのも相まってアジアSFの時代が始まった気がしました。面白いというか興味深いのは、アジアSFは海外文学ファンからも注目されているのに、英米SFはいまだにあまり受け入れられていないように見えるところです。N.K.ジェミシンやラヴィ・ティドハーなど、多様性豊かで文学的なSFは英米にも多くあるのになぜなんでしょうね。というかイーガンやテッド・チャンのように読まれる英米系の作家がもっといてもいいように思うのですが。

『ここはすべての夜明けまえ』は、病人の話で、私も人後に落ちない病人だったので逆にすごく読みにくいものを感じました。家族の縁が薄かったことも関係しているかもしれないですね。でもまあ、自分との距離を測りながら他人事他人事と思いながら読むことも大切ではあります。ひらがなの多いスタイルは慣れると読みやすくてそれはとても良かったです。もう一度読んでみないとちょっと自分の中で評価を固められない気がします。